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吉田類『酒場詩人の流儀』を読みました。

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先日、BS-TBSで「吉田類の酒場放浪記」(毎週月曜21:00-22:00)を見ました。とてもおもしろかったので、彼のエッセイ集『酒場詩人の流儀』(2014)を買ってみました。
この作品の内容については、ブックカバー(全面帯)裏表紙の解説文を引用します。
 春は新潟の酒蔵で桜の花を愛で、夏は秩父山系の尾根筋を踏破し、秋は青森に収穫も佳境のリンゴ園を訪れ、冬はオホーツクの海で流氷に眺め入る。――旅から旅への日々は、はや半世紀に及ぶ。酒と俳句はいつでも良き伴侶だった。大町桂月、種田山頭火、若山牧水らを酒飲み詩人の先達と仰ぐ著者は、日本各地をめぐり、出会った人たちと「酒縁」を結ぶ。大衆酒場ブームの火付け役が、独特の感性で綴った紀行エッセイ。

◆以下、「機ー鯏未陵傾圈廚粒謄┘奪札い僚わりに付された俳句を一覧にしました。各エッセイはそれぞれ2ページ程度の短文ですが、これらの俳句がその短さを補ってあまりある、なんて言ったら言い過ぎかもしれませんが、味わい深い句が多いと思います。

  酒精火(しゅせいび)となりて遊行の枯野かな
  獣撃つ野に一瞬の冬紅葉(ふゆもみじ)
  冬の罠一角獣の眠る街
  啓蟄や釈迦の足(あ)うらの渦文様(うずもんよう)
  痴に聖にきみほろ酔うてうららなり

  ハイテクの罠に堕ちたる不夜の街
  山菜は春妖精の爪手足
  イザナミの弥生じゅういち瞼開(まぶたあ)く
  ひとひらの記憶剥離す白木蓮
  蟻はこぶ中年男を布団ごと

  春の水ニンフ浴せしうすにごり
  若牛(わかべこ)の春泥ここぞと尾を振らん
  落とし角岬の風のおさまらず
  馴初めも神の采配白菖蒲
  僧に非ず俗とも成れず火酒(ひざけ)呑む

  故郷(ふるさと)は夕虹(ゆうにじ)のさき越後酒
  地酒酌む岩魚の日々を遡りつつ
  誰(た)が魂(たま)かポーと浮きたる昼の月
  火酒(かしゅ)過ぎて亡者の船に揺られたる
  でも空は真夏の青よ別れ道

  火垂(ほうた)るのながきうなじをのぼりたる
  生酒(きざけ)酌む切子グラスに架かる虹
  月は只こころに在りて変幻す
  天地(あめつち)はまだ混沌の炎暑かな


でも空は真夏の青よ別れ道
 お気に入りの一句です。
◆「供’の駆け込み酒場(エッセイ23編)」「掘ー魄濟躾佑侶鷲茵米23編)」「検ー鮴困寮弔炎(同23編)」については、期待を込めて読み続けましたが、なかなかシンパシーを感じる文章に出会えず、途中で読むのをやめてしまいました。機会があったら再度チャレンジしようと思います。

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