今日、上野恩賜公園内にある東京国立博物館で「特別展 平安の秘仏――滋賀櫟野寺の大観音とみほとけたち」を見ました。秘仏《十一面観音菩薩坐像》をはじめ、滋賀県櫟野寺(らくやじ)の仏像20体が展示されていました。
8月に奈良県聖林寺の《十一面観音立像》に出会って以来、十一面観音に心惹かれるようになりました。10月末には室生寺や長谷寺、法華寺、海龍王寺等(いずれも奈良県)を訪ね、それぞれのお寺の十一面観音を見る予定でしたが、家の都合で直前にキャンセルせざるをえませんでした。そんな時、この特別展の開催を知り、ぜひ見ようと思っていました。しかし、延び延びになり、今日になってしまいました。櫟野寺の《十一面観音菩薩坐像》は秘仏で、本来特別拝観日以外は見られません。しかも、現在櫟野寺では本堂及び文化財収蔵庫(宝物殿)の改修中で、平成30年10月まで公開しないとのこと。今回、上野で見られたのはとてもラッキーでした。
8月に奈良県聖林寺の《十一面観音立像》に出会って以来、十一面観音に心惹かれるようになりました。10月末には室生寺や長谷寺、法華寺、海龍王寺等(いずれも奈良県)を訪ね、それぞれのお寺の十一面観音を見る予定でしたが、家の都合で直前にキャンセルせざるをえませんでした。そんな時、この特別展の開催を知り、ぜひ見ようと思っていました。しかし、延び延びになり、今日になってしまいました。櫟野寺の《十一面観音菩薩坐像》は秘仏で、本来特別拝観日以外は見られません。しかも、現在櫟野寺では本堂及び文化財収蔵庫(宝物殿)の改修中で、平成30年10月まで公開しないとのこと。今回、上野で見られたのはとてもラッキーでした。
◆特別展
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櫟野寺十一面観音菩薩坐像(特別展図録を複写)
櫟野寺十一面観音菩薩坐像(特別展図録を複写)
同
同
本尊の十一面観音菩薩坐像は、大きな厨子の扉の奥に秘仏としてまつられています。像高が312cmに及ぶ巨像ですが、頭と体を一本の木から彫り出す一木造です。頬が張ってやや角張り、目尻を吊上げた細く厳しい目、太い鼻、厚い唇といった威厳に満ちた表情をしています。厨子の中ではよくみえませんが、頭上には仏面と菩薩面が十一個ついています。腹部の二本の線や、広々とした脚部とそこに配される整然とした衣の襞(ひだ)は、研究者のあいだで「天台薬師」と呼ばれる、最澄が彫ったという薬師如来像にならった像にみられる特徴です。(特別展図録P15)
〈重要文化財〉十一面観音菩薩坐像
木造・漆箔・彩色/像高312.0/平安時代 10世紀
櫟野寺の本尊。髪際(はっさい)高一丈六尺の、重要文化財に指定された像のなかで日本最大の十一面観音菩薩坐像です。平安時代後期、洛中を中心に藤原摂関家や天皇、上皇の発願によって巨像が多数造られましたが、この像はそれをさかのぼる時期に都から少し離れた甲賀(こうか)につくられたことが注目されます。巨像をつくるには人手と資金が必要で、それを供給する力がこの地に注がれたことがわかります。
頭上に十一面を戴きます。その内訳は頂上に仏面、髻(もとどり)の周囲に菩薩面3、瞋怒(しんぬ)面3、牙上出(げじょうしゅつ)面3、大笑(だいしょう)面1で、正面中央には化仏(けぶつ)立像を付します。菩薩面は丸顔で伏し目、鼻梁が太く唇の厚い容貌が、瞋怒面以下は目が丸々と大きく、引き締まった肉付きに10世紀の特徴が顕著です。
本面は頬の肉付きが豊かな下膨れの顔で、眉は稜(りょう)を立てて弓状に孤を描きます。眼球の膨らみが強いので目が鋭く見えます。鼻と口の間が狭く、かたちの良い唇もたっぷり肉が付いています。容貌は端正で、頭上の菩薩面に比べて洗練されています。からだは上体の丈が長く、均整がとれています。条じょうはく)や裙(くん)に刻まれた衣文(えもん)は鎬(しのぎ)立っていますが浅く、そして平行に整えられています。(同P79)
〈重要文化財〉十一面観音菩薩坐像
木造・漆箔・彩色/像高312.0/平安時代 10世紀
櫟野寺の本尊。髪際(はっさい)高一丈六尺の、重要文化財に指定された像のなかで日本最大の十一面観音菩薩坐像です。平安時代後期、洛中を中心に藤原摂関家や天皇、上皇の発願によって巨像が多数造られましたが、この像はそれをさかのぼる時期に都から少し離れた甲賀(こうか)につくられたことが注目されます。巨像をつくるには人手と資金が必要で、それを供給する力がこの地に注がれたことがわかります。
頭上に十一面を戴きます。その内訳は頂上に仏面、髻(もとどり)の周囲に菩薩面3、瞋怒(しんぬ)面3、牙上出(げじょうしゅつ)面3、大笑(だいしょう)面1で、正面中央には化仏(けぶつ)立像を付します。菩薩面は丸顔で伏し目、鼻梁が太く唇の厚い容貌が、瞋怒面以下は目が丸々と大きく、引き締まった肉付きに10世紀の特徴が顕著です。
本面は頬の肉付きが豊かな下膨れの顔で、眉は稜(りょう)を立てて弓状に孤を描きます。眼球の膨らみが強いので目が鋭く見えます。鼻と口の間が狭く、かたちの良い唇もたっぷり肉が付いています。容貌は端正で、頭上の菩薩面に比べて洗練されています。からだは上体の丈が長く、均整がとれています。条じょうはく)や裙(くん)に刻まれた衣文(えもん)は鎬(しのぎ)立っていますが浅く、そして平行に整えられています。(同P79)
◆常設展
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曹源寺(神奈川県)十二神将立像。東京国立博物館では「撮影禁止」マークがなければ撮影可能です。ただし、フラッシュ撮影は不可。
曹源寺(神奈川県)十二神将立像。東京国立博物館では「撮影禁止」マークがなければ撮影可能です。ただし、フラッシュ撮影は不可。
特別展を見たあと、常設展の仏像を見ました。こちらにも十一面観音が2体展示されていました。奈良県子嶋寺の十一面観音菩薩立像(平安時代・9世紀)と同當麻寺の十一面観音菩薩立像(平安時代・11世紀)です。子嶋寺の十一面観音は木造ですが、薬師寺東院堂の聖観音(東京国立博物館にレプリカ展示)を連想するくらい、いい表情だったと思います。
◆グッズ・土産
・図録「特別展 平安の秘仏――滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」
・絵ハガキ
・図録「特別展 平安の秘仏――滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」
・絵ハガキ