今日、種田山頭火の句集『山頭火句集』(村上護編、小侃画)を読み終えました。以前、春陽堂版(村上護編)を読みましたが、新たな気持ちで読みたいと思い、今回ちくま文庫版を購入しました。
この句集について、ブックカバー裏表紙の解説を引用します。
この句集について、ブックカバー裏表紙の解説を引用します。
「最初の不幸は母の自殺。第二の不幸は酒癖。第三の不幸は結婚、そして父になった事」――家を捨て、妻子とも別れ、俗世の一切から放たれて、「行乞流転の旅」の日々を、一行の俳句に託すしかなかった山頭火。うしろすがたのしぐれる放浪の俳人の全容を伝える一巻選集! 自選句集「草木塔」を中心に、作者の境涯を象徴する随筆も精選収録する。
なお、この句集は以下のような構成になっています。
◆俳句
◇『草木塔』
鉢の子/其中一人/行乞途上/山行水行/旅から旅へ/雑草風景/柿の葉/銃後/孤寒/旅心/鴉
◇『草木塔』以後
四国遍路/一草庵
◇出家以前
◆随筆
私を語る/『鉢の子』から『其中庵』まで/私の生活/寝床/漬物の味/水/歩々到着/故郷/独慎/道/草木塔/片隅の幸福/白い花/草と虫とそして…/述懐
◆山頭火年譜
◆さくいん
◆解説「山頭火の境涯と俳句」(村上護)
◆俳句
◇『草木塔』
鉢の子/其中一人/行乞途上/山行水行/旅から旅へ/雑草風景/柿の葉/銃後/孤寒/旅心/鴉
◇『草木塔』以後
四国遍路/一草庵
◇出家以前
◆随筆
私を語る/『鉢の子』から『其中庵』まで/私の生活/寝床/漬物の味/水/歩々到着/故郷/独慎/道/草木塔/片隅の幸福/白い花/草と虫とそして…/述懐
◆山頭火年譜
◆さくいん
◆解説「山頭火の境涯と俳句」(村上護)
以下、気になった句を引用しようと思います。
松はみな枝垂れて南無観世音
松風に明け暮れの鐘撞いて
ひさしぶりに掃く垣根の花が咲いてゐる
分け入つても分け入つても青い山
この旅、果もない旅のつくつくぼうし
歩きつづける彼岸花咲きつづける
まつすぐな道でさみしい
しぐるるやしぐるる山へ歩み入る
また見ることもない山が遠ざかる
どうしようもないわたしが歩いてゐる
すべつてころんで山がひつそり
雨の山茶花の散るでもなく
捨てきれない荷物のおもさまへうしろ
年とれば故郷こひしいつくつくぼうし
酔うてこほろぎと寝てゐたよ
また逢へた山茶花も咲いてゐる
物乞ふ家もなくなり山には雲
うしろすがたのしぐれてゆくか
笠へぽつとり椿だつた
あれこれ食べるものはあつて風の一日
誰か来さうな空が曇つてゐる枇杷の花
やつぱり一人がよろしい雑草
けふもいちにち風をあるいてきた
うつむいて石ころばかり
いそいでもどるかなかなかなかな
旅の法衣がかわくまで雑草の風
わがままきままな旅の雨にはぬれてゆく
ひさびさもどれば筍によきによき
ほととぎすあすはあの山こえて行かう
夕立が洗つていつた茄子をもぐ
ここにかうしてわたしおいてゐる冬夜
椿のおちる水のながれる
誰か来さうな雪がちらほら
ふくろうはふくろうでわたしはわたしでねむれない
病みて一人の朝がゆふべとなりゆく青葉
柿の若葉のかがやく空を死なずにゐる
うれしいこともかなしいことも草しげる
蜘蛛は網張る私は私を肯定する
ここにわたしがつくつくぼうしがいちにち
昼寝さめてどちらを見ても山
ここで寝るとする草の実のこぼれる
さて、どちらへ行かう風がふく
けふはここまでの草鞋をぬぐ
燕とびかふ旅から旅へ草鞋を穿く
山ふかく蕗のとうなら咲いてゐる
あすはかへらうさくらちるちつてくる
日かげいつか月かげとなり木のかげ
悔いるこころに日が照り小鳥来て啼くか
住みなれて藪椿いつまでも咲き
何を求める風の中ゆく
春風の扉ひらけば南無阿弥陀仏
花が葉になる東京よさようなら
今日の足音のいちはやく橋をわたりくる
こころおちつけば水の音
からむものがない蔓草の枯れてゐる
山ふところの、ことしもここにりんだうの花
風の中おのれを責めつつ歩く
われをしみじみ風が出て来て考へさせる
がちやがちやがちやがちや鳴くよりほかない
窓あけて窓いつぱいの春
朝焼夕焼食べるものがない
飯のうまさが青い青い空
ビルとビルとのすきまから見えて山の青さよ
ひつそり蕗のとうここで休まう
人に逢はなくなりてより山のてふてふ
ふつとふるさとのことが山椒の芽
どこでも死ねるからだで春風
このみちをたどるほかない草のふかくも
たまたまたづね来てその泰山木が咲いてゐて
寝床まで月を入れ寝るとする
まがると風が海ちかい豌豆畑
石を枕に雲のゆくへを
あすはおまつりのだんじり組みあげて、雲
南無観世音おん手したたる水の一すぢ
秋空ただよふ雲の一人となる
のぼりつめてすこしくだれば秋の寺
暮れると寝て明けるよりあるく山また山
泊めてくれない折からの月が行手に
月夜あかるい舟がありその中に寝る
ふたたびはわたらない橋のながいながい風
朝は晴れ夕べはくもる旅から旅へ
お山のぼりくだり何かおとしたやうな
しぐれてぬれて旅ごろもしぼつてはゆく
泊るところがないどかりと暮れた
旅で果てることもほんに秋空
夜の長さ夜どほし犬にほえられて
遠ざかるうしろ姿の夕焼けて
こしかたゆくすえ雪あかりする
をなごまちのどかなつきあたりは山門
夕焼雲のうつくしければ人の恋しき
朝湯こんこんあふるるまんなかのわたくし
もりもりもりあがる雲へ歩む
おもひでがそれからそれへ酒のこぼれて
松はみな枝垂れて南無観世音
松風に明け暮れの鐘撞いて
ひさしぶりに掃く垣根の花が咲いてゐる
分け入つても分け入つても青い山
この旅、果もない旅のつくつくぼうし
歩きつづける彼岸花咲きつづける
まつすぐな道でさみしい
しぐるるやしぐるる山へ歩み入る
また見ることもない山が遠ざかる
どうしようもないわたしが歩いてゐる
すべつてころんで山がひつそり
雨の山茶花の散るでもなく
捨てきれない荷物のおもさまへうしろ
年とれば故郷こひしいつくつくぼうし
酔うてこほろぎと寝てゐたよ
また逢へた山茶花も咲いてゐる
物乞ふ家もなくなり山には雲
うしろすがたのしぐれてゆくか
笠へぽつとり椿だつた
あれこれ食べるものはあつて風の一日
誰か来さうな空が曇つてゐる枇杷の花
やつぱり一人がよろしい雑草
けふもいちにち風をあるいてきた
うつむいて石ころばかり
いそいでもどるかなかなかなかな
旅の法衣がかわくまで雑草の風
わがままきままな旅の雨にはぬれてゆく
ひさびさもどれば筍によきによき
ほととぎすあすはあの山こえて行かう
夕立が洗つていつた茄子をもぐ
ここにかうしてわたしおいてゐる冬夜
椿のおちる水のながれる
誰か来さうな雪がちらほら
ふくろうはふくろうでわたしはわたしでねむれない
病みて一人の朝がゆふべとなりゆく青葉
柿の若葉のかがやく空を死なずにゐる
うれしいこともかなしいことも草しげる
蜘蛛は網張る私は私を肯定する
ここにわたしがつくつくぼうしがいちにち
昼寝さめてどちらを見ても山
ここで寝るとする草の実のこぼれる
さて、どちらへ行かう風がふく
けふはここまでの草鞋をぬぐ
燕とびかふ旅から旅へ草鞋を穿く
山ふかく蕗のとうなら咲いてゐる
あすはかへらうさくらちるちつてくる
日かげいつか月かげとなり木のかげ
悔いるこころに日が照り小鳥来て啼くか
住みなれて藪椿いつまでも咲き
何を求める風の中ゆく
春風の扉ひらけば南無阿弥陀仏
花が葉になる東京よさようなら
今日の足音のいちはやく橋をわたりくる
こころおちつけば水の音
からむものがない蔓草の枯れてゐる
山ふところの、ことしもここにりんだうの花
風の中おのれを責めつつ歩く
われをしみじみ風が出て来て考へさせる
がちやがちやがちやがちや鳴くよりほかない
窓あけて窓いつぱいの春
朝焼夕焼食べるものがない
飯のうまさが青い青い空
ビルとビルとのすきまから見えて山の青さよ
ひつそり蕗のとうここで休まう
人に逢はなくなりてより山のてふてふ
ふつとふるさとのことが山椒の芽
どこでも死ねるからだで春風
このみちをたどるほかない草のふかくも
たまたまたづね来てその泰山木が咲いてゐて
寝床まで月を入れ寝るとする
まがると風が海ちかい豌豆畑
石を枕に雲のゆくへを
あすはおまつりのだんじり組みあげて、雲
南無観世音おん手したたる水の一すぢ
秋空ただよふ雲の一人となる
のぼりつめてすこしくだれば秋の寺
暮れると寝て明けるよりあるく山また山
泊めてくれない折からの月が行手に
月夜あかるい舟がありその中に寝る
ふたたびはわたらない橋のながいながい風
朝は晴れ夕べはくもる旅から旅へ
お山のぼりくだり何かおとしたやうな
しぐれてぬれて旅ごろもしぼつてはゆく
泊るところがないどかりと暮れた
旅で果てることもほんに秋空
夜の長さ夜どほし犬にほえられて
遠ざかるうしろ姿の夕焼けて
こしかたゆくすえ雪あかりする
をなごまちのどかなつきあたりは山門
夕焼雲のうつくしければ人の恋しき
朝湯こんこんあふるるまんなかのわたくし
もりもりもりあがる雲へ歩む
おもひでがそれからそれへ酒のこぼれて