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せきしろ×又吉直樹『カキフライが無いなら来なかった』を読みました。

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せきしろ×又吉直樹の『カキフライが無いなら来なかった』を読みました。妄想文学の鬼才(らしい)せきしろとお笑いコンビ「ピース」の又吉による自由律俳句とエッセイ、写真で構成された本です。
初めて読んで、心に引っかかった句をいくつか紹介します。

  【せきしろ
    目を開けていても仕方ないので閉じる
    風が運んできたのはカナブンの亡骸
    雨と冷蔵庫の音に挟まれ寝る
    間違えたビニール傘に知らない人の温もり
    降り損ねたことを悟られぬよう車窓見る
    下向いて歩いてなければ拾えなかった
    ラモーンズが何かわからず着ているようだ
    押すのか引くのかスライドかそもそもドアではないのか
    僅かなひだまりに猫が重なって山
    女子に電話するために探した用事今日は立夏

  【又吉直樹
    転んだ彼女を見て少し嫌いになる
    家具屋のソファに二人で座る
    一昨年決めた感傷的になってもいい公園にいる
    いつか登ろうと言ったきりの高尾山
    このベンチは止めよう昔ちょっと
    二回目でも初めて聞くふり
    太字で伝える程のことか
    ワタシモアソビダッタシ
    ブランコの止め方を教わって無かった
    まだ何かに選ばれることを期待している

※太宰治にまつわるエッセイ――せきしろ「マフラーの巻き方を変える寒さ」・又吉直樹「ファーストキスが太宰の命日」――がいいです。

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