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佐藤賢一『ハンニバル戦争』を読みました。

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今日、佐藤賢一の『ハンニバル戦争』(2016)を読み終えました。
この作品について、帯に書かれた解説を引用します。
古代地中海の覇権をかけた壮大な物語が、今、幕を開ける――。
時は紀元前三世紀。広大な版図を誇ったローマ帝国の歴史の中で、史上最大の敵とされた男がいた。カルタゴの雷神・バルにあやかりつけられた名はハンニバル。わかる、わかる、全てがわかる。戦を究めた稀代の猛将軍・ハンニバルが、復讐の名の下に立ち上がり、今、アルプスを越えた。予測不可能な強敵を前に、ローマも名家生まれの主人公・スキピオは、愛する家族と祖国を守りぬくことができるのか?
『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』に続く「ローマ三部作」、堂々完結。

【感想等】
◆ポエニ戦争(第1次:前264-前241、第2次:前219-前201、第3次:前149-前146)は、共和政ローマとカルタゴとの間で争われた地中海の覇権をめぐる戦いです。この戦争を考える時まっ先に思い浮かぶのは、カルタゴの将軍ハンニバル(前247-183頃)と彼が指揮したカンナエ(カンネー)の戦い(前216)だと思います。
◆この作品の主人公はローマの将軍スキピオ(前236-183頃)です。彼は7万のローマ兵が包囲殲滅されたカンナエの戦いから命からがら生還し、やがてザマの戦い(前202)でハンニバルに勝利します。
スキピオはハンニバルに復讐するため、兵法書や歴史書を徹底的に研究しますが、最終的に彼が確信したのは「ハンニバルに勝つには、ハンニバルに学ぶことだ。そうしてハンニバルになることだ」(P228)ということでした。スキピオはカンナエの戦いにおけるハンニバルの戦法を徹底的に研究し、その後のカルタゴとの戦いの中でそれを実践していきます。そして、ハンニバルとの最終決戦、ザマの戦いを迎えます。
◆スキピオはザマの戦いにおいてカルタゴ軍を包囲殲滅し、ローマは地中海の覇権を確立します。しかし、スキピオはザマの戦いにおける包囲殲滅が、カンナエの戦いほどでなかったことから、自分はハンニバルにはなれなかったと述懐します。カンナエの戦いといい、ザマの戦いといい、敵の包囲の中に追い詰められた兵士たちの絶望と苦しみはいかばかりかと想像されます。
◆スキピオは「スキピオ・アフリカヌス」と尊称され、その後のローマで重要な地位を占めますが、やがて失脚し不遇のうちに死を迎えまます。一方のハンニバルもやがて自死に追い込まれてしまいます。二人の英雄の人生におけるピークは第2次ポエニ戦争(ハンニバル戦争)だったのですね。

【参考】第二次ポエニ戦争
 第二次ポエニ戦争は、共和政ローマとカルタゴとの間で紀元前219年から紀元前201年にかけて戦われた戦争。ローマ、カルタゴ間の戦争はカルタゴの住民であるフェニキア人のローマ側の呼称からポエニ戦争と総称されるが、この戦争は全3回のポエニ戦争の2回目にあたる。またこの戦争において、カルタゴ側の将軍ハンニバル・バルカはイタリア半島の大部分を侵略し、多大な損害と恐怖をローマ側に残したため、この戦争はハンニバル戦争とも称される。(Wikipediaより)

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