今日、スチュアート・ウッズの『警察署長』(真野明裕、1984)を読み終えました。
この作品について、文庫本ブックカバー裏表紙の解説を引用します。
この作品について、文庫本ブックカバー裏表紙の解説を引用します。
1920年冬、ジョージア州の田舎町デラノの郊外で若者の全裸死体が発見された。初代の警察署長ウィル・ヘンリー・リーは、秘密結社K・K・Kの犯行と見て捜査を開始。だが、死体には警察関係者の手によって尋問された形跡があった。調査の末、やがて意外な人物が浮かびあがるが、そのときウィル・ヘンリーを思わぬ事件が襲った! 40数年に及ぶ殺人事件を多彩な登場人物を配して描く大河警察小説。MWA(引用者注:アメリカ探偵作家クラブ)最優秀新人賞受賞。(上巻)
第二次世界大戦後、署長に抜擢されたサニー・バッツ。彼はウィル・ヘンリーの残したメモから殺人事件のことを知るが、犯人の逮捕をあせって、思わぬ陥穽に落ちてしまう。それから十余年が過ぎ、今度は初の黒人署長タッカー・ワッツが前任者二人が解きえなかった事件に挑む。だが、間近に迫った知事選に黒人差別を続ける反動勢力の策謀が絡み、捜査は複雑な様相を呈してきた! 全米に賞賛に渦を巻き起こした感動の力作巨篇。(下巻)
第二次世界大戦後、署長に抜擢されたサニー・バッツ。彼はウィル・ヘンリーの残したメモから殺人事件のことを知るが、犯人の逮捕をあせって、思わぬ陥穽に落ちてしまう。それから十余年が過ぎ、今度は初の黒人署長タッカー・ワッツが前任者二人が解きえなかった事件に挑む。だが、間近に迫った知事選に黒人差別を続ける反動勢力の策謀が絡み、捜査は複雑な様相を呈してきた! 全米に賞賛に渦を巻き起こした感動の力作巨篇。(下巻)
【感想等】
◆1920年代、そして1940年代、ジョージア州では黒人差別が当然のように行われていました。黒人はまともな仕事に就くことが難しく、貧しいのが当たり前でした。K・K・Kや「黒人用校舎」などが当然のことのように描かれています。
黒人に対する差別や悪意の象徴がホス・スペンスであり、サニー・バッツです。彼らの犠牲になったジェシー・コールとマーシャル・パーカーの最期があまりにも悲惨です。
◆初代警察署長はウィル・ヘンリー・リー。署長といっても署員は彼一人だけです。極悪非道な連続殺人犯に対し、単独での捜査は危ういと思っていましたが、案の定、彼は犯人が誰か確証を得たと同時に悲惨な最期を遂げます。読者として、とてもやりきれない展開でした。
◆3代目署長サニー・バッツはその悪業が数多く描かれていましたから、その悲惨な最期は想像通りでしたが、あまりにも哀れです。彼の残忍さや狂気は彼自身の性格だけではなく、彼の育った南部という環境や戦争での体験が大きく影響しているように思うからです。
◆初の黒人署長タッカー・ワッツが登場するのは1960年代初頭です。いまだに黒人差別が激しく、彼は苦境に陥りますが、《ニューヨーク・タイムズ》アトランタ支局所属の新聞記者ジョン・ハウエルの協力を得て、ウィル・ヘンリー・リーやサニー・バッツが解決できなかった難事件を解決します。
『湖底の家』の主人公ジョン・ハウエルがこの作品に登場することも、この作品を読むきっかけになりました。
◆連続殺人事件があり、南部における人種差別問題があり、また人種差別と絡めた政治の問題があり、とても読み応えのある作品でした。ストーリー・テーリングのおもしろさは、さすがアメリカって感じました。
◆1920年代、そして1940年代、ジョージア州では黒人差別が当然のように行われていました。黒人はまともな仕事に就くことが難しく、貧しいのが当たり前でした。K・K・Kや「黒人用校舎」などが当然のことのように描かれています。
黒人に対する差別や悪意の象徴がホス・スペンスであり、サニー・バッツです。彼らの犠牲になったジェシー・コールとマーシャル・パーカーの最期があまりにも悲惨です。
◆初代警察署長はウィル・ヘンリー・リー。署長といっても署員は彼一人だけです。極悪非道な連続殺人犯に対し、単独での捜査は危ういと思っていましたが、案の定、彼は犯人が誰か確証を得たと同時に悲惨な最期を遂げます。読者として、とてもやりきれない展開でした。
◆3代目署長サニー・バッツはその悪業が数多く描かれていましたから、その悲惨な最期は想像通りでしたが、あまりにも哀れです。彼の残忍さや狂気は彼自身の性格だけではなく、彼の育った南部という環境や戦争での体験が大きく影響しているように思うからです。
◆初の黒人署長タッカー・ワッツが登場するのは1960年代初頭です。いまだに黒人差別が激しく、彼は苦境に陥りますが、《ニューヨーク・タイムズ》アトランタ支局所属の新聞記者ジョン・ハウエルの協力を得て、ウィル・ヘンリー・リーやサニー・バッツが解決できなかった難事件を解決します。
『湖底の家』の主人公ジョン・ハウエルがこの作品に登場することも、この作品を読むきっかけになりました。
◆連続殺人事件があり、南部における人種差別問題があり、また人種差別と絡めた政治の問題があり、とても読み応えのある作品でした。ストーリー・テーリングのおもしろさは、さすがアメリカって感じました。