夏目雅子。大好きな女優でした。
彼女は1985年9月11日、27歳という若さでこの世を去りました。
彼女の七回忌にあたる1991年9月11日、『夏目雅子写真集 星花火』が刊行されました。この本は写真集ですが、東京俳句俱楽部に所属し「海童」という俳号を持つ彼女の句集でもあります。以下、この本に収録された彼女の全句を引用します。
彼女は1985年9月11日、27歳という若さでこの世を去りました。
彼女の七回忌にあたる1991年9月11日、『夏目雅子写真集 星花火』が刊行されました。この本は写真集ですが、東京俳句俱楽部に所属し「海童」という俳号を持つ彼女の句集でもあります。以下、この本に収録された彼女の全句を引用します。
水中花 何想う 水のなか
風鈴よ 自分で揺れて 踊ってみたまえ
雷鼓鳴り 耳ふさぐ夕餉 闇の中
蟻ん子 手の平にのせ 我侘しむ
ぬぐっても ぬぐっても 汗みどろ
油照り 汗もなく立つ 忠犬ハチコウ
オリンピック 観る人もする人も 滝の汗
雷鼓鳴り 耳ふさぐ夕餉 闇の中
蟻ん子 手の平にのせ 我侘しむ
ぬぐっても ぬぐっても 汗みどろ
油照り 汗もなく立つ 忠犬ハチコウ
オリンピック 観る人もする人も 滝の汗
雪の芽を つけて春待つ 梅の里
富士の山 余寒の雪の 目にしみて
野蒜摘む 老婆の爪の ひび割れて
富士の山 余寒の雪の 目にしみて
野蒜摘む 老婆の爪の ひび割れて
折れている 月見草の花 情人(いろ)変り
恋猫や なよやかに泣く 間夫(まぶ)の宿
阿婆擦れた 裸娘(らっこ)の肌に 浮雲の影
阿婆擦れた 裸娘(らっこ)の肌に 浮雲の影
青蚊帳に いつしかとなく 落日
夏めきし 青蚊帳の肌 なまめいて
湯文字 乱れし 冷奴の白
夏めきし 青蚊帳の肌 なまめいて
湯文字 乱れし 冷奴の白
夕暮れに 芝焼き燃える 天を見つ
ゴーゴーってる 流氷の音 床の中
叩いても叩いても 咳(しはぶ)いて 壊(こは)れた
ゴーゴーってる 流氷の音 床の中
叩いても叩いても 咳(しはぶ)いて 壊(こは)れた
寄せ鍋や 湯気かき集め 一人じめ
セーターの 始めての赤 灯に揺れて
臨席の 落第の娘の 肩を抱く
臨席の 落第の娘の 肩を抱く
結婚は 夢の続きや ひな祭り
傾けば 冬の夜に 温
寒空に 赤い火は 有難い
聖夜 吉兆の星か 兆(きざし)の星か
釈迦力に 何故第九 群れて奏でる
屋台まで 讃美歌きこゆ 聖夜かな
寒空に 赤い火は 有難い
聖夜 吉兆の星か 兆(きざし)の星か
釈迦力に 何故第九 群れて奏でる
屋台まで 讃美歌きこゆ 聖夜かな
梅酒たいらげ 梅をかじって 舌つづみ
鰺喰らふ 味も分からず 思案顔
通り雨 そっと握った 蝉の抜け殻
鰺喰らふ 味も分からず 思案顔
通り雨 そっと握った 蝉の抜け殻
時雨てよ 足元が 歪むほどに
あの人を 鳥引く群れが 連れて行く
あの人を 鳥引く群れが 連れて行く
間断の 音なき空に 星花火