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村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』を読みました。(4回目)

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 今日、村上春樹の長編第6作『ダンス・ダンス・ダンス』(1988)を読み終えました。(4回目)
 この作品について、文庫本ブックカバー裏表紙の解説を引用します。
上巻
 『羊をめぐる冒険』から4年、激しく雪の降りしきる札幌の街から「僕」の新しい冒険が始まる。奇妙で複雑なダンス・ステップを踏みながら「僕」はそに暗く危険な運命の迷路をすり抜けていく。70年代の魂の遍歴を辿った著者が80年代を舞台に、新たな価値を求めて闇と光の交錯を鮮やかに描きあげた話題作。
下巻
 失われた心の震えを回復するために、「僕」は様々な喪失と絶望の世界を通り抜けていく。渋谷の雑踏からホノルルのダウンタウンまで――。そこではあらゆることが起こりうる。羊男、美少女、娼婦、片腕の詩人、映画スター、そして幾つかの殺人が――。デビュー10年、新しい成熟に向かうムラカミ・ワールド。

【感想等】
◆「僕」はキキの行方を求めて、東京→札幌→東京→ホノルル→東京、と移動を続けます。そうした中、ユミヨシさんやユキ、五反田君らと出会い、やがてキキの行方も判明します。

◆「僕」と五反田君の交流を通じ、友情について描かれています。五反田君を失った時の「僕」の喪失感が心に残りました。僕も友だちについて考えさせられました。

◆作品中に登場する音楽のリストを作る試みはこれまでに何度もしましたが、今回やっと出来ました。これをヒントにお気に入りのアルバムやアーティストを見つけたいと思います。



◆主な登場人物(登場順)
・僕(34)
・キキ
・羊男
・ユミヨシさん(23)
・ユキ(13)
・五反田君(五反田亮一)
・メイ
・漁師
・文学
・牧村拓
・書生のフライデー(中村)
・アメ
・ディック・ノース
・ジューン

◆気になった文章
・「踊るんだよ」羊男は言った。「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言ってることはわかるかい? 踊るんだ。踊り続けるんだ。何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。そんなこと考えだしたら足が停まる。一度足が停まったら、もうおいらには何ともしてあげられなくなってしまう。あんたの繋がりはもう何もなくなってしまう。永遠になくなってしまうんだよ。そうするとあんたはこっちの世界の中でしか生きていけなくなってしまう。どんどんこっちの世界に引き込まれてしまうんだ。だから足を停めちゃいけない。どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。きちんとステップを踏んで踊り続けるんだよ。そして固まってしまったものを少しずつでもいいからほぐしていくんだよ。まだ手遅れになっていないものもあるはずだ。使えるものは全部使うんだよ。ベストを尽くすんだよ。怖がることは何もない。あんたはたしかに疲れている。疲れて、脅えている。誰にでもそういう時がある。何もかもが間違っているように感じられるんだ。だから足が停まってしまう」
 僕は目を上げて、また壁の上の影をしばらく見つめた。
「でも踊るしかないんだよ」と羊男は続けた。「それもとびっきり上手く踊るんだ。みんなが感心するくらいに。そうすればおいらもあんたのことを、手伝ってあげられるかもしれない。だから踊るんだよ。音楽の続く限り」(上巻 P182-183)

・「ふふん」と彼女はどちらかというと否定的に言った。
「ふふん」と僕はどちらかというと肯定的に言った。(上巻 P218)
「ふうん」と彼女は言った。肯定的でも否定的でもない、あくまで中立的な「ふうん」だった。(下巻 P252)

・「本当にいいものはとても少ない。何でもそうだよ。本でも、映画でも、コンサートでも、本当にいいものは少ない。ロック・ミュージックだってそうだ。いいものは一時間ラジオを聴いて一曲くらいしかない。あとは大量生産の屑みたいなもんだ。(上巻 P233)

・でも僕は紀ノ国屋で買い物するのが好きだ。馬鹿げた話だけど、ここの店のレタスがいちばん長持ちするのだ。どうしてかはわからない。でもそうなのだ。閉店後にレタスを集めて特殊な訓練をしているのかもしれない。もしそうだとしても僕は全然驚かない。高度資本主義社会ではいろんなことが可能なのだ。(上巻 P263)

・「僕」はユキを連れてハワイに行くことになりますが、ハワイなんてどうってことないという、それぞれの言葉がおもしろい。
牧村拓「シベリアに行くわけじゃない」
ユキ「カトマンズに行くわけじゃないもの」
フライデー「ジンバブエに行くわけじゃないですから」
僕「何も象牙海岸に行くわけじゃない」(下巻 P45-55)

・我々はどちらももう30を過ぎた大人なのだ。誰と寝るかくらい自分で選ぶしかないし、渦だろうが竜巻だろうが砂嵐だろうが自分が選んだからにはなんとかそれでやっていくしかないのだ。(下巻 P95-96)

・僕はふと結婚生活を思い出した。そういえば結婚している時にはこういうのが何度もあったっけな、と僕は思った。僕は何度も妻を傷つけて、何度も謝った。そういう時、妻もまた何時間も何時間も僕と口をきいてくれなかった。どうしてそんなに傷つくんだろう、と僕はよく思ったものだ。考えてみればそれほど大したことじゃないのに、と僕は思った。でも僕はいつもそういう時には我慢強く謝り、説明し、その傷を癒すように努めた。そしてそういう作業を積み重ねることによって我々の関係は向上していると考えていた。でも結末を見ればわかるように、多分向上なんかしなかったんだろう。(下巻 P131-132)

・「人というものはあっけなく死んでしまうものだ。人の生命というのは君が考えているよりずっと脆いものなんだ。だから人は悔いの残らないように人と接するべきなんだ。公平に、できることなら誠実に。そういう努力をしないで、人が死んで簡単に泣いて後悔したりするような人間を僕は好まない」(下巻 P239)

◆作品中に登場する音楽/ミュージシャン一覧
🎵 ヒューマン・リーグ
🎵 ラジオから流れる音楽~フリートウッド・マック、アバ、メリサ・マンチェスター、ビージーズ、KCアンド・ザ・サンシャインバンド、ドナ・サマー、イーグルス、ボストン、コモドアズ、ジョン・デンヴァー、シカゴ、ケニー・ロギンズ
🎵 「僕」らがティーン・エイジャーだったころラジオから流れていた音楽~ナンシー・シナトラ、モンキーズ、エルヴィス・プレスリー、トリニ・ロペス、パット・ブーン、フェビアン、ボビー・ライデル、アネット、ハーマンズ・ハーミッツ、ハニカムズ、デイブ・クラーク・ファイブ、ジェリーとペースメーカーズ、フレディーとドリーマーズ、ジェファーソン・エアプレイン、トム・ジョーンズ、エンゲルベルト・フンパーディンク、ハーブ・アルパートとティファナ・ブラス、サイモンとガーファンクル、ジャクソン・ファイブ
🎵 ローリング・ストーンズ「ブラウン・シュガー」
🎵 ロッド・スチュアートとJ・ガイルズ・バンド

🎵 レイ・チャールズ「ボーン・トゥー・ルーズ」
🎵 ポリスの新しいLP(『シンクロニシティー』)
🎵 『フィガロの結婚』序曲/『魔笛』序曲
🎵 ジャック・ルーシェ『プレイ・バッハ』
🎵 ジェリー・マリガン

🎵 ポール・モーリア・グランド・オーケストラ「恋は水色」
🎵 パーシー・フェイス・オーケストラ「夏の日の恋」
🎵 「ロカフラ・ベイビー」(エルヴィス・プレスリー)
🎵 マイケル・ジャクソン「ビリー・ジーン」
🎵 真っ暗闇の中、恐怖から逃れるためならなんでも我慢すると言う程度の音楽~リチャード・クレーダーマン、ロス・インディオス・タバハラス、ホセ・フェリシアーノ、フリオ・イグレシアス、セルジオ・メンデス、パートリッジ・ファミリー、1910フルーツガム・カンパニー、ミッチ・ミラー合唱団、アンディー・ウィリアムズ、アル・マルティーノ

🎵 ミクロス・ローザみたいな音楽
🎵 ヘンリー・マンシーニ「ムーン・リヴァー」
🎵 トーキング・ヘッズ
🎵 「僕」が13歳のころ聴いた曲~レイ・チャールズ「旅立てジャック」、リッキー・ネルソン「トラヴェリング・マン」、ブレンダ・リー「オール・アローン・アイ・アム」
🎵 ユキのカセット・テープに入っていた曲~デヴィッド・ボウイ「チャイナ・ガール」、フィル・コリンズ、スターシップ、トマス・ドルビー、トム・ペティー&ハートブレーカーズ、ホール&オーツ、トンプソン・ツインズ、イギー・ポップ、バナナラマ、ストーンズ「ゴーイン・トゥー・ア・ゴーゴー」、ポール・マッカートニーとマイケル・ジャクソン「セイ・セイ・セイ」、デュラン・デュラン

🎵 オールディーズのテープに入っていた曲~サム・クック「ワンダフル・ワールド」、バディー・ホリー「オー・ボーイ」、ボビー・ダーリン「ビヨンド・ザ・シー」、エルヴィス・プレスリー「ハウンド・ドッグ」、チャック・ベリー「スイート・リトル・シックスティーン」、エディー・コクラン「サマータイム・ブルース」、エヴァリ・ブラザーズ「起きろよ、スージー」、デル・ヴァイキングズ「カム・ゴー・ウィズ・ミー」、ジミー・ギルマー「シュガー・シャック」、ビーチ・ボーイズ「サーフィンUSA」「ヘルプ・ミー・ロンダ」
🎵 フォー・トップス「リーチアウト・アイル・ビー・ゼア」
🎵 ソロモン・バーク
🎵 モダネアーズがトミー・ドーシーの歌を歌った古いレコード
🎵 シャフトのテーマ

🎵 スティーヴィー・ワンダー、ホール&オーツ、パチンコ屋のマーチ、右翼の宣伝車の軍歌
🎵 ディープ・パープル
🎵 ボブ・クーパー
🎵 ジョー・ジャクソン、シック、アラン・パーソンズ・プロジェクト
🎵 ボブ・ディラン「イッツ・オール・オーヴァー・ナウ・ベイビー・ブルー」「ハード・レイン」

🎵 ダイア・ストレイツ
🎵 ポリス
🎵 FM「バロック音楽をあなたに」~ヘンリー・パーセル
🎵 カウント・ベイシーの演奏で有名な四月(エイプリル・イン・パリ)
🎵 アーサー・プライソックがカウント・ベイシー・オーケストラをバックに唄うレコード

🎵 アート・ファーマーのフリューゲル・ホーン
🎵 デヴィッド・ボウイ、ストレイ・キャッツ、スティーリー・ダン、カルチュア・クラブ、エルヴィス・プレスリー
🎵 ボブ・マーリー「エキソダス」、スティックス「ミスター・ロボット」、フィル・コリンズ
🎵 サム・クック、リッキー・ネルソン
🎵 モーツァルトのピアノ・ソナタ

🎵 ジョン・コルトレーン『バラード』
🎵 フレディー・ハバード「レッド・クレイ」
🎵 エルヴィス・プレスリー、キッス、ジャーニー、アイアン・メイデン、AC/DC、モーターヘッド、マイケル・ジャクソン、プリンス、スライ&ザ・ファミリー・ストーン~のバッジ
🎵 ビーチ・ボーイズのLP~『サーファー・ガール』『20/20』『ワイルド・ハニー』『オランダ』『サーフズ・アップ』
🎵 ビーチ・ボーイズの曲~「グッド・ヴァイブレーション」「ファン・ファン・ファン」「カリフォルニア・ガールズ」「409」「キャッチ・ア・ウェイブ」

🎵 クリーム、ザ・フー、レッド・ツェッペリン、ジミ・ヘンドリックス
🎵 ベン・E・キング「スパニッシュ・ハーレム」
🎵 スライ&ザ・ファミリー・ストーン「エヴリデイ・ピープル」
🎵 マイケル・ジャクソン(「Beat It」)
🎵 ダイア・ストレイツ、ボブ・ディラン

🎵 エリック・クラプトンの新曲
🎵 ホノルルのラジオから流れるポップ・ソング~マイケル・ジャクソン、ホール&オーツ、デュラン・デュラン、ジョー・ジャクソン、プリテンダーズ、スーパー・トランプ、カーズ
🎵 カー・ラジオから流れるロキシー・ミュージック
🎵 ヴィヴァルディ
🎵 バロック音楽、ある種のジャズ、民族音楽~心を落ち着けてくれる音楽

🎵 モーツァルトの室内楽
🎵 ブルース・スプリングスティーン「ハングリー・ハート」
🎵 J・ガイルズ・バンド「ダンス天国」
🎵 「ソング・フォー・ユー」「ブルー・ハワイ」
🎵 「フレネシ」「ムーン・グロウ」

🎵 ラジオから流れるハードロック~フォリナー
🎵 ストーンズ
🎵 カラパナ
🎵 ストーンズ、ブルース・スプリングスティーン
🎵 「スターダスト」「バット・ノット・フォー・ミー」「ヴァーモントの月」、ショパンのプレリュード

🎵 ジャズのFM局から流れる曲~コールマン・ホーキンズ、リー・モーガン
🎵 「スタッフィー」「サイドワインダー」
🎵 ビーチ・ボーイズ、ミック・ジャガー
🎵 スターン・ローズ・イストミンの演奏するシューベルトの作品100のトリオ
🎵 エルトン・ジョン

🎵 スライ&ザ・ファミリー・ストーン、ドアーズ、ストーンズ、ピンク・フロイド、ビーチ・ボーイズ『サーフズ・アップ』、ラビン・スプーンフル、スリー・ドッグ・ナイト
🎵 スティーリー・ダン
🎵 ボーイ・ジョージ
🎵 ビル・エヴァンス
🎵 カーステレオで聴く古いロックンロール

🎵 ディキシーランド・ジャズのバンドの「タイガー・ラグ」「ハロー・ドリー」
🎵 ドアーズ、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、ビーチ・ボーイズ
🎵 トーキング・ヘッズ『フェア・オブ・ミュージック』
🎵 ビーチ・ボーイズ「ヘルプ・ミー・ロンダ」
🎵 ラビン・スプーンフル「サマー・イン・ザ・シティー」

🎵マントヴァーニ・オーケストラ「魅惑の宵」

◆作品中に登場するクルマ一覧
●スバル・レオーネ
●白いカローラ・スプリンター
●ブルーのBMW
●サーブとメルセデス
●メタリック・シルバーのメルセデス

●茶色のマセラティ
●シビック
●ジープ・チェロキー
●三菱ランサー
●フォードのピックアップ・トラック

●カマロ
●スバル、ブルーバード、コロナ
●BMW、マセラティ、フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェ、ジャガー
●ムスタング
●セドリック


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