今日、和田竜の『村上海賊の娘』(2013.10)を読み終えました。
和田竜の作品を読むのは『のぼうの城』(2007)、『忍びの国』(2008)、『小太郎の左腕』(2009)に続いて4作目です。彼の新作が出たら必ず読もうと思っていましたが、先日の《2014年本屋大賞》の発表まで知りませんでした。
和田竜の作品を読むのは『のぼうの城』(2007)、『忍びの国』(2008)、『小太郎の左腕』(2009)に続いて4作目です。彼の新作が出たら必ず読もうと思っていましたが、先日の《2014年本屋大賞》の発表まで知りませんでした。
◆映画化が待たれる作品です。この原作なら、僕の大好きな「痛快娯楽時代劇」になることは間違いありません。主人公の村上海賊の娘・景(きょう)役は杏に決定です。そして、景の父・村上武吉(たけよし)役は杏の実父・渡辺謙がいいと思います。また、村上海賊と戦う織田方の海賊・眞鍋七五三兵衛(しめのひょうえ)役は・・・・・。こんなことを考えながら、読んでいました。
◆村上海賊の娘・景は南蛮人のような容姿、つまり「高き鼻、大きく見開いた眼、長き頸と手足、小さき頭」のため、瀬戸内では「醜女」扱いされていました。さらに相当の「悍婦」(じゃじゃ馬)だったので、嫁入り先もなかなか決まらない有様でした。そんな中、南蛮人を見慣れた者の多い泉州(和泉国)に行けば、南蛮人のような容姿の彼女は「別嬪」扱いされ、嫁のもらい手もたくさんいると、泉州行きをそそのかす者がいました。・・・・・。全く「痛快娯楽時代劇」的展開です。うまく作れば、黒澤明の『七人の侍』や『隠し砦の三悪人』に匹敵するような映画にできると思います。
◆ストーリー
「天下布武」を目指す織田信長の前に立ちはだかったのは、顕如を中心とする浄土真宗本願寺勢力(一向一揆)でした。本願寺勢力は石山本願寺に依りますが、ここでの攻防戦がいわゆる石山合戦(1570-80)です。
信長に包囲された石山本願寺への兵糧搬入を目的として、毛利水軍・小早川水軍・村上水軍を中心とする瀬戸内の水軍戦力と、それを阻止せんとする織田方の水軍戦力が大阪湾木津川河口で激突します。これが、いわゆる「第一次木津川口の戦い」(1576)です。この作品はこの戦いへと向かう毛利方・織田方双方の動きを描き、やがて両者の激突の様子が克明に描かれていきます。
「天下布武」を目指す織田信長の前に立ちはだかったのは、顕如を中心とする浄土真宗本願寺勢力(一向一揆)でした。本願寺勢力は石山本願寺に依りますが、ここでの攻防戦がいわゆる石山合戦(1570-80)です。
信長に包囲された石山本願寺への兵糧搬入を目的として、毛利水軍・小早川水軍・村上水軍を中心とする瀬戸内の水軍戦力と、それを阻止せんとする織田方の水軍戦力が大阪湾木津川河口で激突します。これが、いわゆる「第一次木津川口の戦い」(1576)です。この作品はこの戦いへと向かう毛利方・織田方双方の動きを描き、やがて両者の激突の様子が克明に描かれていきます。
◆主な登場人物
【村上家】
村上景:悍婦にして醜女。嫁の貰い手がない当年20歳
村上武吉:景の父。能島村上家の当主。村上海賊を最盛期に導いた。
村上元吉:景の兄
村上景親:景の弟
村上吉継:来島村上の家の重臣筆頭
村上吉充:因島村上家の当主
【毛利家】
小早川隆景:毛利元就の三男。甥にあたる現当主毛利輝元を補佐
乃美宗勝:小早川隆景の重臣。警固衆(けごしゅう、水軍)の古強者
児玉就英:毛利家直属の警固衆の長
【織田方】
眞鍋七五三兵衛:石山本願寺を攻める眞鍋海賊の若き当主。剛強無双の巨漢、怪物。
眞鍋道夢斎:七五三兵衛の父
沼間義清(よしはる):泉州を束ねる触頭任世(ただよ)の息子
松浦安太夫:泉州の触頭。「悪たれ兄弟」の弟
寺田又右衛門:「悪たれ兄弟」の兄
【大坂本願寺】
顕如:浄土宗本願寺派第11世門主
下間頼龍:顕如の側近
鈴木孫市:鉄砲傭兵集団・雑賀党の首領
【村上家】
村上景:悍婦にして醜女。嫁の貰い手がない当年20歳
村上武吉:景の父。能島村上家の当主。村上海賊を最盛期に導いた。
村上元吉:景の兄
村上景親:景の弟
村上吉継:来島村上の家の重臣筆頭
村上吉充:因島村上家の当主
【毛利家】
小早川隆景:毛利元就の三男。甥にあたる現当主毛利輝元を補佐
乃美宗勝:小早川隆景の重臣。警固衆(けごしゅう、水軍)の古強者
児玉就英:毛利家直属の警固衆の長
【織田方】
眞鍋七五三兵衛:石山本願寺を攻める眞鍋海賊の若き当主。剛強無双の巨漢、怪物。
眞鍋道夢斎:七五三兵衛の父
沼間義清(よしはる):泉州を束ねる触頭任世(ただよ)の息子
松浦安太夫:泉州の触頭。「悪たれ兄弟」の弟
寺田又右衛門:「悪たれ兄弟」の兄
【大坂本願寺】
顕如:浄土宗本願寺派第11世門主
下間頼龍:顕如の側近
鈴木孫市:鉄砲傭兵集団・雑賀党の首領
【参考】
能島村上氏(愛媛県今治市・村上水軍博物館HPより)
村上氏は、南北朝から戦国時代にかけて瀬戸内海で活躍した一族である。俗に三島村上氏と呼ばれる、能島・来島・因島の三家からなり、互いに強い同族意識を持っていた。
戦国時代になると、村上氏は、その強力な海の武力を背景に、瀬戸内海の広い地域を支配し、国内の軍事・政治や海運の動向をも左右した。この後、来島城を本拠とする来島村上氏は早くから守護大名河野氏と結びつき、因島村上氏は大内氏のち毛利氏の有力な水軍となった。そして、現在の宮窪に本拠を構えた能島村上氏は3氏の中でもっとも独立性が高く、村上武吉は、どの大名にも臣従せず、独自の姿勢を貫いた。
武吉の時代に全盛を謳歌する能島村上氏は、西は九州から東は塩飽諸島に至る海上交通を掌握していた。戦時には、小早船を巧みに操り、火薬を用いた戦闘を得意とした。その一方で、平時には瀬戸内海の水先案内、海上警固、海上運輸など、海の安全や交易・流通を担う重要な役割も果たしたのである。
村上氏は、南北朝から戦国時代にかけて瀬戸内海で活躍した一族である。俗に三島村上氏と呼ばれる、能島・来島・因島の三家からなり、互いに強い同族意識を持っていた。
戦国時代になると、村上氏は、その強力な海の武力を背景に、瀬戸内海の広い地域を支配し、国内の軍事・政治や海運の動向をも左右した。この後、来島城を本拠とする来島村上氏は早くから守護大名河野氏と結びつき、因島村上氏は大内氏のち毛利氏の有力な水軍となった。そして、現在の宮窪に本拠を構えた能島村上氏は3氏の中でもっとも独立性が高く、村上武吉は、どの大名にも臣従せず、独自の姿勢を貫いた。
武吉の時代に全盛を謳歌する能島村上氏は、西は九州から東は塩飽諸島に至る海上交通を掌握していた。戦時には、小早船を巧みに操り、火薬を用いた戦闘を得意とした。その一方で、平時には瀬戸内海の水先案内、海上警固、海上運輸など、海の安全や交易・流通を担う重要な役割も果たしたのである。