今日、太宰治の『斜陽』を読み終えました。
この作品は「女性の一人称告白体」というスタイルの最も成熟したものであり、太宰文学の集大成とも言われています。なお、太宰は「女性の一人称告白体」の作品を10数編書いていますが、このスタイルは「燈籠」(昭和12)に始まり、「女生徒」(昭和14)で確立しました。
この作品は「女性の一人称告白体」というスタイルの最も成熟したものであり、太宰文学の集大成とも言われています。なお、太宰は「女性の一人称告白体」の作品を10数編書いていますが、このスタイルは「燈籠」(昭和12)に始まり、「女生徒」(昭和14)で確立しました。
◆巻末・奥野健男「太宰治 人と文学」より(一部改編)
「斜陽」は太宰文学の集大成と言える。麻薬中毒で破滅して行く直治に、太宰は「晩年」(昭和11年)の頃の自分を託する。最後の貴族である母は「右大臣実朝」(昭和18年)などにあらわれた中期の太宰の理想像であり、蝮(まむし)を腹に持ちながら猯罰很燭里燭甅畧犬ようとするかず子は苦しい戦争期を生抜いた太宰の生き方が投影されている。そして流行作家上原は、戦後の太宰のカリカチュアである。「斜陽」はその四人四様の滅びの姿の交響楽であり、日本には珍しい本格的ロマンであり、その底にひと筋の祈りが秘められていて、読者の魂を撃ち、芸術性に陶酔させる。
「斜陽」は太宰文学の集大成と言える。麻薬中毒で破滅して行く直治に、太宰は「晩年」(昭和11年)の頃の自分を託する。最後の貴族である母は「右大臣実朝」(昭和18年)などにあらわれた中期の太宰の理想像であり、蝮(まむし)を腹に持ちながら猯罰很燭里燭甅畧犬ようとするかず子は苦しい戦争期を生抜いた太宰の生き方が投影されている。そして流行作家上原は、戦後の太宰のカリカチュアである。「斜陽」はその四人四様の滅びの姿の交響楽であり、日本には珍しい本格的ロマンであり、その底にひと筋の祈りが秘められていて、読者の魂を撃ち、芸術性に陶酔させる。
◆感想
以前、太宰の代表作だからという理由で「斜陽」を読み始めましたが、すぐに投げ出してしまいました。当時はまだ太宰の作品にそれほど慣れていなかったし、「女性の一人称告白体」というスタイルにも違和感を感じたからだと思います。
今回初めて読みましたが、太宰文学の集大成という評価に納得しました。文体といい、回想の使い方といい、かず子の手紙や直治の遺書の使い方といい、うまいと思いました。また、直治や上原に太宰の姿が重なっているのもリアリティを感じました。ただ、かず子の上原への執着はよく理解できません。
しばらくしたら、最近買った文春文庫の『斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇』でこの作品を読んでみようと思います。
以前、太宰の代表作だからという理由で「斜陽」を読み始めましたが、すぐに投げ出してしまいました。当時はまだ太宰の作品にそれほど慣れていなかったし、「女性の一人称告白体」というスタイルにも違和感を感じたからだと思います。
今回初めて読みましたが、太宰文学の集大成という評価に納得しました。文体といい、回想の使い方といい、かず子の手紙や直治の遺書の使い方といい、うまいと思いました。また、直治や上原に太宰の姿が重なっているのもリアリティを感じました。ただ、かず子の上原への執着はよく理解できません。
しばらくしたら、最近買った文春文庫の『斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇』でこの作品を読んでみようと思います。