今日、中村文則の『掏摸(スリ)』(09)を読み終えました。
ストーリー等は、以下の通りです。
ストーリー等は、以下の通りです。
東京を仕事場にする天才スリ師。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎――かつて仕事をともにした闇社会に生きる男。木崎は彼に、こう囁いた。
「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。逃げれば、あの女と子供を殺す」
運命とはなにか、他人の人生を支配するとはどういうことなのか。そして、社会から外れた人々の切なる祈りとは…。大江健三郎賞を受賞し、各国で翻訳されたベストセラーが文庫化!(ブックカバー裏表紙より)
「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。逃げれば、あの女と子供を殺す」
運命とはなにか、他人の人生を支配するとはどういうことなのか。そして、社会から外れた人々の切なる祈りとは…。大江健三郎賞を受賞し、各国で翻訳されたベストセラーが文庫化!(ブックカバー裏表紙より)
◆冒頭のスリの場面をはじめ、謎の男・木崎の指示で行う強盗やスリの場面など、緊迫感に溢れています。文庫本で170ページ程度なので、一気に読んでしまいました。
◆以下、巻末の著者による「文庫解説にかえて――『掏摸』について」の一部を引用します。
最後、あの絶望的な状況で主人公の投げたコインは、主人公を救えるのか。それは読者の判断に任せていたのだけど、その後『王国』というこの『掏摸』の兄妹編を書いたことで、そのことを結果的に書いてしまったことになるのかもしれない。彼の望んだ「誤差」、辛辣な運命からの「逸脱」によって、『王国』における木崎の計画の構図が変化していく。詳しくは『王国』の文庫版のあとがきで書こうと思っているのだけど、この二篇には、実はそういう関わりもある。 しかしながら、兄妹編だからといって『王国』を読まなければならないというわけでは当然なく、『掏摸』は『掏摸』として、物語としては完全に完結している。『王国』を読まなければならないというわけでは当然なく、なんて言われてもね。近いうちに必ず読むと思います。