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中村文則『迷宮』を読みました。

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昨夜、中村文則の『迷宮』(2012)を読み終えました。
ストーリー等については、以下の通りです。
 胎児のように手足を丸め横たわる全裸の女。周囲には赤、白、黄、色鮮やかな無数の折鶴が螺旋を描く――。都内で発生した一家惨殺事件。現場は密室。唯一生き残った少女は、睡眠薬で昏睡状態だった。事件は迷宮入りし「折鶴事件」と呼ばれるようになる。時を経て成長した遺児が深層を口にするとき、深く沈められていたはずの狂気が人を闇に引き摺り込む。善悪が混濁する衝撃の長編。(ブックカバー裏表紙より)

◆弁護士事務所に勤める「僕」は、昔同じ中学校に通っていた紗奈江という女性と偶然出会います。そして、彼女の恋人である会社の不正経理に関わっていた男を追う探偵から、彼女が日置事件という一家惨殺事件の唯一の生き残りだと聞かされます。
 こうして「僕」は迷宮入りした日置事件の真相を探るべく、かつてこの事件に関わった弁護士やフリーライター、精神科医を訪ねることになります。ある意味、探偵物のような謎解きに興味が湧き、先へ先へと読み進めていきました。やがて、事件の真相は意外な形で知ることになります。でも、「僕」には新たな疑問が生まれ、真相ははっきりしないまま終わります。
◆「僕」は内面に「R」という架空の人格を創り出すことで、心のバランスを保ってきた過去があります。同じように、この作品の登場人物達も心に葛藤や暗部を抱えており、著者はそれらを描くことで人間の本質に迫ろうとしているのでしょう。

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