Quantcast
Channel: my photo diary
Viewing all articles
Browse latest Browse all 681

堀本裕樹『十七音の海 俳句という詩にめぐり逢う』を読みました。

$
0
0
イメージ 1

今日、堀本裕樹の『十七音の海 俳句という詩にめぐり逢う』(2012)を読み終えました。
先日、又吉直樹との共著『芸人と俳人』(2015)を読み、彼にシンパシーを覚えたので、この本を手に入れました。この本の内容等については、以下の通りです。(「はじめに」より一部引用)
 そういう意味で本書は、壮大なことから微小なものまで詠んだ俳句を集めています。正岡子規以降の近代から現代までの作品のなかで、私が好きで皆さんに知ってもらいたいと思った俳句を104句選びました。それぞれの俳句に、少しでも理解の手助けになるように短い解釈も添えました。ただし、私の解釈や説明はあくまで目安にしていただき、この本をお読みくださる方の想像力を一番大事にしてもらえたらと思います。その句を読んで最初に、自分が感じたこと思ったことを捨て去らないでほしいのです。美術館に行って、一幅の絵画を目の前にしたとき、まず解説などを読まずにその絵を見たファースト・インプレッションを大事にするのと似ているかもしれません。俳句においても、それが大事だと思います。ファースト・インプレッションで自分の想像力の翼を最大限にふくらますこと。そのうえで、私が書いた解釈をお読みいただければ、より楽しく豊かに俳句を鑑賞できるのではないでしょうか。
以下、一読して気になった句を引用しようと思います。

第一章 「共感力」を養う
  渡り鳥みるみるわれの小さくなり(上田五千石)
  づかづかと来て踊子にささやける(高野素十)
  うしろすがたのしぐれてゆくか(種田山頭火)
  木がらしや目刺にのこる海のいろ(芥川龍之介)
  約束の寒の土筆を煮て下さい(川端茅舎)

  ずぶぬれて犬ころ(住宅顕信)
  葉ざくらの中の無数の空さわぐ(篠原 梵)
  短夜や乳(ち)ぜり泣く子を須可捨焉呼(すてっちまおか) (竹下しづの女)
  摩天楼より新緑がパセリほど(鷹羽狩行)
  谺(こだま)して山ほととぎすほしいまゝ(杉田久女)

第二章 「季語」の豊かさに触れる
  恋猫の恋する猫で押し通す(永田耕衣)
  葱坊主どこをふり向ききても故郷(寺山修司)
  海鳥の胸のちからの風光る(柳下良尾)
  鞦韆(しゅうせん)は漕ぐべし愛は奪ふべし(三橋鷹女)※鞦韆=ブランコ
  狡る休みせし吾(あ)をげんげ田に許す(津田清子)

  螢籠昏(くら)ければ揺り炎(も)えたたす(橋本多佳子)
  羅(うすもの)や人悲します恋をして(鈴木真砂女)
  空(くう)をはさむ蟹死にをるや雲の峰(河東碧梧桐)
  夕かなかな母の手紙は語るごと(角 光雄)
  色鳥や書斎は書物散らかして(山口青邨)

  渋柿の如きものにては候(そうろ)へど(松根東洋城)
  うつくしきあぎととあへり能登時雨(しぐれ)(飴山 実)
  地の涯(はて)に倖せありと来しが雪(細谷源二)

第三章 言葉の「技」を身につける
  蛍火と水に映れる蛍火と(清崎敏郎)
  ねむりても旅の花火の胸にひらく(大野林火)
  と言ひて鼻かむ僧の夜寒かな(高浜虚子)
  鳥わたるこきこきこきと罐切れば(秋元不死男)
  かたつむり甲斐も信濃も雨のなか(飯田龍太)

  木の葉ふりやまずいそぐないそぐなよ(加藤楸邨)
  筍(たけのこ)や雨粒ひとつふたつ百(藤田湘子)
  たとふれば独楽(こま)のはじける如くなり(高浜虚子)

第四章 覚えておきたい俳句
  葡萄食ふ一語一語の如くにて(中村草田男)
  情ありて言葉寡(すく)なや月の友(渡辺水巴)
  蟋蟀(こおろぎ)のこの一徹の貌(かお)を見よ(山口青邨)
  銀漢や一生分といふ逢瀬(日下野由季)
  しんしんと寒さがたのし歩みゆく(星野立子)

  蕪(かぶら)煮てあした逢ふひといまはるか(柳克弘)
  咳の子のなぞなぞ遊びきりもなや(中村汀女)
  寒雀身を細うして闘へり(前田普羅)
  クリスマス「君と結婚していたら」(堀井春一郎)
  黒板に Do Your best ぼたん雪(神野紗希)

  ふだん着でふだんの心桃の花(細見綾子)
  青嵐神社があったので拝む(池田澄子)
  せつせつと眼まで濡らして髪洗ふ(野澤節子)
  はつきりしない人ね茄子投げるわよ(川上弘美)
  万緑や鞄一つが旅の枷(かせ)(村上鞆彦)

Viewing all articles
Browse latest Browse all 681

Trending Articles