今日、又吉直樹×堀本裕樹の『芸人と俳人』(2015)を読み終えました。
本書は芸人・又吉直樹が俳人・堀本裕樹に俳句の作り方を基礎から教わっていくというもので、二人による対話形式で書かれています。
俳句=定型と季語に縛られて不自由なもの、という印象を持っていました。でもこの本を読み、そんな思い込みを払拭することができました。定型と季語があるからこそ、たった17文字でも無限なる表現が可能だということを知りました。僕も俳句を作ってみたい、なんて思ってしまいました。
以下、各章末の「まとめ」を中心に参考にしたい部分を引用したいと思います。
本書は芸人・又吉直樹が俳人・堀本裕樹に俳句の作り方を基礎から教わっていくというもので、二人による対話形式で書かれています。
俳句=定型と季語に縛られて不自由なもの、という印象を持っていました。でもこの本を読み、そんな思い込みを払拭することができました。定型と季語があるからこそ、たった17文字でも無限なる表現が可能だということを知りました。僕も俳句を作ってみたい、なんて思ってしまいました。
以下、各章末の「まとめ」を中心に参考にしたい部分を引用したいと思います。
第一章 俳句は「ひとり大喜利」である
◆俳句の形はひとつじゃない【定型句】
5音(上五)、7音(中七)、5音(下五)の17音できっちりと作られた句。
古池や蛙飛びこむ水のをと(松尾芭蕉)
柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺(正岡子規)
【自由律句】 古池や蛙飛びこむ水のをと(松尾芭蕉)
柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺(正岡子規)
五七五に縛られず、季語にもとらわれず、感情のおもむくまま自由なスタイルで表現する俳句。
咳をしても一人(尾崎放哉)
分け入つても分け入つても青い山(種田山頭火)
咳をしても一人(尾崎放哉)
分け入つても分け入つても青い山(種田山頭火)
第二章 五七五の「定型」をマスター
◆俳句のリズムを覚えよう【音の数え方】
長音(ー[音引き])→1音に数える ※「コーヒー」は4音
拗音(小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」)→1音に数えない ※「客(きゃく)」は2音
促音(小さい「っ」)→1音に数える ※「立冬(りっとう)」は4音
【破調の句】拗音(小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」)→1音に数えない ※「客(きゃく)」は2音
促音(小さい「っ」)→1音に数える ※「立冬(りっとう)」は4音
◇字余り
一匹の蟻ゐて蟻がどこにも居る(三橋鷹女)[下六]
◇字足らず
散らばれるものをまたぎて日短(ひみじか)(富安風生)[下四]
◇句またがり
落椿われならば急流へ落つ(鷹羽狩行)[5音+10音+2音=17音]
※挨拶句(折句)一匹の蟻ゐて蟻がどこにも居る(三橋鷹女)[下六]
◇字足らず
散らばれるものをまたぎて日短(ひみじか)(富安風生)[下四]
◇句またがり
落椿われならば急流へ落つ(鷹羽狩行)[5音+10音+2音=17音]
なつかしき男と仰ぐ帰燕かな(堀本裕樹)[な・お・き]
唐衣きつつなれにし妻しあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ(在原業平)[か・き・つ・は・た]
第三章 「季語」に親しもう
◆歳時記を引きまくれ! ◇分類
季語は、春・夏・秋・冬・新年の5つに分けられている。
◇季語
疑問を抱いたとき、すぐに歳時記を引くことで、季語が身近になっていく。
◇傍題
見出しの季語の別称や、同じ仲間とされているもの。ひとつの季語にたくさんの表現方法がある。
◇解説
季語の「本意・本情」(本来の意味と情感)をつかむために、この部分をよく読むといい。
◇例句
季語の使い方を参考にしよう。好きな俳人が見つかるかも!
※季語の「本意・本情」に含まれていることを、一句の中で繰り返して言わない。季語は、春・夏・秋・冬・新年の5つに分けられている。
◇季語
疑問を抱いたとき、すぐに歳時記を引くことで、季語が身近になっていく。
◇傍題
見出しの季語の別称や、同じ仲間とされているもの。ひとつの季語にたくさんの表現方法がある。
◇解説
季語の「本意・本情」(本来の意味と情感)をつかむために、この部分をよく読むといい。
◇例句
季語の使い方を参考にしよう。好きな俳人が見つかるかも!
×姫路城落花はらりと散りにけり(落花=桜が散る)
×鶯に春を思ひて日もすがら(鶯=春の象徴的な鳥)
×暖かき春風吹いてあくびする(春風=のどかであたたかい風)
第四章 「切字」を武器にする!
◆感動したら「や」「かな」「けり」 三大切字「や」「かな」「けり」をうまく使うことができると、詠嘆、省略、格調の効果が出る。
雁(かりがね)や残るもの皆美しき(石田波郷)[や]
逢(お)うていふ言葉もきめて端居(はしい)かな(牧野美津穂)[かな]
風吹いて蝶々迅(はや)く飛びにけり(高野素十)[けり]
※切字は一句に一つ雁(かりがね)や残るもの皆美しき(石田波郷)[や]
逢(お)うていふ言葉もきめて端居(はしい)かな(牧野美津穂)[かな]
風吹いて蝶々迅(はや)く飛びにけり(高野素十)[けり]
暁の蜩四方(よも)に起りけり(原石鼎)[けり]
→×暁や蜩四方に起りけり[や・けり]
第五章 俳句の「技」を磨く
◆使えば使うほど技が磨かれる ◇擬人法[人間以外のものを人間のように表現する技法]
霜柱はがねのこゑをはなちけり(石原八束)
◇直喩[「ごとし」「のような」など、似たものを借りて表現する]
ぼうたんの百のゆるるは湯のやうに(森 澄雄)
◇隠喩[「AはBである」と直接言い切る表現]
金剛の露ひとつぶや石の上(川端茅舎)
◇倒置法[通常の語順を逆にして表現効果を上げる]
うしろより見る春水の去りゆくを(山口誓子)
◇重畳法[フレーズをくり返すこと。リフレイン]
雨の日は雨の雲雀のあがるなり(安住 敦)
◇擬音[実際の音を真似て言葉とした表現、擬声語・擬態語]
鳥わたるこきこきこきと罐切れば(秋元不死男)
◇遠近法[目に見えるように、立体的構図、距離感を強調した表現]
たんぽぽや長江濁るとこしなへ(山口青邨)
◇数詞[数字で具体的に表現する方法。動かない数字を使うこと]
牡丹百二百三百門一つ(阿波野青畝)
霜柱はがねのこゑをはなちけり(石原八束)
◇直喩[「ごとし」「のような」など、似たものを借りて表現する]
ぼうたんの百のゆるるは湯のやうに(森 澄雄)
◇隠喩[「AはBである」と直接言い切る表現]
金剛の露ひとつぶや石の上(川端茅舎)
◇倒置法[通常の語順を逆にして表現効果を上げる]
うしろより見る春水の去りゆくを(山口誓子)
◇重畳法[フレーズをくり返すこと。リフレイン]
雨の日は雨の雲雀のあがるなり(安住 敦)
◇擬音[実際の音を真似て言葉とした表現、擬声語・擬態語]
鳥わたるこきこきこきと罐切れば(秋元不死男)
◇遠近法[目に見えるように、立体的構図、距離感を強調した表現]
たんぽぽや長江濁るとこしなへ(山口青邨)
◇数詞[数字で具体的に表現する方法。動かない数字を使うこと]
牡丹百二百三百門一つ(阿波野青畝)
◇津川絵理子句集『はじまりの樹』より
神籤(みくじ)読むひとりの日向(ひなた)実南天
しばらくは拳に活けて菫草
飛ぶ前の貌(かお)かたくして螇蚸(ばつた)ゐる
笹鳴(ささなき)や亡き人に来る誕生日
飯蛸の炊かれて頭たちあがる
太刀魚の傷つきやすき光かな
花よりも棘明るくて冬の薔薇
◇和田悟朗句集『風車』より
月面に川の痕跡 地に椿
花曇り日光月光菩薩留守
空間にぶつかりぶつかり鹿駆けり
◇『尾崎放哉全句集』(村上護編)より
底がぬけた杓で水を呑もうとした
花火があがる空の方が町だよ
一日物云はず蝶の影さす
何か求むる心海へ放つ
舟の帆が動いて居る身のまはりの草をむしる
笑へば泣くやうに見える顔よりほかなかつた
障子あけて置く海も暮れ切る
何がたのしみに生きてると問はれて居る
第七章 「選句」をしてみよう
◆よくありがちな「類想・類句」になっていないか?又吉 堀本さんに、ひとつお聞きしたいです。お題があって俳句を作るときに、最初に思いつくことって大体みんな一緒じゃないですか。今回の「足」なら「こたつ」「臭い」「足がぶつかる」という内容の句が、結構ありましたよね。誰もが考えそうなことって、やっぱり避けるべきですか。
堀本 類想・類句といって、同じような句になりやすいんですよ。でもそれだと、コンクールでは、落とされがちですね。
又吉 最初に自分が連想したものの次とか、その次の次ぐらいに出てきたヤツでまとめてみると、おもしろいのができるかもしれないですね。
堀本 そうですね。「みんなこう詠むだろう」という発想や言葉遣いを避けて、もっと角度を変えたところ、おっ! と思わせる発見や誰もが俳句にしなかったようなことを見つけて詠んでいくと、その人自身のオリジナリティのある句になっていきます。まずは俳句歳時記や句集を読んで、類想・類句を避ける心構えが大切ですね。ちょっと気をつけると、だんだん個性を発揮できるようになります。
堀本 類想・類句といって、同じような句になりやすいんですよ。でもそれだと、コンクールでは、落とされがちですね。
又吉 最初に自分が連想したものの次とか、その次の次ぐらいに出てきたヤツでまとめてみると、おもしろいのができるかもしれないですね。
堀本 そうですね。「みんなこう詠むだろう」という発想や言葉遣いを避けて、もっと角度を変えたところ、おっ! と思わせる発見や誰もが俳句にしなかったようなことを見つけて詠んでいくと、その人自身のオリジナリティのある句になっていきます。まずは俳句歳時記や句集を読んで、類想・類句を避ける心構えが大切ですね。ちょっと気をつけると、だんだん個性を発揮できるようになります。
第九章 俳句トリップ「吟行」
◆思い立ったら吟行日和 俳句の楽しみが、さらに深まるのが吟行。自然を求めて出掛け、非日常に浸ることで、新鮮な季語や、普段とは違う表現方法と出会うことができる。気心の知れた仲間とピクニック気分で吟行を企画し、作句の幅を広げよう。
吟行といえば、お寺や名所・旧跡巡りのイメージがあるが、もっと気楽に考えてもOK。「さあ、俳句を作るぞ!」という目的で散策すれば、どこへ出掛けても四季の草花や季節の移り変わりを感じることができ、吟行になり得る。
【必要なものは?】
筆記用具、句帳かノート、歳時記(季寄せ)、辞書、植物図鑑 など
吟行といえば、お寺や名所・旧跡巡りのイメージがあるが、もっと気楽に考えてもOK。「さあ、俳句を作るぞ!」という目的で散策すれば、どこへ出掛けても四季の草花や季節の移り変わりを感じることができ、吟行になり得る。
【必要なものは?】
筆記用具、句帳かノート、歳時記(季寄せ)、辞書、植物図鑑 など