昨日、カーソン・マッカラーズの『結婚式のメンバー』(村上春樹訳)を購入したら、以下のようなことがわかったのでまとめておきます。
◆新潮文庫の新シリーズ《村上柴田翻訳堂》の刊行が始まった。それは、村上春樹と柴田元幸の記憶にあたたかく、そして鮮やかに刻まれた「もう一度読みたい!」という10の作品を選び、新訳・復刊するというもの。
◆村上春樹・柴田元幸による「ごあいさつ」(新潮社HPより)
世の中には実にたくさんの文庫本が溢れておりますが、それでも書店の棚のスペースには限りがあり、毎月押し寄せる新刊に追われるようにして、古い文庫本が静かにひっそりと退場していきます。そのように姿を消していった作品の中には、「この名作が手に入らないというのは間違っているぞ」と苦情を呈したくなるものもあれば、「個人的にはけっこう好きだったんだけど、やはり生き残れなかったか」と淋しく感じてしまうものもあります。そういういくつかの作品を拾い上げ、もう一度何らかのかたちで新刊として復活させることはできないものかと、常々考えていたのですが、同じような思いを抱いていた柴田元幸さんと組んで、今回このようなシリーズを立ち上げることができました。あくまでささやかな企画ではありますが、ぼくら二人が面白く読んだ本を選びました。楽しんでいただければと思います。(村上春樹)
これまで二十七年くらい、主として現代アメリカ小説を訳してきました。古典や準古典のすぐれた作品は文庫棚にちゃんとあるのだから、僕は「新しい」ものを訳そう、「まだ知られていない」作家を紹介しよう、という思いで自分でも大いに楽しみつつ仕事をしてきたし、これからもしようと思っています。ただ、気がつくと、文庫棚に並ぶ古典や準古典の顔ぶれは、だいぶ寂しくなってきているみたいです。少し前だったら、みんなが何となく聞いたことくらいはあった作家や作品が、「もう知られていない」になってきている。ならば、そういう本も、現代作家と同じくらい、いまや「新しい」のかもしれない。そう考えて、このシリーズを村上さんと始めます。新しい小説を世に送り出すときと同じことですけど、「こういうのが読みたかったんだ」と思ってくださる方が大勢いらっしゃいますように。(柴田元幸)
これまで二十七年くらい、主として現代アメリカ小説を訳してきました。古典や準古典のすぐれた作品は文庫棚にちゃんとあるのだから、僕は「新しい」ものを訳そう、「まだ知られていない」作家を紹介しよう、という思いで自分でも大いに楽しみつつ仕事をしてきたし、これからもしようと思っています。ただ、気がつくと、文庫棚に並ぶ古典や準古典の顔ぶれは、だいぶ寂しくなってきているみたいです。少し前だったら、みんなが何となく聞いたことくらいはあった作家や作品が、「もう知られていない」になってきている。ならば、そういう本も、現代作家と同じくらい、いまや「新しい」のかもしれない。そう考えて、このシリーズを村上さんと始めます。新しい小説を世に送り出すときと同じことですけど、「こういうのが読みたかったんだ」と思ってくださる方が大勢いらっしゃいますように。(柴田元幸)
◆刊行予定
【4月】
◇カーソン・マッカラーズ『結婚式のメンバー』[訳]村上春樹 ※新訳
◇ウィリアム・サローヤン『僕の名はアラム』[訳]柴田元幸訳 ※新訳
【5月】
◇フィリップ・ロス『素晴らしいアメリカ野球』[訳]中野好夫・常盤新平 ※復刊
◇トマス・ハーディ『呪われた腕 ハーディ傑作選』[訳]河野一郎 ※復刊
【7月】
◇コリン・ウィルソン『宇宙ヴァンパイアー』[訳]中村保男 ※復刊
◇マキシーン・ホン・キングストン『アメリカの中国人』[訳]藤本和子 ※復刊
【9月】
◇ジェイムズ・ディキー『わが心の川』[訳]酒本雅之 ※復刊
◇リング・ラードナー『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』[訳]加島祥造 ※復刊
【11月】
◇『 』[訳]村上春樹 ※新訳
◇『 』[訳]柴田元幸 ※新訳
◇カーソン・マッカラーズ『結婚式のメンバー』[訳]村上春樹 ※新訳
◇ウィリアム・サローヤン『僕の名はアラム』[訳]柴田元幸訳 ※新訳
【5月】
◇フィリップ・ロス『素晴らしいアメリカ野球』[訳]中野好夫・常盤新平 ※復刊
◇トマス・ハーディ『呪われた腕 ハーディ傑作選』[訳]河野一郎 ※復刊
【7月】
◇コリン・ウィルソン『宇宙ヴァンパイアー』[訳]中村保男 ※復刊
◇マキシーン・ホン・キングストン『アメリカの中国人』[訳]藤本和子 ※復刊
【9月】
◇ジェイムズ・ディキー『わが心の川』[訳]酒本雅之 ※復刊
◇リング・ラードナー『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』[訳]加島祥造 ※復刊
【11月】
◇『 』[訳]村上春樹 ※新訳
◇『 』[訳]柴田元幸 ※新訳
◆◆このシリーズは、村上春樹と柴田元幸の翻訳でアメリカ現代小説が読めるというのが魅力です。また、両者が復刊作品の中に加島祥造訳を選んでくれたことも、このシリーズへの期待を大きくしてくれました。
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加島祥造については、書庫「加島祥造」をご参照ください。
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