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『ますの。枡野浩一短歌集』を読みました。

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見開き2ページに大きな活字で一首ずつ、全88首です。


今日、『ますの。枡野浩一短歌集』( 99)を読みました。
以下、気になった歌を引用します。

 好きだった雨、雨だったあのころの日々、あのころの日々だった君
 あの夏の数かぎりない君になら殺されたっていいと思った
 「ライターになる方法をおしえて」と訊くような子はなれないでしょう
 悪口は裏返された愛だけど愛そのものじゃないと思った
 馬鹿中の馬鹿に向かって馬鹿馬鹿と怒った俺は馬鹿以下の馬鹿

 こんなのはフルーツ味のノドあめのようにハンパな才能だから
 書くことで落ちこんだなら書くことで立ちなおるしかないんじゃないか?
 叶っても叶わなくても消えていく 叶えばただの現実になり
 この夢をあきらめるのに必要な「あと一年」を過ごし始める
 人間は忘れることができるから気も狂わずに、ほら生きている

 葬式は生きるわれらのためにやる きみを片づけ生きていくため
 「生まれる」は受動、「生きる」は能動と考えている誕生日イブ
 いちぬけた君を時々思いだすためだけにでもこちらにいよう
 どことなく微妙にちがうものだった なくしたものを取り戻しても
 ギクシャクと向こうから来るひょろひょろはショーウインドーにうつった自分

 無駄だからやらないんだね 無駄のない人生なんて必要あるの
 やめようと誓った行きとやめるのをやめようかなと思った帰り
 一人でも眠れるけれどデニーズで一人で明かす夜はひもじい
 しなくてはならないことの一覧をつくっただけで終わる休日
 街じゅうが朝なのだった 店を出てこれから眠る僕ら以外は


※すべてではありませんが、彼の歌には僕の思いや記憶が重なります。でも、「無駄だからやらないんだね 無駄のない人生なんて必要あるの」なんて歌を口実に、無駄な時間やお金の使い方を正当化しようとするのはいけませんね。

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