興福寺国宝館
最近読んだいくつかの歌集に興福寺の阿修羅や迦楼羅(かるら)を詠んだものがありました。で、今回は阿修羅だけじゃなく、八部衆の他の仏像にも注意を払おうと思いました。また、これまで、簡単にスルーしていた他の仏像達もじっくり見ようと思いました。
◆阿修羅像(JR東海キャンペーンポスター)
守ってあげたくなる美少年仏像(脱活乾漆造/奈良時代/像高153.4cm)
阿修羅は、もともとインド神話では戦いを好む悪神。帝釈天とよく戦闘したといわれる。釈迦の説法を聞いて、仏法を守護する八部衆の一人になったとはいえ、怒りの表情なのが一般的なのに、興福寺の阿修羅像は優しいお顔でまるで少年のような可憐な姿。鎧もつけず、半裸のうえに足もとは「板金剛(いたこんごう)」というサンダル。3つの顔と細くて長い6本の腕をもつ。脱活乾漆造で表情はとてもリアルに表現されており、3面みんな違う。私は向かって左の唇をかみしめている顔が、好き。今にも泣きそうに見えて、守ってあげたくなる。(田中ひろみ『拝んでしあわせ 奈良の仏像100』より)
阿修羅は、もともとインド神話では戦いを好む悪神。帝釈天とよく戦闘したといわれる。釈迦の説法を聞いて、仏法を守護する八部衆の一人になったとはいえ、怒りの表情なのが一般的なのに、興福寺の阿修羅像は優しいお顔でまるで少年のような可憐な姿。鎧もつけず、半裸のうえに足もとは「板金剛(いたこんごう)」というサンダル。3つの顔と細くて長い6本の腕をもつ。脱活乾漆造で表情はとてもリアルに表現されており、3面みんな違う。私は向かって左の唇をかみしめている顔が、好き。今にも泣きそうに見えて、守ってあげたくなる。(田中ひろみ『拝んでしあわせ 奈良の仏像100』より)
※「阿修羅」を詠んだ短歌
◇天平の少女を抱くこともせず阿修羅が指にともす銀の灯(永井陽子)
◇月の夜に雄鹿はねむり境内を歩く阿修羅の板金剛(サンダル)のおと( 〃 )
◇少年のままなる阿修羅見て帰り今日あまじろき葱一把買ふ( 〃 )
◇鹿たちも若草の上(へ)にねむるゆゑおやすみ阿修羅おやすみ迦楼羅( 〃 )
◇阿修羅像の眉の愁ひを思ひしが若き愁ひは傲りにか似る(尾崎左永子)
◇早春の夜の幻は浄くして阿修羅の像の眉根(まよね)のかげり( 〃 )
◇興福寺少年阿修羅にかなしみを与へし仏師の背や広からむ(水原紫苑)
◇天平の少女を抱くこともせず阿修羅が指にともす銀の灯(永井陽子)
◇月の夜に雄鹿はねむり境内を歩く阿修羅の板金剛(サンダル)のおと( 〃 )
◇少年のままなる阿修羅見て帰り今日あまじろき葱一把買ふ( 〃 )
◇鹿たちも若草の上(へ)にねむるゆゑおやすみ阿修羅おやすみ迦楼羅( 〃 )
◇阿修羅像の眉の愁ひを思ひしが若き愁ひは傲りにか似る(尾崎左永子)
◇早春の夜の幻は浄くして阿修羅の像の眉根(まよね)のかげり( 〃 )
◇興福寺少年阿修羅にかなしみを与へし仏師の背や広からむ(水原紫苑)
◆迦楼羅(かるら)像(興福寺HPより)
スカーフがおしゃれな八部衆の一員(脱活乾漆造/奈良時代/像高149.0cm)
頭は鳥、体は人間という変わったお姿の「迦楼羅」は、サンスクリット語のガルーダを漢字で表したもの。ガルーダとは、インドの空想上の巨大鳥、金翅鳥(こんじちょう)のことで、鷲を神格化したものらしい。くちばし周辺を見ると、にわとりっぽい。でも耳は人間の耳だし、髪の毛もある。目頭が四角くなっている 目(しんもく)なので、怒っている形相だ。鳥なのに羽ではなく、手があり5本の指がついている。肩にはスカーフを巻いている。首に巻いているなら黄砂よけのためだと思うが、肩に巻いているとおしゃれっぽい。龍を常食として、害を与える一切の悪を食い尽くすといわれている。烏天狗は、この迦楼羅をもとにしているらしい。(田中ひろみ『拝んでしあわせ 奈良の仏像100』より)
頭は鳥、体は人間という変わったお姿の「迦楼羅」は、サンスクリット語のガルーダを漢字で表したもの。ガルーダとは、インドの空想上の巨大鳥、金翅鳥(こんじちょう)のことで、鷲を神格化したものらしい。くちばし周辺を見ると、にわとりっぽい。でも耳は人間の耳だし、髪の毛もある。目頭が四角くなっている 目(しんもく)なので、怒っている形相だ。鳥なのに羽ではなく、手があり5本の指がついている。肩にはスカーフを巻いている。首に巻いているなら黄砂よけのためだと思うが、肩に巻いているとおしゃれっぽい。龍を常食として、害を与える一切の悪を食い尽くすといわれている。烏天狗は、この迦楼羅をもとにしているらしい。(田中ひろみ『拝んでしあわせ 奈良の仏像100』より)
※「迦楼羅像」を詠んだ短歌
◇よく見れば左手首のない迦楼羅 朱雀大路に春は来たりて(永井陽子)
◇陽が落つる奈良油坂不可思議な楽をまとひて迦楼羅は来たる( 〃 )
◇修復を終へし迦楼羅のスカーフを風が結んでやりたるこよひ( 〃 )
◇鹿たちも若草の上(へ)にねむるゆゑおやすみ阿修羅おやすみ迦楼羅( 〃 )
※三十三間堂の二十八部衆「迦楼羅王象」(檜材の寄木造/鎌倉時代/164cm)の制作者も興福寺の迦楼羅を見たんだろうか?
◇よく見れば左手首のない迦楼羅 朱雀大路に春は来たりて(永井陽子)
◇陽が落つる奈良油坂不可思議な楽をまとひて迦楼羅は来たる( 〃 )
◇修復を終へし迦楼羅のスカーフを風が結んでやりたるこよひ( 〃 )
◇鹿たちも若草の上(へ)にねむるゆゑおやすみ阿修羅おやすみ迦楼羅( 〃 )
※三十三間堂の二十八部衆「迦楼羅王象」(檜材の寄木造/鎌倉時代/164cm)の制作者も興福寺の迦楼羅を見たんだろうか?
◆天燈鬼・龍燈鬼(東大寺HPより)
龍燈鬼(左)、天燈鬼(右)(木造/鎌倉時代/像高:龍燈鬼77.8cm 天燈鬼78.2cm)
燈籠を担いだユーモラスな邪鬼
四天王像に踏みつけられる邪鬼を、単体で立たせた像。運慶の子の康弁の作。天燈鬼像は、2本の角と3つの目を持ち、口を大きく開き、やや横目で前方をにらみ、左肩にまるでそば屋さんがそばを運ぶように燈籠を乗せている。「そこ、どけどけ~」とでも言っているようだ。龍燈鬼像は、頭上で燈籠を支えている。上目づかいで、ユーモラスな表情がかわいい。目と牙は水晶。ぎざぎざ眉は銅板、巻き付く龍の背びれは牛皮で、木以外の材料も使われている。鬼といいながら、角は見当たらない。天燈鬼が口を開けた「阿形」、ポーズは「動」、体は赤色。龍燈鬼は口を閉じた「吽形」でポーズは「静」、体の色は青と、対比してつくられている。(田中ひろみ『拝んでしあわせ 奈良の仏像100』より)
四天王像に踏みつけられる邪鬼を、単体で立たせた像。運慶の子の康弁の作。天燈鬼像は、2本の角と3つの目を持ち、口を大きく開き、やや横目で前方をにらみ、左肩にまるでそば屋さんがそばを運ぶように燈籠を乗せている。「そこ、どけどけ~」とでも言っているようだ。龍燈鬼像は、頭上で燈籠を支えている。上目づかいで、ユーモラスな表情がかわいい。目と牙は水晶。ぎざぎざ眉は銅板、巻き付く龍の背びれは牛皮で、木以外の材料も使われている。鬼といいながら、角は見当たらない。天燈鬼が口を開けた「阿形」、ポーズは「動」、体は赤色。龍燈鬼は口を閉じた「吽形」でポーズは「静」、体の色は青と、対比してつくられている。(田中ひろみ『拝んでしあわせ 奈良の仏像100』より)
◆グッズ・土産
・八部衆絵葉書セット
・龍燈鬼・天燈鬼絵葉書
・阿修羅ストラップ
・八部衆絵葉書セット
・龍燈鬼・天燈鬼絵葉書
・阿修羅ストラップ