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せきしろ×又吉直樹『まさかジープで来るとは』を読みました。

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せきしろ×又吉直樹の『まさかジープで来るとは』(2010)を読みました。同じ著者による「自由律俳句+エッセイ+写真」で構成された俳句集の第二弾です。一読して、気になった句を紹介します。

せきしろ
  シールだらけのタンスが捨てられている
  駐車場の隙間を埋めるようにタンポポ
  スイカに対する感動が年々薄くなる
  少し歩いただけで月が見えなくなる
  わりと歩み寄ったつもりだった
  大きいサングラスの女こっちを見ている
  走らなくても間に合ったんじゃないか
  怒っている女だがシャンプーの香がする
  出されたお茶をすぐに飲み干してしまった
  約束して帰り道面倒になる
  昨日絞り出した歯磨き粉を今日も絞る
  あの人は濡れてるベンチに座ればいい
  達筆すぎて読めない
  朝食でも昼食でも夕食でも夜食でもないところが自由だ
  飛び越えられるかどうかぎりぎりの川幅

又吉直樹
  独創的だが読みにくい御品書き
  切りの良い所で止めなかった報い
  間を溜めて言う程のことか
  感傷に浸りにくい商店街の放送に救われる
  「で」という顔で待たれている
  五分早い時計と頭にある
  勝手に意味を持たせて独自に誤っている
  正論を失笑されている
  曖昧な気候が呼んだ蕎麦という選択肢
  飛行船が過ぎるまで空を見て中断
  全ての信号に引っ掛かりながら早く逢いたい
  友達だが一対一は避けたい人
  目配せの意図は解らないが頷く
  外の匂いがするジャンパーを脱ぐ
  真夜中に開けた冷蔵庫の音を聴く

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