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村上春樹『東京奇譚集』を読みました。(再)

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 今日、村上春樹の短編集『東京奇譚集』(05)を読み終えました。
 この短編集について、ブックカバー裏表紙の解説を引用します。
 肉親の失踪、理不尽な死別、名前の忘却……。大切なものを突然に奪われた人々が、都会の片隅で迷い込んだのは、偶然と驚きにみちた世界だった。孤独なピアノ調律師の心に兆した微かな光の行方を追う「偶然の旅人」。サーファーの息子を喪くした母の人生を描く「ハナレイ・ベイ」など、見慣れた世界の一瞬の盲点にかき消えたものたちの不可思議な運命を辿る5つの物語。

【収録作品】
偶然の旅人
 「平日の朝、閑散としたショッピング・モールの、閑散としたカフェの隣り合った席で、二人の人間がまったく同じ本を読んでいる。それも世間に広く流布しているベストセラー小説ではなく、チャールズ・ディケンズの、あまり一般的とは言えない作品なのだ。二人は不思議な巡りあわせに驚き、そのせいで初対面のぎこちなさは消えた。」(P25-26)
 こうして物語は始まります。二人が読んでいたのはディケンズの『荒涼館』です。「偶然の旅人」を読むたびにこの小説を読んでみようと思いましたが、いまだに読んでいません。岩波文庫で全4冊もあり、そのボリュームに尻込みしていました。でも、今回は第1巻だけですが購入したので、読んでみておもしろかったら、第2巻以降も読もうと思っています。

ハナレイ・ベイ
 サチは毎年秋の終わりに3週間ハナレイ・ベイを訪れます。そこは19歳だった息子がサーフィン中に鮫に襲われて死んだ場所です。彼女はそこで息子と一緒に過ごしているのです。
 この作品の内容とは関係なく、僕もどこかゆっくり過ごせるお気に入りの場所を持ちたいと思いました。そこで何日間か、好きなことをして過ごせればいいな。

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ハナレイ・ベイは、ハワイ諸島の最北端に位置するカウアイ島にあります。(Google マップより)

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ハナレイ・ベイはカウアイ島のノース・ショアにあります。(Google マップより)

どこであれそれが見つかりそうな場所で
 「私」は、ある種の消え方をした人を捜すことに関心を持っていますが、それを職業的に行っているわけではありません。
 品川区のマンションの26階に住む夫婦は、24階に住む夫の母の面倒をみています。10日前の日曜日、母から電話があり、夫が様子を見に行きましたが、その時から夫がいなくなってしまったというのです。
 そのマンションは広い階段が特徴で、25階と26階の間の踊り場には3人掛けのソファが置かれ、壁には大きな鏡が取り付けられています。「私」はそのマンションに通い、その階段を上り下りする住民に聞き込みを始めます。・・・意外な結末でした。

日々移動する腎臓のかたちをした石
 16歳の時、淳平は父親から「男が一生に出会う中で、本当に意味を持つ女は三人しかいない。それより多くもないし、少なくもない」と言われます。その後、彼は父親と絶交状態になりますが、この「三人の女」説がいつもつきまとっています。交際している女性がその三人に入るのか? いつもそのことが頭にあって女性との関係を先へ進めることに躊躇してしまうのです。
 淳平は31歳の時、キリエという5歳年上の女性と知り合います。彼女は村上作品に登場する女性の中でもトップスリーに入るくらい魅力的です。
 淳平はキリエに書きかけの短編小説「日々移動する腎臓のかたちをした石」の話をします。そして、彼女との会話がヒントとなり、その作品は完成します。しかし、その直後、彼女は彼の前から消えてしまいます。

品川猿
 安藤みずきは1年前から自分の名前を忘れるようになり、現在は週に一度は忘れると言います。
 彼女は品川区役所の「心の悩み相談室」に通い、坂木哲子のカウンセリングを受けます。そして、2か月ほどカウンセリングを受けた後、坂木から「名前忘れ」の原因をみつけたと告げられます。


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