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エルモア・レナード『オンブレ』を読みました。

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 今日、エルモア・レナードの  『オンブレ 』(村上春樹訳、2018)を読み終えました。
 この作品について、ブックカバー裏表紙の解説を引用します。
 アリゾナの荒野を行く七人を乗せた駅馬車――御者メンデスとその部下アレン、十七歳の娘マクラレン、インディアン管理官フェイヴァー夫妻、無頼漢のブレイデン、そして「男(オンブレ)」の異名を持つジョン・ラッセル。浅黒い顔に淡いブルーの瞳、幼少期をアパッチに育てられた伝説の男と悪党たちが灼熱の荒野で息詰まる死闘を繰り広げる。レナードの初期傑作二作品を、村上春樹が痛快無比に翻訳!

【収録作品】
オンブレ(1961)
 まさにウエスタン! 駅馬車が強盗団に襲撃され、ドクタ・フェイヴァーの大金が奪われます。しかし、乗客のジョン・ラッセルがそれを奪い返したことから、乗客対強盗団の戦いがはじまります。そして、サン・ペテの鉱山跡が最後の決戦の場となります。
 映画の西部劇は好きですが、「西部小説」を読んだのは初めてでした。ローレンス・カスダン監督の『シルバラード』(1985)やケビン・コスナー監督・主演・製作の『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(1990)が好きですが、これらの映画のイメージが助けてくれたようで、かなりの臨場感を持って読めたように思います。

三時十分発ユマ行き(1953)
 主人公は保安官補のポール・スキャレン。彼は駅馬車襲撃犯の一人ジム・キッドをユマ刑務所へ移送するため、コンテンションのホテルの一室にいます。列車の出発は午後3時10分。出発時間が迫ると、スキャレンはジムを連れて駅に向かいます。そこにはジムの仲間たちが待ち構えていると知りつつ。30ページほどの短編ですが、最後の6ページのドキドキ感がたまりません。
 この作品は、ラッセル・クロウ主演で『3時10分、決断のとき』(2007)として映画化されています(2度目の映画化)。ぜひ、見ようと思います。

【参考】
エルモア・レナード
 Elmore Leonard(1925-2013)
 アメリカ・ルイジアナ州ニューオーリンズ生まれの小説家、脚本家。1984年『ラブラバ』でエドガー賞最優秀長篇賞、1991年“Maximum Bob”で第一回ハメット賞を受賞、1992年にはアメリカ探偵作家クラブ巨匠賞を受賞した。日本にも多くのレナード・ファンがいる。(文庫本ブックカバーより)

◆「訳者あとがき――神話としてのウェスタン」から一部引用します。
 僕が今回、エルモア・レナードの初期の西部小説を訳出した理由はとても簡単だ。読み物としてとても面白く、小説としての質が高く、半世紀以上の時を経てもまったく古びていないから――基本的にはそれだけだ。もうひとつ付け加えるなら、そこには後期のエルモア・レナードの作品を形作っているすべての要素が、既にしっかりと顔を揃えているからだ。そういう意味合いにおいても、エルモア・レナードの初期の西部小説と、後期のコンテンポラリー・ノワール・ミステリーを比較して読むのはなかなか楽しい。
 レナードの原点が西部小説だというのは、読み比べてみればすぐに納得のいくことだし、レナード・ファンなら「なるほどねえ」と思わず膝を打ちたくなるはずだ。それなのにエルモア・レナードの西部小説は、日本ではほとんど入手不可能な状態が続いてきたのだ! それは僕が長いあいだずいぶん不満に思っていたことだった。だから今回、彼の初期の西部小説の代表作をふたつ訳出する機会を得て、僕としてはとても嬉しかったし、じっくり楽しみながら翻訳作業を進めることができた。
 また本書に収められた二作品はハリウッドで映画化され、日本でも公開されており、そういう意味でも読者の興味を引きやすいのではないかと推測する。『オンブレ』はポール・ニューマン主演『太陽の中の対決』というタイトルで1967年に映画化された(マーティン・リット監督)。『三時十分発ユマ行き』は1957年にグレン・フォード主演で『決断の3時10分』として、また2007年にラッセル・クロウ主演で『3時10分、決断のとき』として二度にわたって映画化されている。どれもなかなか悪くない出来の映画なので、ご覧になった方も多いかもしれないし、現在でもDVDで比較的簡単に入手できるはずだ。

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