今日、スチュアート・ウッズの『湖底の家』(矢野浩三郎、1987)を読み終えました。
この作品について、ブックカバー裏表紙の解説を引用します。
この作品について、ブックカバー裏表紙の解説を引用します。
新聞社を辞め、作家修行中のハウエルは湖畔の町にやってきた。彼はそこで、ダム建設の際最後まで立ち退き要求に応じず、消息を断った家族がいたことを知る。彼らはどこへ消えたのか? そして、湖底にたゆたう影の謎は? 非協力的な住民たちをまえにハウエルの疑念は深まっていく。現実と幻影が錯綜するゴシック・サスペンス。
【感想等】
◆ジョン・ハウエルは妻との別れを決意し、ジョージア州北部の町サザーランドに向かいます。(ゴーストライターとして)ある人物の自叙伝を書くためですが、オカルト経験や町の人々との交流は、彼に人工湖サザーランド湖にまつわる因縁や保安官ボウ・スカリーの不正を解明させようとします。
性描写やオカルト場面を読んでいると、村上春樹の小説を思い出します。村上作品がアメリカ小説の影響を受けていることを改めて実感しました。
ラストの謎解きはテレビの2時間ドラマみたいです。結構ハラハラしましたが、楽しい作品でした。
◆ジョン・ハウエルは妻との別れを決意し、ジョージア州北部の町サザーランドに向かいます。(ゴーストライターとして)ある人物の自叙伝を書くためですが、オカルト経験や町の人々との交流は、彼に人工湖サザーランド湖にまつわる因縁や保安官ボウ・スカリーの不正を解明させようとします。
性描写やオカルト場面を読んでいると、村上春樹の小説を思い出します。村上作品がアメリカ小説の影響を受けていることを改めて実感しました。
ラストの謎解きはテレビの2時間ドラマみたいです。結構ハラハラしましたが、楽しい作品でした。
◆ジョン・ハウエルの登場シーンが好きです。彼の現在置かれた状況がよく伝わってきます。
午前10時、彼はテレビから聞こえてくる映画『マルタの鷹』の台詞で目を覚まします。そして、朝の目覚めに『マルタの鷹』は相応しくなく、『アイ・ラブ・ルーシー』の再放送あたりがちょうどいいなんて不満たらたらです。
※ダシール・ハメット『マルタの鷹』について、以下を参照してください。
https://blogs.yahoo.co.jp/kazukazu560506i/50287274.html
午前10時、彼はテレビから聞こえてくる映画『マルタの鷹』の台詞で目を覚まします。そして、朝の目覚めに『マルタの鷹』は相応しくなく、『アイ・ラブ・ルーシー』の再放送あたりがちょうどいいなんて不満たらたらです。
ジョン・ハウエルは聞き覚えのある声に身じろぎした。エリシャ・クック・ジュニアだ、とすぐにピンとくる。目を閉じたまま、それにつづく声を聴いた。シドニー・グリーンストリート。つぎのボガードの台詞を聞く前から、そのシーンが浮かびあがってくる。「マルタの鷹」――ボガードが薬を盛られたところだ。ハウエルは身を起こし、片手をあげて眩しい朝陽を避けながら、憮然たる顔でテレビを睨んだ。「マルタの鷹」は深夜にふさわしい映画であって、朝観るようなものではない。そもそも午前十時に、あんな暗黒ものを放映することを思いつくなんて、どこの大バカ野郎だ。どうせ、テレビ局の番組編成にいる、大学出のボガード狂かなにかだろう。朝はやっぱり、「マルタの鷹」なんかではなく、「アイ・ラブ・ルーシー」の再放送あたりで、目を覚ましたいものだと思う。いったい世の中、どうなってるんだ。もはや、まともなセンスなどというものは、存在しなくなったのか。
※村上春樹「シドニーのグリーン・ストリート」(短編集『中国行きのスロウ・ボート』収録)は、シドニー・グリーンストリートという俳優の名前から発想したそうです。※ダシール・ハメット『マルタの鷹』について、以下を参照してください。
https://blogs.yahoo.co.jp/kazukazu560506i/50287274.html
◆盲目の音楽家ダーモット・ケリーが歌うフォークソング‘I'll Take You Home Again Kathleen’について「訳者あとがき」に解説があったので、YouTubeでエルビス・プレスリーが歌っているのを聴きました。とてもいい曲だと思ったし、ダーモットの歌唱も少し想像出来ました。
◆ジョン・ハウエルについて、「訳者あとがき」に「『警察署長』の第三部で黒人署長タッカー・ワッツを助けて、殺人犯人を追いつめる役を果たした、ニューヨーク・タイムズの記者である。そのときの事件を記事にしてピュリッツァー賞を獲得し、さらに本に書いて出版した」とあったので、スチュアート・ウッズの代表作『警察署長』を読んでみようと思いました。
【参考】
スチュアート・ウッズ Stuart Woods
1938年、ジョージア州マンチェスター生れ。ニューヨーク、ロンドン等で広告マンとして活躍の後、73年から執筆活動に入る。邦訳に、「警察署長」「風に乗って」「潜行」(早川書房)、「湖底の家」「ホワイト・カーゴ」(文藝春秋)等がある。以後も“Grass Roots” “Palindrome” “New York Dead” “Santa Fe Rules” “L.A. Times” と精力的に作品を発表している。(ブックカバーより)
1938年、ジョージア州マンチェスター生れ。ニューヨーク、ロンドン等で広告マンとして活躍の後、73年から執筆活動に入る。邦訳に、「警察署長」「風に乗って」「潜行」(早川書房)、「湖底の家」「ホワイト・カーゴ」(文藝春秋)等がある。以後も“Grass Roots” “Palindrome” “New York Dead” “Santa Fe Rules” “L.A. Times” と精力的に作品を発表している。(ブックカバーより)