今日、熊谷達也の長編小説『相剋の森』(03)を読み終えました。
この作品について、ブックカバー裏表紙の解説を引用します。
この作品について、ブックカバー裏表紙の解説を引用します。
「山は半分殺してちょうどいい――」現代の狩人であるマタギを取材していた編集者・美佐子は動物写真家の吉本から教えられたその言葉に衝撃を受ける。山を殺すとは何を意味するのか? 人間はなぜ他の生き物を殺すのか? 果たして自然との真の共生とは可能なのか――。直木賞・山本賞受賞作『邂逅の森』に連なる「森」シリーズの第一弾。大自然と対峙する人間たちを描いて感動を呼ぶ傑作長編。
【感想等】
◆この作品は、自然や野生動物の保護が重視される現代社会において、マタギの伝統を守りクマ猟を続けることに意味があるのだろうかと問い続けていました。
これは小説ですが、ある面ルポルタージュのような印象を持ちながら読みました。作家は主人公・佐藤美佐子の目や言葉を通じ、自身が目撃したツキノワグマ保護団体の活動やマタギの人々の生活をレポートしているように思われたからです。
◆この作品は、自然や野生動物の保護が重視される現代社会において、マタギの伝統を守りクマ猟を続けることに意味があるのだろうかと問い続けていました。
これは小説ですが、ある面ルポルタージュのような印象を持ちながら読みました。作家は主人公・佐藤美佐子の目や言葉を通じ、自身が目撃したツキノワグマ保護団体の活動やマタギの人々の生活をレポートしているように思われたからです。
◆マタギのクマ猟に否定的だった主人公・美佐子は、新潟県熊田のマタギの頭領・滝沢昭典やマタギの男達と知り合い、マタギの伝統、生き方を肯定するようになります。ただ、その変化の理由は曖昧に思えました。僕の読みが甘いせいかもしれませんが。
◆読み進めていくうちに、この作品の主人公・美佐子の祖父が『邂逅の森』(04)の主人公・松橋富治の子幸之助だということが明らかになります。さらに、この作品のもう一人の主人公・滝沢昭典の祖母が松橋富治の娘だということもわかってきます。
つまり、美佐子と滝沢昭典はマタギの取材を通じ、偶然に知り合った間柄でしたが、ともに松橋富治を曾祖父を持つという血縁で結ばれていたのです。
この作品は「森」シリーズの第1作ですが、この中に第2作『邂逅の森』の大まかな内容が書かれていたのです。
つまり、美佐子と滝沢昭典はマタギの取材を通じ、偶然に知り合った間柄でしたが、ともに松橋富治を曾祖父を持つという血縁で結ばれていたのです。
この作品は「森」シリーズの第1作ですが、この中に第2作『邂逅の森』の大まかな内容が書かれていたのです。