今日、熊谷達也のデビュー作『ウエンカムイの爪』(98)を読み終えました。
この作品について、ブックカバー裏表紙の解説を引用します。
この作品について、ブックカバー裏表紙の解説を引用します。
――殺られる! 死んだふりをしても無駄だ。食われてしまう……。
北海道で撮影旅行中の動物写真家・吉本はある日、巨大なヒグマに襲われ、九死に一生を得る。彼を救ったのは、クマを自在に操る不思議な能力を持つ謎の女だった。その女を捜し求める吉本が見たものとは? 野性と人間の壮絶な闘いを通して、生命の尊厳と自立を描いた傑作。第10回小説すばる新人賞受賞作。
北海道で撮影旅行中の動物写真家・吉本はある日、巨大なヒグマに襲われ、九死に一生を得る。彼を救ったのは、クマを自在に操る不思議な能力を持つ謎の女だった。その女を捜し求める吉本が見たものとは? 野性と人間の壮絶な闘いを通して、生命の尊厳と自立を描いた傑作。第10回小説すばる新人賞受賞作。
【感想等】
◆この作家のマタギを扱った作品にはツキノワグマが登場しますが、何らかの意思を持った存在として描かれることはあまりなかったように思います。
この作品には「ウエンカムイ」と呼ばれる巨大なヒグマが登場します。「ウエンカムイ」とはアイヌの言葉で、「悪い神が憑いたヒグマ」を意味します。この「ウエンカムイ」がまるで意思を持って人間を襲っているように描かれています。ツキノワグマには感じなかった恐怖を感じながら読みました。
◆この作家のマタギを扱った作品にはツキノワグマが登場しますが、何らかの意思を持った存在として描かれることはあまりなかったように思います。
この作品には「ウエンカムイ」と呼ばれる巨大なヒグマが登場します。「ウエンカムイ」とはアイヌの言葉で、「悪い神が憑いたヒグマ」を意味します。この「ウエンカムイ」がまるで意思を持って人間を襲っているように描かれています。ツキノワグマには感じなかった恐怖を感じながら読みました。
◆この作品に登場する動物写真家・吉本憲司と北海道大学講師・小山田玲子、そして雑誌『フィールドアウト』編集長・加賀美直人は、やがて『相剋の森』(03)にも登場します。僕の場合、読む順序は逆になりましたが、最初から登場人物に親近感があったので、すんなり物語に入っていけました。
スチュアート・ウッズ『警察署長』の登場人物が、『湖底の家』や『草の根』といった別の作品で活躍していたのを思い出します。
スチュアート・ウッズ『警察署長』の登場人物が、『湖底の家』や『草の根』といった別の作品で活躍していたのを思い出します。
◆『相剋の森』で、吉本と玲子の関係に言及した部分がありましたが、こちらを先に読んでいればもっと深い読みができたかなと思います。