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熊谷達也『浜の甚兵衛』を読みました。

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 今日、熊谷達也の『浜の甚兵衛』(2016)を読み終えました。
 この作品について、「講談社BOOK倶楽部」のHPから引用します。
 明治三陸地震で2万人を超える犠牲者が出た19世紀末。三陸の仙河海港で沖買船の商売をしていた菅原甚兵衛は、富裕な魚問屋マルカネの社長と女郎屋の女将の子で、正妻の子である兄とはそりが合わず、鬱屈を粗暴な振る舞いに込めて暮らしていた。海上の事故で船を失った甚兵衛は、大きな借金を抱えつつ、北洋でのラッコ・オットセイ猟に賭けて出る。
 東北からはるか北の海に繰り出し強く生きた甚兵衛の覚悟と男気。
 東日本大震災を機に、震災をさまざまに描いて小説に昇華する著者ライフワーク「仙河海サーガ」の出発点にして最新作!
※仙河海サーガ(仙河海シリーズ)
 悒螢▲垢了辧戞13)
◆愴腓澆粒ぁ戞14)
『ティーンズ・エッジ・ロックンロール』(15)
ぁ慊の音、空の青、海の詩』(15)
ァ愆召粒ぁ\膕漏そ福戞16)
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А愽佑凌喨識辧戞16)
─慄醂の海』(17)

【感想等】
◆この作品は、宮城県気仙沼市をモデルにした「仙河海」が主な舞台になっています。
 気仙沼は昔から津波の被害や大火災を何度も経験し、そのたびに力強く復興してきた町です。「仙河海」の物語でも、気仙沼が被災した明治29年(1896)の明治三陸沖地震や昭和4年(1929)の大火が描かれています。
 明治三陸沖地震の被害状況がとてもリアルに描かれていると思います。私達は東日本大震災の際、津波が押し寄せ、陸地にある物をなぎ倒し、呑み込んでいく映像をテレビで繰り返し見ましたが、そこに人の姿はありませんでした。実際は多くの方が津波の犠牲になったのですが、この作品にはそういった犠牲者の姿が描かれています。

◆主人公・菅原甚兵衛の19歳から52歳までの波乱の人生が描かれていますが、ハイライトは第二高潮丸(スクーナー船)に乗ってオットセイを追っていた20代だと思います。甚兵衛はオットセイの毛皮を求め、千島列島、さらにはカムチャツカ半島周辺まで航海します。
 カムチャツカ半島に近いコマンドルスキー諸島ではオットセイ群棲地に上陸し、オットセイを次々と撲殺します。そこはロシア領なので銃を使うと密猟がわかってしまうからです。ロシア兵に見つかり、銃撃戦にでもなるのかとハラハラドキドキ。でも、その場面はそこで終わり、ちょっと肩透かし。

◆菅原甚兵衛は、『微睡みの海』に登場した菅原貴之の曽祖父くらいかと思いましたが、繋がりは無いようです。

◆主な登場人物(登場順)
・菅原甚兵衛
・林太郎
・忠次郎
・孫六
・おたみ
・おすみ(菅原すみ)
・金子辰蔵
・金子辰之助
・高畠亥治郎
・広田助三郎
・高木徹郎
・川島賢吾
・葵(遠藤幸江)
・八重

【参考】
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コマンドルスキー諸島

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