先日仕事で沖縄に行った際、移動時間やホテルで過ごす時のために角川文庫から出ている太宰治の短編集を2冊―『走れメロスと』と『女生徒』―持っていきました。これまで太宰の短編は新潮文庫で読んできましたが、違った作品選択の短編集を読むのもおもしろいと思ったからです。
太宰治の15年間の作家活動は以下の3期に分けられます。このうち中期は「生活も比較的安定し、芸術的に多彩な開花を示した時期」(文芸評論家・奥野健男)と言われるように、多くの優れた作品が書かれています。
前期:昭和8年~12年 中期:昭和13年~20年(終戦) 後期:昭和20年(戦後)~23年(死)
前期:昭和8年~12年 中期:昭和13年~20年(終戦) 後期:昭和20年(戦後)~23年(死)
短編集『走れメロス』には昭和14年から16年までの中期の作品10編が収録されています。「富嶽百景」「畜犬談」「駆込み訴え」「走れメロス」「東京八景」など、好きな作品が多く、とてもいい編集だと思います。
「東京八景」から好きな一節を引用しておきます。なお、同趣旨の文章は「富嶽百景」にもあります。
人間のプライドの窮極の立脚点は、あれにも、これにも死ぬほど苦しんだ事があります、と言い切れる自覚ではないか。
「東京八景」から好きな一節を引用しておきます。なお、同趣旨の文章は「富嶽百景」にもあります。
人間のプライドの窮極の立脚点は、あれにも、これにも死ぬほど苦しんだ事があります、と言い切れる自覚ではないか。
【収録作品】( )内は発表年月
◆富嶽百景(昭和14年2月・3月)
◆懶惰の歌留多(昭和14年4月)
◆八十八夜(昭和14年7月)
◆畜犬談(昭和14年8月)
◆おしゃれ童子(昭和14年11月)
◆俗天使(昭和15年1月)
◆駆込み訴え(昭和15年2月)
◆老(アルト)ハイデルベルヒ(昭和15年3月)
◆走れメロス(昭和15年5月)
◆東京八景(昭和16年1月)
◆富嶽百景(昭和14年2月・3月)
◆懶惰の歌留多(昭和14年4月)
◆八十八夜(昭和14年7月)
◆畜犬談(昭和14年8月)
◆おしゃれ童子(昭和14年11月)
◆俗天使(昭和15年1月)
◆駆込み訴え(昭和15年2月)
◆老(アルト)ハイデルベルヒ(昭和15年3月)
◆走れメロス(昭和15年5月)
◆東京八景(昭和16年1月)