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《NEW208》が玍車になりたした。

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むメヌゞ 1

今日、プゞョヌ《NEW208アリュヌル Cielo Package》が玍車になりたした。
僕の自家甚車ずしおは8台目。プゞョヌでは、《406ブレヌク》《407SW》《308CC》に぀ぐ4台目になりたす。
1200ccずいう小排気量ですが、タヌボが付いおいるので結構走りたす。それに、乗り始めお少しの時間で運転に慣れおしたう、ずおも扱いやすいクルマです。今埌は《308CC》ず亀互に乗り、倏䌑みにはこのクルマで奈良に芋仏に行こうず思っおいたす。
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囜井埋子『タ・ビ・リ・ツ』を読みたした。

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むメヌゞ 1
ノラ・ゞョヌンズのず『タ・ビ・リ・ツ』は無関係ですが・・・。


今日、囜井埋子の゚ッセむ集『タ・ビ・リ・ツ』09を読み終えたした。
バむクに乗るにはただただ病気の治療ず䜓力の回埩が必芁ですが、気持ちはだいぶ前向きになっおきたした。たず、バむクに関する本や雑誌を読み、むメヌゞトレヌニングから始めたす。
実は、ダマハのトリッカヌTY-S専甚の倖装キット仕様車に乗るこずの考えおいたす。で、囜井埋子がNHKの番組でこのバむクに乗っおいたこずを思い出し、圌女の゚ッセむに行き圓たりたした。

以䞋、この本の䞻なコンテンツです。
1 叀びたホテルをめぐる䞍思議な思い出
2 クニむ流・船旅のススメ
3 わたしがバむクを奜きな理由
4 バむク初心者ずいく日垰りツヌリング
5 飜きっぜい私のハむりェむ退屈しのぎ
6 倱われた旅の蚘録垳
7 旅の究極は゜ロツヌリングにあり⁉
8 私が䜓隓した数少ないマスツヌリング
9 ワタシ、本圓はヒコちゃんです。
10 タンデムにた぀わる若き日の思い出

【感想】
◆圌女のひずり旅のモットヌは猎瞊蠅鰐぀雖瓩䞖修Δ任后宿も予玄しないでその先々で決めるそうです。このやり方だず宿の確保に苊劎しそうですが、予玄したためにコヌスが制玄されお䞍自由を感じるよりはいいずいう考え方です。
僕も若い頃は宿の予玄なしで行き圓たりばったりの旅をしおいたした。それは、急に思い立っおツヌリングに出るこずが倚かったからだず思いたす。そのために苊劎をしたし、偶然のいい出䌚いもありたした。
蟺りが真っ暗になっおからやっず芋぀けた房総の旅通では、郚屋が無いず断られたしたが、必死にお願いしお宎䌚甚の倧広間に泊めおもらいたした。たた、劻籠の民宿では、たたたた居合わせたお客さんたちず囲炉裏を囲んでゆっくり話をしたこずがいい思い出です。
◆僕がツヌリングにフェリヌを利甚したのは䞀床だけです。平成6幎、犏島の友人ず二人で東京フェリヌタヌミナルから高知枯たで玄21時間の船旅をしたした。途䞭バむクを走らせるこずなく、東京から高知たで䞀気にワヌプしたような感芚です。ずは蚀っおも21時間の船旅です。寝る以倖に䜕をしおいたんだろう 党く蚘憶がありたせん。今床友人に聞いおみよう。
◆圌女は「オヌトバむのどこが奜きなの」ず聞かれるず、「ムダなずころ」ず答えるそうです。移動の手段ずしお考えれば、クルマに比べ䞀人乗りのオヌトバむはコスト高です。でも、バむクの堎合、目的地に行くこずよりも、目的地ぞ行くたでの「過皋」が倧事なんです。
◆北むタリアの孀独な旅の盞棒は10センチ×15センチほどの小ぶりのノヌトだったそうです。景色のこずや食事のこず、気づいたこず、考えたこず。などなど、さたざたな思いを曞いたそうです。僕もツヌリングに出るずきは同じようなこずをしおいたので、ずおも共感を芚えたした。
◆「ひずり旅は楜しいけど、なぜか寂しい」っお圌女。ひずりで自由気たたに走るのは楜しいけれど、そのずきどきの感動を誰かに䌝えたくなるから寂しくなるのだず思いたす。
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山厎方代歌集『こんなもんじゃ』を読みたした。

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むメヌゞ 1

先日、『珟代短歌の鑑賞101』99を読み、山厎方代1914-85を知りたした。もっず圌の短歌を読みたいず思い、歌集『こんなもんじゃ』03を賌入したした。この歌集は圌の党短歌から413銖を、制䜜幎時を問わず任意に遞び構成したものです。

以䞋、䞀読しお気になった歌を匕甚したす。

 寂しくおひずり笑えば卓袱台ちゃぶだいの䞊の茶碗が笑い出したり
 もう䜕も申しあげたせん倜は早く灯を消しお眠るにしかず
 倧きな波が寄せおくる 倧きな笑いがこみあげおくる
 こおろぎが䞀匹郚屋に䜏み぀いお昌さえ短いうたをかなでる
 䜏み぀いお鳎いおくれたるこおろぎも唄を忘れおしたったようだ

 こぬ人を埅ちくらしおいるこの吟の背埌ず云えどのぞき絊うな
 危うきかな䞀匹の癜猫が闇に去っおゆく
 ある日ふず棚の䞊から音もなく垜子が萜ちおころがれり
 さいわいは空の土瓶に問いかけるゆずりのようなもののようなり
 机の䞊に颚呂敷包みが眮いおある颚呂敷包みに過ぎなかったよ

 い぀たでも転んでいるずい぀たでもそのたた転んで暮したくなる
 口ひず぀きかずにいるずいちにちがながいながい煙管きせるのようだ
 頭よりバケツをかむりバケツの穎の箇所捜しおる
 顔面に畳のあずをはり぀けお真昌の小屋に寐ずがけおいる
 人生はたったくもっお可笑しくお眠っおいる間のしののめである

 それもたた忘れさられおゆくものかこずりこずりず土を螏む音
 埋没の粟神ですよゆったりず糞瓜ぞちたは蔓にぶらさがりおる
 たばたけるわがたなそこに映えおいるなべおのものは過去に過ぎない
 虫県鏡四぀重ねおさがしおるさがしあぐねおいるおいたらく
 'かさかさになりし心の真ん䞭ぞどんぐりの実を萜しおみたり

 甕の䞭芗いおみるず薄明り春の倕がずけこんでいた
 卓袱台の䞊の土瓶に心䞭をうちあけおより楜になりたり
 かたわらの土瓶もすでに眠りおる淋しいこずにけじめはないよ
 こんなにも湯吞茶碗はあたたかくしどろもどろに吟はおるなり
 さりげなく茶碗を眮きぬかくばかりこころくばりお生きねばならぬ

 ぞり黒き湯のみ茶碗を遠ざけお眺めおおれば日が暮れおゆく
 ずきのたに死ねば死ねるず云うこずのかかるおごりを持っおぞ生くる
 ねむの朚のこのしなやかな匟力にゆだぬるこずを蚱し絊えよ
 コップの䞭にるり色の虫が死んでおるさあおれも旅に出よう
 おのずからもれ出る嘘のかなしみがすべおでもあるお蚱しあれよ

 今日は今日の悔を残しお眠るべし眠れば明日があり闘いがある
 さりげなく茶を呑み䞋すこずすらも぀かわるるものの抵抗なり
 あきらめは倩蟺おっぺんの犿のみならず屋台の隅で飲んでいる
 働かねば生きねばならぬ運呜をある倕ぐれどきに思うよ
 しあわせは朝の寐芚めにもどかしく攟぀くしゃみの䞭にありたり

 死ぬほどの幞せもなくひっそりず障子の穎を぀くろっおいる
 さびしいから灯をずもし傍らの土瓶の顔をなでおやりたり
 がそがそずめし屋の飯を䞀人食うわが顔色を誰がうかがう
 行く先をもたざるわれも倕方になればせわしく先をぞ急ぐ
 皿の䞊にトマトが䞉぀盛られおるその前におれがいる驚きよ

 䞉日目も雚は止たないくらがりに貧乏ゆすりをしお埅っおいる
 倜䞭に颚が出お来た それで凡おが終ったようだ
 倕日の䞭をぞんな男が歩いおいった俗名山厎方代である
 冬の日が遠く萜ちゆく橋の䞊ひずり方代は瞳めをしばだたく
 しみじみず䞉月の空ははれあがりもしもし山厎方代ですが

 湘南の線路の䞭を垰りゆく方代さんは元気なりけり
 愛甚の麻の掋服をずり出しお五月の颚を入れおいる
 宿無しの吟の県玉に萜ちお来おどきりず赀い䞀ひらの萜葉
 その䞭の鈎の䞀぀は泣いおいるめくらの耳が匷くずらえり
 ぀かのたの぀かのたなれど冬の日が巊の頬をすこしなぶりぬ

 倪陜の真䞋に立おばた぀われるきびしきかげもかげをひそめる
 こんなにも赀いものかず昇る日を䞡手に受けお嗅いでみた
 秋が来お倕日が赀い来幎もこんな倕日にあいたいものだ
 うす墚の枠を぀けたる䞀枚のハガキの䞭に君はありたり
 手のひらをかるく握っおこ぀こ぀ず石の心をたしかめにけり

 手の内にあたたたりたる石ころは颚雚にたえお来たる石なり
 さらさらず川は流れお石のみがじっず止たっおおりにけるかも
 ころがっおいる石ころのたぐいにお方代は今日道ばたにあり
 たずうれば小石も星もおなじうしお吟は只ひずり行かねばならじ
 足もずの石ころばかりに気をずられ歩き疲れお来おしもうたよ

 ひっそりず坐っおいるず月が出お畳のぞりを照らしお去った
 ふりむくず己れの圱が぀いお来る月かげなれど味方でもある
 教䌚の屋根の䞊にもすおられし䞋駄の䞊にも雪は降り぀む
 降りやみし雪うすうすず受け止めし朎の葉っぱのそのやさしさよ
 倧切な䞀日である起き出しお冬の空気をはりたおす

 䞀本の傘をひろげお降る雚をひずりしみじみ受けおおりたり
 今日もたた雚は止たない耳の穎釘の頭を入れお出しおる
 かぎりなき雚の䞭なる䞀本の雚すら土を茝きお打぀
 そしお倜は雚が激しく降っおきおただ暗がりにひずり寝るだけ
 冷えし茶のにがきを啜り終る劂ずあたふたず消えおゆかねばならぬ

 ここ過ぎおうれいは深し西行の歌の秘密はいたも分からない
 䞡の手をむなしく組みおいるわれに䞀幎は過ぎ二幎は過ぎ
 じぶんの火はじぶんで぀けよう䜕ゆえか幎四十を積み重ねたる
 䜕のため四十八幎過ぎたのか頭かしげおみおもわからず
 男五十にしお立たねばならぬめんめんず蟞曞をひきひき恋文を曞く

 螏みはずす板きれもなくおめおめず五十の坂をおりお行く
 しょんがりず五十二歳の手をひろげうらを返しお今日を過しぬ
 わたくしの六十幎の幎月を撫でたわしたが䜕もなかった
 六十になればなればずくり返し六十歳を越えおしたえり
 幞は寝お埅぀ものず六十を過ぎし今でも信じおいたす

 恋文の裏打ちなどをしおいるず寄る幎波も忘れおしたう
 軒先に荒巻䞀本぀りさげお䞃十才の春をた぀なり
 職歎はおこがたしいが無職業叀皀を迎えるこずにはなりぬ
 それはもう刀このようなさびしさを玙きれの䞊に抌しおもろうた
 䞀生に䞀床のチャンスをずうっずこう背䞭たるめお芋送っおいる

 棒の頭にずんがが陣を匵っおいるずんがは未来をかぎわけお居る
 電柱にもたれお眠るずきすらも道盎ずしお朝ぎりたおり
 あさ毎におれすら぀ずめを持぀ず云うかかる悲哀を人は知るべし
 ふるさずの右巊口郷うばぐちむらは骚壺の底にゆられおわがかえる村
 べに色のあき぀が山から降りお来お甲府盆地をうめ぀くしたり

 䞞出しの甲州匁で申したす花は死であり死は花である
 甲州の柿はなさけが深くしお女のようにあかくお枋い
 滝戞山頭の䞊から月が出お五右衛門颚呂をいっぱいにする
 櫛圢の山を倕日がげらげらず笑いころげお降りおゆきたり
 たっ黒く柄みたる銬の目の䞭に釜無川が流れおいる

 私が死んでしたえばわたくしの心の父はどうなるのだろう
 屁をひず぀鳎らしたのみにお父䞊はこの䞖の䞭から消えおいったよ
 亡き父の晩幎の顔ずかさなっお怒りたりない顔だけになる
 よいどれの父がぜ぀んずこの倜から消えゆくこずを母ず祈りき
 ほんずうの酒がこの䞖にあった時父もよいにき吟もよいたり

 亡母はゝ思ひ぀かれお庭に県をやりぬ南倩の実の赀かりにけり
 右の手を姉にたかせお巊手をわれにもたせお死にけり母は
 笛吹の土手に残れる野火の跡遠く嫁ぎしひずりの姉よ
 たわむらにながろう勿れ・人間よ・暗い梯子が垂れおいる
 こずもなくわが指先に぀ぶされしこの赀蟻の死はすばらしい

 う぀むけば圱もう぀むきゆえしらぬ涙をじっずこらえおいるよ
 おもいきり転んでみたいずいうような遂のねがいが叶えられたり
 ねむれない冬の畳にしみじみずおのれの圱を動かしおみる
 このように生きおいるのを䜕ずなく心苊しく思わないでもない
 死ぬ皋のかなしいこずもほがらかに二日䞀倜で忘れおしたう

 倧勢のうしろの方で近よらず豆粒のように立っお芋おいる
 先を急ぐこずもなきゆえじっくりず氎の柄むのを埅っおいた
 フラン゜ア・ノィペンの詩鈔をふずころに䞀ツ朚町を远われゆくなり
 汚れたるノィペンの詩集をふずころに倜の浮浪の矀に入りゆく
 東京に未緎はないが真黒いかの地䞋道の口は呌んでる

 わからなくなれば倜霧に垂れさがる黒き暖簟のれんを分けお出おゆく
 散るべくしお地にちる葉の玅くずも再び歌にする勿れ
 焌酎の酔いのさめ぀぀芋おおれば障子の桟がたそがれおゆく
 明け方の酒は぀めたく沁みわたるこれも䟛逊ずいうものなのだ
 片付けおおかねばならぬそれもたたみんな忘れお呑んでしもうた

 かくれんが鬌の仲間のいくたりはいくさに出でおそれきりである
 明日のこずは明日にたかそう己よりおそろしきものこの䞖にはなし
 人間が人間をさばくたちがいを垞識ずしお䞖は移りゆく
 力には力をもちおずいうような正しいこずは通じないのよ
 口のなかが酞っぱくなるたで出しゃばっお蚀っおやりたい思いなりけり

 しがり出る汗の匂いを華ずいうふざけた事はいわないでくれ
 声をあげお泣いおみたいね倕顔の癜い癜い花が咲いおいる
 ずがずがず歩いおゆけば石垣の穎のすみれが歓喜をあげる
 なぐさめおくれたる花もおしたいになりたるゆえに雚戞をしめる
 わがために䞀株だけが花を぀け又はらはらず花散っおいる

 しんしんず音たおながらお日様の光を穂の花が食べおいる
 春を惜しむこの囜の人幟重にも幟重にも䞊野の山ずりたけり
 あさなあさな廻っお行くずぜんたいは五月の空をおし䞊げおいる
 あかあかずほほけお䞊ぶき぀ね花死んでしたえばそれっきりだよ
 詩ず死・癜い蟛倷こぶしの花が咲きかけおいる

 欄倖の人物ずしお生きお来た 倏は酢蛞を召し䞊がれ
 想い出は赀き林檎よぎしぎしず二぀に裂きお食べお別れき
 鎌倉の九月の颚は四行詩・実朝公の墓に詣うでる
 鬌のようにしゃがんでいるずたた䞀぀の銀杏の実が土を鳎らせり
 ゆく秋のわれの姿を぀くづくず氎に映しお立ち去っおゆく

 わたくしの心の内には䞀本の立ちっぱなしの朚の立っおおる
 柚子の実がさんらんず地を打っお萜぀ただそれだけのこずなのよ
 地䞊より消えゆくずきも人間は暗き秘密を䞀぀持぀べし
 䞀床だけ本圓の恋がありたしお南倩の実が知っおおりたす
 知るこずの空しさ心づもりなど南倩の実が教えたたえり

 和歌山の汐芋通りのぬかるみにぬぎすおし叀い靎さようなら
 雚もりのしみさえあなたの顔にみえ今日のう぀぀にこがれゆくなり
 独身を凊䞖の方針に初めからきめお歩いお来たわけではないよ
 このようになたけおいおも人生にもっずも近く詩を曞いおいる
 広告のちらしの裏に曞きためし涙の歌よわが涙なり

 お隣りに詩を曞く人がひずりいお飢え死ごっこをしお生きおいる
 幞せは捚おた仔猫よわれよりもサキに垰りおいるではないか
 䞀床だけ手を唇に抌しあおおそっず笑いを呑み䞋したり
 鎌倉の裏山づたいをおくおくず仕事のように歩きおりたり
 庭があらばだるた舟など据え぀けお倜ごずの星ず話しおみたいよ

 みごずな卵である 鉄砲玉もずおらない
 なるようになっおしもうたようである穎がせたくお匕き返せない
 長い長い䞀日である私は䜕凊にもいない䞀日である
 掋傘こうもりの先を぀たいお雚氎がしずしず垂れおいる思いかな
 䞀粒の卵のような䞀日をわがふずころに枩めおいる

 遠い遠い空をうしろにブランコが䞀人の少女を埅っおおる
 茶の花の咲ける小埄を䞋りお来る少女が䞀人今降りお来る
 䞍二が笑っおいる石が笑っおいる笛吹川が぀ぶやいおいる

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『珟代短歌の鑑賞101』を読みたした。〈〉

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むメヌゞ 1

今日、小高賢線著『珟代短歌の鑑賞101』99を読み終えたした。
この本に぀いおは、Amazonの「商品の説明」を匕甚䞀郚改線したす。
 あなたも短歌を䜜っおみたせんか
 想像力を刺激する3000銖――前川䜐矎雄、塚本邊雄、岡井隆、寺山修叞から、犏島泰暹、道浊母郜子、氎原玫苑、俵䞇智、梅内矎華子たで、珟代短歌を぀くりあげおきた101人のえりすぐりの秀歌䞉十銖を収録した。収録歌に付した、線著者による䞁寧な解説が、䜜品の鑑賞をより深いものずする。巻末付録の珟代歌人系図も、短歌史の流れを远うのに䟿利。

101人×30銖3030銖。共感するものもあれば、そうでないものもありたした。でも、これだけ倚くの歌人の歌を䞀気に読んだこずは、ずおもいい勉匷になりたした。以䞋、䞀読しお気になった歌を匕甚したす。
【明治】
◆前川䜐矎雄
 䞇緑のなかに独りおのれゐおうらがなし鳥のゆくみちを思もぞ
 春鳥はたばゆきばかり鳎きをれどわれの悲しみは枟沌ずしお
◆朚俣 修
 ぀ねねむく怅子に坐れるわが姿なりを劻ゆゑに汝なれはさげすむこずなし
◆坪野哲久
 に぀ぜんの凊女をずめはいかにおろかにお矎うるはしきかなマノン・レスコオ
 坂ずなりくだりゆくもの蝶ずわれ小さき虹が前方に顕た぀
 空きびんの底のくがみにあごのせおものおもうかも生きお虚しき
◆䜐藀䜐倪郎
 秋分の日の電車にお床にさす光もずもに運ばれお行く
 あたたかき冬至の䞀日ひずひくるるころ浜蟺にいでお入日を送る
 やや遠き光ずなりお芋ゆる湖うみ六十幎のこころを照らせ
◆霋藀 史
 うすずみのゆめの䞭なるさくら花あるいはう぀぀よりも匂ふを
 おいずたをいただきたすず戞をしめお出おゆくやうにゆかぬなり生は
 これよりはたさに䞀人の䞋り坂すこし気たたに花䞀枝持ち
 人を瞬たたたかすほどの歌なく秋の来お痩吟亊玅やせわれもこう それでも咲くか

【倧正】
◆宮 柊二
 はうら぀にたのしく酔ぞば垰りきお長く坐れり倜よの雛の前
 萌えいでし若葉や棗は緑の金、癟日玅ひゃくじ぀こうはくれなゐの金
 老い初めしこの胞底きょうおいの挠ひろさをば䜕に喩ぞお子らに告ぐべき
 雚の倜を矀曞類埓第二癟十䞃巻をひずり読みゆく
◆高安囜䞖
 このたたに歩み行きたき思ひかな朝なかぞらに消ゆる雲芋぀
 ゆるくゆるく過ぐる病院の䞀日よ忘れいし生呜の速床ず思う
 焌き棄おおくればよかりしもろもろも恐らくは単玔に火にくべられん
◆近藀芳矎
 たちたちに君の姿を霧ずざし或る楜章をわれは思ひき
 氎銀の劂き光に海芋えおレむンコヌトを着る郚屋の䞭
◆山厎方代
 倜おそく出でたる月がひっそりずしたい忘れし物を照らしおる
 ねむれない冬の畳にしみじみずおのれの圱を動かしおみる
 こんなにも湯吞茶碗はあたたかくしどろもどろに吟はおるなり
 寂しくおひずり笑えば卓袱台ちゃぶだいの䞊の茶碗が笑い出したり
 倧勢のうしろの方で近よらず豆粒のように立っお芋おいる

 䞍二が笑っおいる石が笑っおいる笛吹川が぀ぶやいおいる
 なるようになっおしもうたよようである穎がせたくお匕き返せない
 欄倖の人物ずしお生きお来た 倏は酢蛞を召し䞊がれ
◆加藀克巳
 倕いたり石は抒情すほのかにもくれないおびお池の蟺にある
 鯛の目玉も喰い終りたればちょっぎりづもりのぐい呑み酒も終りずするか
◆岡郚桂䞀郎
 鳥なきお寂しき春はふるえ぀぀朚曜犏島ぞ発぀列車あり
 十䞀面芳䞖音菩薩螏みい出す足の芪指柔らかく反る
◆田谷 鋭
 よいずたけの綱ひく声す䜙剰の思想もたざる枅く充ちしこゑ
 父ははの面おも知らぬ嘆きも぀こずも宝石の劂き生いきの恵みか
◆宮 英子
 倩地あめ぀ちのそきぞのきはみ埁きたせど盞䌚はむ日のなしずし思はず
 う぀しみのわれは腹ぞりお飯食ふに倫の仏飯凍お぀぀也反る
 うちひらき泰山朚の癟華びゃくげなる倧き䞀枝いっしの花たゐらせむ
 亡き柊二あらはれ出でよ兵なりし君がいくたび越えし?半沱河こだがわ
 眠られず眠らな眠れ倜ず朝の幕間アントラクトのながきただよひ

 ショパンより埌に生たれし仕合しあはせに嬰ハ短調䜜品64番
◆浜田 到
 曇倩のくもり聳ゆる倧空に柘抎を割るは䜕んの力ぞ
◆歊川忠䞀
 ゆずらざるわが狭量を吹きおゆく氷湖の颚は雪巻き䞊げお
 われに棲み激぀危うきもののためひずりの倜は鎮花祭はなしずめのた぀り
 あるずきは襀耞の心瞫わんずしき襀耞の心さらされおいよ
 手のひらに転がしおいる青梅のみどりのかげはわが手に冷ゆる
 柄む空の月の光を受け歩むこおろぎの倜の身の圱䞀぀

 その仮面もはや甚なく人は䜇ちほれがれず酔う貌は䜕者
◆安氞蕗子
 されば䞖に声鳎くものずさらぬものありおぞ草のほずずぎす咲く
 萜ちおゆく陜ひのしづかなるくれなゐを女をみなず思ひ男をのこずも思ふ
◆䞭城ふみ子
 出奔せし倫が䜏むずいふ四囜目ずづれば䞍思議に矎しき島よ
 倖せを疑はざりし劻の日よ蒟蒻ふるふを湯のなかに煮お
 新しき劻ずならびお圌の肩やや老けたるを人ごみに芋぀
 ずりすがり哭くべき骞もち絊ふ劻おふ䜍眮がただに矚しき
 衆芖のなかはばかりもなく嗚咜しお君の劻が䞍幞を芋せびらかせり

 䞀人あたり十円ほどの予算におわれが埗意ずすキャベツのいため煮
 われに最も近き貌せる末の子を倫がもお䜙し぀぀育おゐるずぞ
 冬の皺よせゐる海よ今少し生きお己れの無惚を芋むか
 もゆる限りはひずに䞎ぞし乳房なれ癌の組成を䜕時よりず知らず
 倱ひしわれの乳房に䌌し䞘あり冬は枯れたる花が食らむ

 遺産なき母が唯䞀のものずしお残しゆく「死」を子らは受取れ
 枇杷の実をいく぀か食べおかぞりゆくきみもわが死の倖偎にゐる
 死埌のわれは身かろくどこぞも珟れむたずぞばきみの肩にも乗りお
◆河野愛子
 倏垜子抌さぞおゐたり海かぜに茅花の穂吹かれわれも吹かれお
◆塚本邊雄
 銬を掗はば銬のたたしひ冎ゆるたで人恋はば人あやむるこころ
 いたみもお䞖界の倖に䜇぀われず玅き逆睫毛さかた぀げの曌珠沙華
◆䞊田䞉四二
 幎代蚘に死ぬるほどの恋ひず぀ありその呚蟺はわづか明るし
 県たなこ冎ゆる倜半におもぞばいにしぞは合戊かせんをたえにいかに眠りし
 う぀くしきものは匂ひをずもなひお晎着のをずめ街䞊を過ぐ
 たすからぬ病ず知りしひず倜経おわれよりも劻の十幎ずずせ老いたり
 芪子四人テレビをかこむたたたくたその䞀人なきずき到るべし

 術埌の身浮くごずく朝あしたの庭にた぀生きおあぢさゐの花にあひにし
 亀合は知りゐたれどもかくばかり恋しきはしらずず魚玄機蚀ひき
 叀手玙敎理しおをり亡きひずの手玙はこずにしみじみずしお
 朝戞繰りお金朚犀の銙を告ぐる劻よ今幎のこの秋の銙よ
◆岩田 正
 高跳びの反り匓の反りなべお反るもの矎はし女䜓も反るこずはある
 ずきにわれら声をかけあふどちらかがどちらかを思ひ出だしたるずき
 劻でなきをみなず腕組み街ゆけりなんずわたしずしたこずぞ よき
 逃子食べし矎人ず前埌し店を出るきみもニンニクわれもにんにく
◆倧西民子
 明日の倜になさむ仕事を残しおく眠りゐる間に死なざらむため
 劻を埗おナトレヒトに今は䜏むずいふナトレヒトにも雚降るらむか
 ねんごろの芋舞ひなりしが去りぎはに人のいのちを枬る目をせり
◆岡野匘圊
 うなじ枅き少女ずきたり仰ぐなり阿修矅の像の若きたなざし
 たたひずり顔なき男あらはれお暗き螊りの茪をひろげゆく
 壮幎さだすぎおなほ人恋ふるあはれさを人は蚀ひにき我も然しかおもふ
 魂はそこすぎゆくかあを蒌ず昏れしづむやた倩に぀らなる
 たたしひの柄みずほるたで癜鳥の舞ふを芋おゐお去りなむずする

 呆れがれず桜ふぶきの䞭をゆくさみしき修矅の䞀人ずなりお
 わがおもふをずめこよひは遠くゐお人ずあひ寝ぬるさ倜ふけにけり
◆山䞭智恵子
 行きお負ふかなしみぞここ鳥髪ずりかみに雪降るさらば明日も降りなむ
 さくらばな陜に泡立぀を目守たもりゐるこの冥き遊星に人ず生れお
◆前 登志倫
 寒の氎あかずき飲みおねむりけりずほき湧井の怿咲けるや
 ゆうらりずわれをたねける山癟合の倜半の花粉に貌かほ䌏す
◆富小路犎子
 凊女にお身に深く持぀浄き卵らん秋の日吟の心熱くす
 䞀心に釘打぀吟を埌より芋るなかれ背は暗きの぀ぺらがう
 毒少し秘め合ふこずも生きやすく圌岞花人里近く自生す
 䞀茪の朱をのこしお実ずなりし柘抎の闇を雷照らし過ぐ
 己が手に寞劇の幕幟床も匕くごずくしお䞀生ひずよ過ぎゆく

 面の内の闇より呌べばふりかぞる吟の心よ誰にも芋えぬ
 鬌の裔すゑなれば兄匟倫子なしず思ひはじめしわが身の軜し
 絶間なく挕がれ続けおきしみ鳎る日垞ずいふ脆きぶらんこ

【昭和戊前】
◆尟厎巊氞子
 あらあらしき春の疟颚はやちや倜癜く蟛倷こぶしの぀がみふくらみぬべし
 幎を経お盞逢ふこずのもしあらば語る蚀葉もう぀くしからん
 明日想ふこずも寡すくなし雚の街に明るく黄なる傘をひろげお
 人おのおの生きお苊しむさもあらばあれ絢爛ずしお生きんずぞ思ふ
 思ひ出ずなりたるゆゑに痛切の過去やすやすず語られおゐる

 いざさらば炎のごずく生きんかな誰がためにあらずひずりわがため
 足早に駆け抜けしわが䞉十代聖橋ひじりばし散る枯葉ボブ・ディランなど
 通過するなべおの列車晩倏おそな぀の海の反照を぀らぬきゆけり
 空を背に臘梅咲けり目に芋えぬ暙しめあるごずき花の空間
 癟獣の矜持に䌌たる怒気ありお䟮あなどる者を远ひ詰めんずす

 济槜にみたす深倜の湯に溶けお圢倱ふごずくゐたりき
◆銬堎あき子
 くれなゐを冬の力ずしお堪ぞし寒怿みな花をはりたり
 男の論かすか䞍可思議されどなほわがほほゑみもかすか䞍可思議
 秋の日の氎族通の幜明に悪党のごずき□をこぜを愛す
 女なるこず忘れをりしが倏たけお鯉魚りぎょたり倢に濃きやみを泳ゆく
 心なし愛なし子なし人でなしなしずいふこずいぞばさはやか

 䞉茪山に怿の磐座いはくらずいふものありふず思ひたた梅雚深く忘る
◆蒔田さくら子
 なめらかに嘘がいぞるずいふこずのたのしさも知りおもう若からず
 ゆるやかに湖うみのおもおにひろがれる倕茜やがおわれに届かむ
 火を攟ちゆきたるは誰 も぀れ合ひよぢれお春の野に起た぀けむり
 逆光に総身透きおあらば芋よ われはこれだけ これだけのもの
 汝ながコヌト借りお矜織りぬ男ずはこんなに広い胞郭なるか

 結論を蚀はばあたりに簡明にお長き経緯の甲斐なきごずし
 よろこびは倩よりくだりかなしみは地よりのがらむ倪れ鉟杉
 奪ひおも欲しずぞ思ふものはなくなくお足れりずいふにもあらず
◆高瀬䞀誌
 うどん屋の饂飩の文字が混沌の文字になるたでを酔う
 フリュヌトを吹く女こそ暪たえおみよ暮らしおもみよ
 どうもどうもしばらくしばらくずくり返すうち死んでしたいぬ
 成増駅前倧沢掋品店の看板に男ず女がい぀から暮らす
 「結果ずしお」を䞊に぀ければわが行動の倧方は説明が぀く

 ころがせばころげゆくから桃は切なげになる獰猛になる
 県を぀むればたっくらやみが来るそんなこずにも気づかざりけり
 䞭将湯はのみしこずなしバスクリンは少しなめしこずあり あはは
◆田井安曇
 職求め雚に䞀日を歩み぀぀颚倉る倕べのクレヌンの䞋
 䞀人居の䞭に甚うる皿の数䞭の䞀枚の藍のしたたり
◆石田比呂志
 人さたの芋おいる時にこの銬鹿な酔いたる足がたたらを螏み぀
 あこがれの時代ずきよは過ぎお喉くだる倜半䞀怀の酒苊きかな
 しばしばも盃はい眮きお倖ずの雚を聞く怯きょうならずや自ら堕するずいうは
 熱燗の酒くる埅ちおいるあいだ蟛子蓮根の穎芗きおり
 酔を吐く女の背䞭撫でおいるわれの右手に感傷のなし

 蟹の脚せせりながらに飲むお酒われは困った男かな
 酒飲みのか぀人生の先茩ずしお先に酔う ちょっず倱瀌
 埮醺しお酒店ゆらりず出で来ればたたも泣き出す冬の倜空が
 われははや酩酊したり肘枕ごろり倩䞋を盗りそこなっお
 ちょこなんず止たる止たり朚隣りにも死にはぐれたる男がひずり

 お぀たみはそなたの乳銖でよいなどず蚀いお぀たみぬひょいずばかりに
◆来嶋靖生
 瑣末なるこずにこだはりゐしわれよ今宵は魯迅を読みお眠らむ
 身を沈め湯舟より湯を溢れしむ䜕ほどのわが人間の量かさ
 行き暮れおなほわが越えむ峠あり颚吹きあげおこの身は竊すくむ
 おのづから至れる朱あけに身は染めお秋日のなかに立぀はぜもみぢ
 あくがれお行く道ならず信ぜむは䞀足ひずあしごずの己おのが螏み跡
◆篠 匘
 ラルヌスのこずばを愛す爐錣燭しはあらゆる颚に茉りお皮蒔く
◆皲葉京子
 かたはらに眠る人あり幎かけおこの存圚を問ひ来しずおもふ
 頬に指手た觊るるたぞの匥勒像おもぞば仄かにみだれ絊ぞり
 生きおある限り仄かなくれなゐの色さす骚ずをしぞられたり
 抱いだかれおこの䞖の初めに芋たる癜 花極たりし桜なりしか
 うち深く揺らげるものを昚倜きぞは愛今日は悲哀ず思ひおゐたり

 癟幎の怿ずなりぬ怍ゑし者このくれなゐに逢はで過ぎにき
 たゆたぞる思ひのなかに別れゆく倢の雚にも傘をさすなり
 人を恋ふ心なかりせば須䜐之男は流るる箞を芋ざりしならむ
 癜き雲空を行きけり私はわたくしを芋んずしお苊したむ
 怺ぞがたし信じがたしずながらぞお人は今幎の花を济びをり
◆石川䞍二子
 睡蓮の円錐圢の蕟浮く池にざぶざぶず鍬掗ふなり
 ルナアルの「博物誌」䞀冊あおがはれ眮去られたるわれずこがらし
 怒りずならむ心たぎれお出で来しが海は矎しき荒れやうをせり
 牧草に皮子たじりゐし矢車の花咲きいでお六月ずなる
 囀りのゆたかなる春の野に䜏みおわがいふ声は子を叱る声

 のびあがりあかき県粟咲く、身をせめお切なきこずをわれは歌はぬ
 濡色の牧草畑たたぎ立぀虹ふずぶずず今しばしあれ
 やかたしいずわが蚀ひし故か鳎かずなりしすい぀ちよが郚屋の隅にお動く
◆小野興二郎
 孊びたしず思ふ日暮をさむざむず炭焌く母がよごれ垰り来ぬ
 遠山の朚の間がくれの蟛倷の花こゑあげお泣きしのちの県に芋ゆ
 父よ男は雪より凛さむく埅぀べしず教ぞおくれおゐおありがずう
 梢うれたかく蟛倷の花芜ひかり攟ちただ芋ぬ乳房われは恋ふるも
 千手芳音千手ず蚀ぞど遊ぶ手の䞀手なからむこずわれを搏぀

 花咲くを埅ちお逝きたり䜗助のなんにも知らず咲くにはあらず
 远ひ぀めおゐたりしものは䜕ならむ倢よりさめおたたしんの闇
 かの朚にはその朚の祈りありおこそかく咲きにけむ遠山桜
◆寺山修叞
 煙草くさき囜語教垫が蚀うずきに明日ずいう語は最もかなし
 ふるさずの蚛りなくせし友ずいおモカ珈琲はかくたでにがし
 䞀粒の向日葵の皮たきしのみに荒野をわれの凊女地ず呌びき
 向日葵は枯れ぀぀花を捧げおり父の墓暙はわれより䜎し
 䞀぀かみほど苜蓿うたごやしう぀る氎青幎の胞は瞊に拭くべし

 売りにゆく柱時蚈がふいに鳎る暪抱きにしお枯野ゆくずき
◆小野茂暹
 朝霧に日のかたち芋ゆあたたかき県をおもひ぀぀家出づるずき
 五線玙にのりさうだなず聞いおゐる遠い電話に匟むきみの声
 逢はぬ倜を充たすひびきず聞きゆくは雚の音也く手に傘を持ち
 わが肩に頬を埋めしひずあれば春は朚々濃き峠のごずし
 あの倏の数かぎりなきそしおたたた぀た䞀぀の衚情をせよ
◆小䞭英之
 ぀はぶきの花は日ざしをかうむりお至犏のごずき黄の時間あり
◆浜田康敬
 きみず䞊び写りいる写真の埌方に物売る老婆も写りおおりぬ
◆䜐䜐朚幞綱
 サンド・バッグに力はすべおたたき぀け疲れたり明日のために眠らん
 サキサキずセロリ噛みいおあどけなき汝なれを愛する理由はいらず
 ゞャヌゞヌの汗滲むボヌル暪抱きに吟駆けぬけよ吟の男よ
 なめらかな肌だったっけ若草の劻ずきめおたかもしれぬ掌おは
 火も人も時間を抱くずわれはおもう消ゆるたで抱く切なきものを
◆蟺芋じゅん
 眠りゐる子の息のみがやはらかし冬の星座が星をふやす倜
◆岞䞊倧䜜
 海のこず蚀いおあがりし屋䞊に颚に乱れる髪をみおいる
 プラカヌド持ちしほおりを残す手に汝に䌝えん受話噚を぀かむ
 かがたりおこんろに青き火をおこす母ずふたりの倢぀くるため
◆藀井垞䞖
 いちにちを降りゐし雚の倜に入りおも止たずやみがたく人思ふなり
 濁り川次第に静たるずきにしお吹かるるごずく降りし癜鷺
 いちめんにすすき光れる原にゐお颚に消さるるこずば重ねむ
 蓮池の枯れ色芋぀぀この胞にいた満ちおゐるものは告げ埗ず
 咲き急ぎ散りいそぐ花を芋おあればあやたちすらもひたすらなりし

 この道に逢ひお別るる山萩の花のをはりのしづかなる玅
◆高野公圊
 怠けたく酒が飲みたく遊びたく矊腞くねくねずせり五十のこころ
 死は我の䞀生ひずよの䌎䟶 ラッセ、ラッセ、ラッセ、ラッセず跳人はねず螊る圱
 杖぀きお歩く日が来む そしお杖の芁らぬ日が来む 君も圌も我も
 滝、䞉日月、吊り橋、女䜓 うばたたの闇にしづかに身をそらすもの
◆成瀬 有
 恋ふずいふしづけき思念、枕べに倜もすがらなるこほろぎのこゑ
◆䜐藀通雅
 倧孊の怍物園を歩み぀぀ 䞇緑父のごずくにさびし
◆犏島泰暹
 䞊を向いお歩けば涙は星屑のごずく光りおワむシャツ濡らす
 君が居お君をずり巻く若草の京倧パルチザンなるヘルメット芋ゆ
◆䌊藀䞀圊
 過ぎにしを蚀ふな思ふな凧高くうちあがりゆく今が氞遠
 生きがたき青春過ぎお死にがたき壮幎にあふ月光痛し
 緑濃き曌珠沙華の葉に屈たりおどこにも埀かぬ人も旅人
 「正しいこずばかり行ふは正しいか」少幎問ふに真向ひおゐ぀
 われを知るもののごず吹く秋颚よ来来䞖䞖はわれも颚なり
◆䞉枝昂之
 自転車を挕ぐ子ず父の倏果おお坂の䞊なるかなかなしぐれ
 䞘の蟺に小孊校の鐘響き日々の旅人ずしおわれは聞きたり
◆小高 賢
 「口惜しくないか」などず子を責める劻の鋭ずき声われにも至る
 ぀ねに敗者の立堎に立ちし蚀説をいやしきものずこの頃おもう
 家䞭の誰より先に寝に぀けば「芪父どうした」ずいう声のする
 「略歎を癟字以内に」かきあげるこの文字数のごずきわれかな

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my 芋仏蚘6広隆寺

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むメヌゞ 1
䞊宮王院倪子殿本堂

芋仏二日目、この日最初に蚪ねたのは広隆寺でした。ホテルを出たのが少し早かったので、お寺に着いおから受付で暫く埅ちたした。でも、その静かな時間がずおもよかったず思いたす。萜ち着いた気持ちで芋仏に向かうこずが出来たした。
広隆寺に来たのは「匥勒菩薩半跏思惟像」を芋るためで、目圓おの仏像は新霊宝殿に安眮されおいたした。新霊宝殿には他にも倚くの仏像が安眮されおおり、そちらをゆっくり芋おから「匥勒菩薩半跏思惟像」の前に行きたした。

◆匥勒菩薩半跏思惟像
 匥勒菩薩半跏思惟像みろくがさ぀はんかしゆいぞう は、仏像の䞀圢匏で、台座に腰掛けお巊足を䞋げ、右足先を巊倧腿郚にのせお足を組み半跏、折り曲げた右膝頭の䞊に右肘を぀き、右手の指先を軜く右?茲にふれお思玢する思惟姿の匥勒菩薩像である。日本には倧陞より6䞖玀から7䞖玀の匥勒信仰の流入ず共に䌝えられ、飛鳥、奈良時代の䜜品が倚く残されおいる。
 䞭でも有名な京郜垂倪秊の広隆寺新霊宝殿に安眮されおいる「宝冠匥勒」囜宝圫刻の郚第䞀号は、右手の薬指を頬にあおお物思いにふける姿で知られる。しかしこの像は、圓時倚くの仏像が楠で造られおいるのに察しお赀束で造られおいるため、『日本曞玀』蚘茉の掚叀31幎623幎に新矅から䌝来したものずする説が有力であった。ずころが1968幎、倧きく抉られた内繰りの背板に楠材が䜿甚され、背郚の衣文もこれに圫刻されおいるこずが刀明し、断定できなくなっおいる。この像の右の腰から䞋げられた綬垯じゅたいは、以前から楠朚であるこずは知られおいたが、これは埌に付加したものずしお考慮されおいなかったが、二箇所の、特に背板に楠材が䜿甚されおいるこずは、楠が朝鮮半島南郚に自生しおいるが、日本での䜿甚䟋が倚いため、日本で造像された可胜性も出おきた。
 なお、制䜜時は挆で金箔を貌り付けた挆箔像であった。
 ダニが出にくい赀束が玠材に䜿甚されおいるため䜙分な枅掃の必芁がなく、枅掃䜜業䞭の人的過倱によっお砎損しおしたうこずがなかった。たた赀束ず楠ずいう2぀の材質の含氎率の違いから熱䌝導率に差が生じ、倖郚の枩床が䞊昇するず接着郚に氎蒞気の局が発生する。これがバリアの圹目を果たすため、高枩や急激な枩床倉化に匷い特城をも぀。これらの理由によっお珟代たで良奜な状態のたた保たれたず考えられおいる。
 匥勒菩薩の埮笑みは「アルカむク・スマむル」ずしお知られおいる。たたその姿がオヌギュスト・ロダンの考える人を想起させるこずから、「東掋の詩人フランス語: Po??te de l'Est」ずの愛称をも぀。偶然ではあるが、最埌の審刀の話がミトラ教の圱響で生たれたこずを考えるず、ここに䞍可思議な因瞁を感じるこずができる。
 像高123.3cm足元からの高さ、台座からは玄147cmWikipediaより
※新霊宝殿の䞭心に䜍眮する「宝冠匥勒菩薩半跏思惟像」飛鳥時代の暪に、「宝髻匥勒菩薩半跏思惟像」癜鳳時代が安眮されおいたした。䌏し目がちでう぀むき気味な顔が、たるでホロリず涙をこがしおいるようにも芋えるこずから「泣き匥勒」ず呌ばれおいるそうです。小さな仏像ですが、ずおも印象に残りたした。

◆グッズ・土産
・絵葉曞「匥勒菩薩」「廣隆寺」
・埡守


【参考】 https://kanko.city.kyoto.lg.jp/detail.php?InforKindCode=1&ManageCode=1000064
■広隆寺
 広隆寺は、京郜垂右京区倪秊にある寺。宗掟は真蚀宗系単立。山号を蜂岡山ず称する。蜂岡寺はちおかでら、秊公寺はたのきみでら、倪秊寺うずたさでらなどの別称があり、地名を冠しお倪秊広隆寺ずも呌ばれる。
 垰化人系の氏族である秊氏の氏寺であり、平安京遷郜以前から存圚した、京郜最叀の寺院である。囜宝の匥勒菩薩半跏像を蔵するこずで知られ、聖埳倪子信仰の寺でもある。毎幎10月12日に行われる牛祭は、京郜䞉倧奇祭ずしお知られるが、近幎は䞍定期開催ずなっおいる。Wikipediaより、䞀郚改線
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my 芋仏蚘7千本釈迊堂

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むメヌゞ 1
千本釈迊堂倧報恩寺

今回、最埌に蚪れたのは千本釈迊堂倧報恩寺で、「六芳音菩薩像」を芋るのが目的でした。

◆六芳音菩薩像
むメヌゞ 2
手前から、劂意茪・准胝じゅんおい・十䞀面・銬頭・千手・聖しょうの6䜓の芳音菩薩像が䞊ぶ。運慶の匟子である定慶の䜜。六道信仰に基づいお䜜られた仏像で、党囜で唯䞀、六䜓が䞀同に安眮されおいる。千本釈迊堂より、䞀郚改線

※6䜓の芳音菩薩像はそれぞれに玠晎らしいず思いたした。特に、髪を逆立お目をむき出した衚情の銬頭芳音の幅広の顔は、プレドニンの副䜜甚でムヌンフェむスになっおしたった僕ず䌌おいお芪近感を芚えたした。
※6䜓の芳音菩薩像は、境内の霊宝殿宝物通に安眮されおおり、じっくり芋仏するこずが出来たした。これは六波矅蜜寺の空也像、広隆寺の匥勒菩薩像も同様でした。しかし、東寺の立䜓曌荌矅や䞉十䞉間堂の千手芳音がそれぞれのお堂に安眮され、信仰の察象になっおいるのに比べたら、仏像ずしおの根源的な䜕かが足りないず思いたした。

◆十倧匟子像
むメヌゞ 3
運慶ず䞊ぶ鎌倉時代の二倧仏像圫刻家である快慶䜜の釈迊「十倧匟子」像が10䜓揃っお残されおいる。像の倧きさはいずれも玄90cmで玉県入りの朚造圫刻。倧報恩寺の本尊・釈迊劂来秘仏が快慶の匟子行快䜜であり、ここに快慶の垫匟が心をこめお合䜜した䞀矀の像を拝むこずができる。千本釈迊堂より、䞀郚改線

◆グッズ・土産
・特になし


【参考】 http://www.daihoonji.com/
■千本釈迊堂倧報恩寺
むメヌゞ 4

 千本釈迊堂倧報恩寺は今から玄800幎前、鎌倉初期安貞元幎1227矩空䞊人によっお開創された寺です。本堂は創建時そのたたのものであり、応仁・文明の乱にも䞡陣営から手厚き保護を受け、奇跡的にも灜火をたぬがれた京掛最叀の建造物ずしお囜宝に指定されおいたす。矩空䞊人は、藀原秀衡の孫にあたり、19才で比叡山柄憲僧郜に垫事、10数幎ののちこの千本の地を埗お、苊難の末本堂をはじめ諞䌜藍を建立したした。
  珟圚は、真蚀宗智山掟の寺院で、山号を「瑞応山ずいおうざん」ず蚀い、千本釈迊堂ずも呌ばれたす。千本釈迊堂の名前の由来は、本堂の行快䜜本尊釈迊劂来坐像が叀来より厚く信仰されおいるこず。近くに南北に走る千本通があるこず。千本の卒塔婆が道に立おられおいたこず。千本の桜あるいは千本の束䞊朚が怍えられおいるこず。など諞説ありたす。
 矩空は、創建盎埌に正匏な寺院ずしお四条倩皇ぞ寺栌の申請をした結果、俱舎くしゃ・倩台おんだい・真蚀しんごんず䞉぀の宗掟の認可を受けお、倧勢の参拝者が集たる事ずなり、門前には様々な商売をする人も増えお、倧倉賑わいのある寺でした。
 数少ない䞭䞖建築の本堂は、京郜垂街地では最叀の朚造建築で、䞀般的な密教仏堂の配眮構成ず異なり、本尊の呚囲を行道できる垞行堂の䜜りです。
 10幎間も続いた内乱「応仁の乱」や「明埳の乱」などのいく぀もの戊火も免れ、囜宝に指定されおいたす。千本釈迊堂より、䞀郚改線

■おかめ塚
むメヌゞ 5

 倧報恩寺にお参りするず、境内にある「おかめ塚」に因み、“瞁結び” “倫婊円満” “子授け” にご利益があるず蚀われおいたす。
 「おかめ」は本堂建築で棟梁を務めた倧工「長井飛隚守高次」の劻。高次が重芁な柱の寞法を間違えお短く切り過ぎた際、枡組で補えば良いず助蚀しお、窮地を救いながらも「専門家でもない女性の知恵で棟梁が倧仕事を成し遂げたず蚀われおは倫の恥」ず䞊棟匏を迎える前に自害した愛劻「おかめ」の物語が䌝わる、党囜のおかめ信仰の発祥ずなっおいたす。
 有名な「おかめ」のふくよかな笑顔は明るい人柄を今に䌝えおいたす。
 悲話の䞻人公「おかめ」の“助け合う円満な倫婊であり続けたい”ずいう匷い思いがお参りする人を応揎しおくれるのかも知れたせん。千本釈迊堂HPより

■六芳音菩薩に぀いお、『開運 知っおおきたい 仏像の基本』から匕甚したす。
◆聖しょう芳音菩薩
 芳音菩薩の基本的な圢で、人間に近い姿をしおいる。頭䞊には倧きな髪を結い、宝冠を被っおいる。右手にハスの花を持ち、巊手に氎さしを持぀ものがよく芋られる。
◆千手芳音菩薩
 千手芳音は「千手千県芳自圚菩薩」ずもいわれ、手のひらにある千の県で人びずの様子を芳察し、千の手で人びずを救い取る芳音ずいわれおいたす。手には救うために甚いる様々な道具を持っおいる。
◆銬頭芳音菩薩
 銬が草を食むように煩悩を食い぀くすずいう意味で、頭䞊に銬の頭が乗っおいる。芳音さたずしおは珍しく、髪を逆立お目をむき出した衚情をしおいるのが特城。もずもず密教の明王だったが、埌に芳音に仲間入りした。
◆十䞀面芳音菩薩
 頭の䞊に十䞀の顔を持ち、あらゆる角床から人びずを芳察する。頭䞊の顔はさたざたな衚情をしおおり、芳音の持぀胜力や功埳の倚面性を衚珟しおいる。
◆准胝じゅんおい芳音菩薩
 人びずを救枈するために、過去に倚くの仏を生み出したので仏母ずいわれおいる。ふくよかな顔぀きやしなやかな手぀きが、女性らしさを感じさせる。
◆劂意茪芳音菩薩
 あらゆる願いごずを叶えおくれる「劂意宝珠」ず、煩悩を砎壊する歊噚である「法茪」を手に、人びずを導く芳音さた。蓮華座の䞊に立ひざをし、思惟手ず呌ばれる頬に手をあお、物思いにふけるポヌズが特城的。
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『珟代短歌の鑑賞101』を読みたした。〈〉

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むメヌゞ 1


【昭和戊埌】
◆日高堯子
 東歌の爐△畢瓩箞寞造錣譎盪疏陲旅瓩匔茲䞊総野に生ある
 荷颚の奜みし倧黒屋のか぀䞌を食めどもただのか぀䞌なりし
 けけれなくずふ叀語をかし ふ぀ふ぀ずひずりわらぞり春の真倜䞭
 〈遠人愛〉ずいひしはニヌチェ ひずを恋ふ心は思想のやうには死なず
 来よずいふ声の錻音ぞやさしくお受話噚を投げお月䞋を出づる
◆沖 ななも
 愛などず呌べどもこの䞖にあらぬもの颚船かずらの実のなかの空くう
 父母ちちははは梅をみおおりわれひずり梅のむこうの空を芋おいる
 䞀぀ず぀倱いゆけば倱うもの倚く持ちいしこずにおどろく 
 䞀぀䞀぀攟棄しゆけり捚おられるものがそれでもあるうちはよし
◆河野裕子
 逆立ちしおおたぞがおれを眺めおた た぀た䞀床きりのあの倏のこず
 青林檎䞎ぞしこずを唯䞀の積極ずしお別れ来にけり
 たずぞば君 ガサッず萜葉すくふやうに私をさら぀お行぀おはくれぬか
 倕闇の桜花の蚘憶ず重なりおはじめお聎きし日の君が血のおず
 ブラりスの䞭たで明るき初倏の陜にけぶれるごずきわが乳房あり

 むかしむかし涌しき音をよろこびし時蚈の䞋に宵のうたた寝
 た぀たこれだけの家族であるよ子を二人あひだにおきお山道のがる
 䞀生に䞀床䜿ふこずばは䜕だらう西日の䞭にう぀䌏し眠る子に
 あず䞉十幎残぀おゐるだらうか梚いろの月のひかりを口あけお吞ふ
◆時田則雄
 トレヌラヌに千個の南瓜ず劻を積み霧に濡れ぀぀野をもどりきぬ
◆䞉枝浩暹
 䞀片の雲ちぎれたる颚景にたじわるこずも無きわれの傷
◆銙川ヒサ
 トヌストが黒こげになるこのこずはなか぀たずいふこずにしたせう
◆氞田和宏
 きみに逢ふ以前のがくに遭いたくお海ぞのバスに揺られおいたり
 岬は雚、ず曞きやらんかな逢わぬ日々を黒きセヌタヌ脱がずに眠る
 背埌より觊るればあわれえのひらの倧きさに乳房は創られたりき
 敵ばかりわれには芋えお壮幎ず呌ばるる蟛からきこの倏のひかり
 もうわれを叱りおくるる人あらず 孊生の目を芋据えお叱る
◆小池 光
 䜐野朋子のばかころしたろず思ひ぀぀教宀ぞ行きしが䜐野朋子をらず
◆道浊母郜子
 君のこず想いお過ぎし独房のひず日をわれの青春ずする
 どこかさめお生きおいるようなやたしさはわれらの䞖代の悲しみなりき
 こみあげる悲しみあれば屋䞊に幟床も海を確かめに行く
 生きおいれば意志は埌から埓きくるず思いぬ冬の橋枡り぀぀
 党存圚ずしお抱かれいたるあかずきのわれを倩䞊の花ず思わむ

 劂䜕ならむ思いにひずは鐘を打぀鐘打぀こずは断愛に䌌お
 ひず恋はばひずを殺あやむるこころずは颚に乱るる倕菅の花
 氎晶橋 雚埌を枡れば逢うずいう時間の䞭を生きし日のごず
 四十しじゅう代この先生きお䜕がある颚に矀れ咲くコスモスの花
 取り萜ずし床に割れたる鶏卵を拭き぀぀なぜか湧く涙あり
 倜を来お倧芳芧車に揺られいる䞀人のわれに颚吹くばかり
◆阿朚接 英
 唇をよせお蚀葉を攟おどもわたしずあなたはわたしずあなた
 この昌のわけのわからぬ悲しみを朚の箞をもお遞り分けおいる
 ああああず声に出だしお远い払うさびしさはタむル磚きながらに
◆島田修䞉
 䟋ふればちあきなおみの唇くちの感じああいふ感じの暪雲浮くも
 抒情ずは断じお瞁なき激情に週䜙をのたう぀須可捚焉可すおっちたをうか、歌なぞ
◆山田富士郎
 むヌスタヌ゚ッグを眮かむう぀ぶせの癜き背䞭のしろきくがみに
◆氞井陜子
 鹿たちも若草の䞊ぞにねむるゆゑおやすみ阿修矅おやすみ迊楌矅
◆圱山䞀男
 人生に時折あるさ良いこずがたずぞばポテンヒットのやうな
◆歊䞋奈々子
 柿の実が柿の甘さに蟿り぀く時間ずきの豊かさよ日圓たりながら
◆今野寿矎
 きみが手の觊れしばかりにほどけたる髪のみならずかの倜よりは
 远憶のも぀ずも明るきひず぀におた倏匟のドルフィンキック
 倏ゆけばい぀さい棄およ忘れよずいきなり花になる曌珠沙華
◆束平盟子
 やうやくに飌ひならしたる猗瓩醗キ瓩牎䞪醗Ν瓩鵬察芆んかよふこずあはれ
 抌しひらくちから蕟に秘められお䞇の桜はふるえ぀぀咲く
 くちびるは柔らかきゆえ眪深し針魚さよりの銀の现身を奜む
 真鍮のバヌに凭もたれおきくゞャズの「煙が目にしみる」 そう、しみるわ
 ファスナヌは銀の盎線、みずからを断぀涌しさに匕き䞋げおおり
◆栗朚京子
 芳芧車回れよ回れ想ひ出は君には䞀日ひずひ我には䞀生ひずよ
 退屈をかくも玠盎に愛しゐし日々は還らず さよなら京郜
 せ぀なしずミスタヌ・スリム喫ふ真昌倫は働き子は孊びをり
 出奔の倢すおきれず氷るほど぀めたきトマト頬ばりながら
 寂しいずき抱きたし胞でも子でもなく颚にそびゆる暟くすの若幹

 負け銬に乗り換ぞほくほく埀く生もたのしからむがわれは勝ちたし
◆井蟻朱矎
 怰子の葉ず象の耳ほどこの星の颚が愛したかたちはなかった
◆小島ゆかり
 柿の朱は䞍思議なる色あをぞらに冷たく卓にあたたかく芋ゆ
 怿芋ぬ春はさみしき うすくうすく玅べにさし死ののちも日本人
 マンモスもペリカンも来よから぀ぜのプヌルのやうな秋のこころに
◆氎原玫苑
 菜の花の黄きひ溢れたりゆふぐれの玠焌の壺に凊女のからだに
 興犏寺少幎阿修矅にかなしみを䞎ぞし仏垫の背や広からむ
 た぀ぶさに眺めおかなし月こそは党たたき裞身ず思ひいたりぬ
 ほほゑみの飛鳥がずけは䞀朚いちがくのさやげるいのち狩りたたひけり
 おそろしき倢のひず぀に癜萩の盎立 もはやあなたが芋えぬ

 くちづけの深さをおもひいづるずき雲雀よ雲雀そらを憎めよ
 抱擁に閉ぢしたぶたの暗がりに石切堎芋ゆ石の母芋ゆ
◆川野里子
 青葉梟ほほず声しおふたり行く悲のうらがはのやはらかき闇
◆米川千嘉子
 〈女は倧地〉かかる矜持の぀たらなさ昌さくら湯はさやさやず柄み
 癜藀のせ぀なきたでに重き房かかる力に人恋ぞずいふ
 やはらかく二十代批刀されながら目には芋ゆあやめをひたのがる氎
 春の鶎の銖打ちかはす鈍き音こころ死ねよずひたすらに聎く
 桃の蜜手のひらの芋えぬ傷に沁む若き日はい぀いかに終らむ

 氷河期より四囜䞀花しこくいちげは残るずいふほのかなり君がふるさずの癜
 吊いなずいふこころに食めりみづみづず平原のやうな倧真桑瓜
 子は倩䞎の者におあるか秋の陜は莋金にせがねのごず黄菊を照らす
 朚賊にくる春ずいふさびしきものありおマルグリット・デュラスの恋も死にたり
 旅に芋し老い杉も老い藀も倢に来お人間ずしお笑めば泣きたり
◆加藀治郎
 荷車に春のたたねぎ匟み぀぀ アメリカを芋たいっお感じの目だね
 もうゆりの花びんをもずにもどしおるあんな衚情を芋せたくせに
 ブリティッシュ・ブレッド・アンド・ベゞタブル あなたにちょっずお぀だっおもらっお
 ずけかけの氷を右にたわしたりしずめたりたた倏が来おいる
 蚀葉ではない ラン
◆倧蟻隆匘
 䜓内に海抱くこずのさびしさのたずぞばランゲルハンス島ずいふ島
 青春はたずぞば流れ解散のごずきわびしさ杯をかかげお
◆穂村 匘
 䜓枩蚈くわえお窓に額぀け「ゆひら」ずさわぐ雪のこずかよ
 ほんずうにおれのもんかよ冷蔵庫の卵眮き堎に萜ちる涙は
 ハヌブティヌにハヌブ煮え぀぀春の倜の嘘぀きはどらえもんのはじたり
 サバンナの象のうんこよ聞いおくれだるいせ぀ないこわいさみしい
 錆びおゆく廃車の山のミラヌたちいっせいに空映せ十月

 終バスにふたりは眠る玫の〈降りたすランプ〉に取り囲たれお
 氎銀灯ひず぀ひず぀に䞀矜ず぀鳥が眠っおいる倜明け前
 惑星別重力䞀芧眺め぀぀「このごろあなたのゆめばかりみる」
 このあろはしゃ぀きれいねずその昔ファヌブルの瞳めで告げたるひずよ
 きがくるうたえにからだを぀かっおね かよっおいたよあおねふらんせ
◆荻原裕幞
 しみじみずわれの孀独を照らしをり札幌麊酒さっぜろビヌルのこの䞀぀星
 ああい぀た神経質な鳎り方はやれやれ恋人からの電話だ
 桃よりも梚の歯ざはり愛するを時代は桃にちかき歯ざはり
 恋人ず棲むよろこびもかなしみもぜぜぜぜぜぜずしか思はれず
◆俵 䞇智
 砂浜のランチ぀いに手぀かずの卵サンドが気になっおいる
 寄せ返す波のしぐさの優しさにい぀蚀われおもいいさようなら
 「寒いね」ず話しかければ「寒いね」ず答える人のいるあたたかさ
 「嫁さんになれよ」だなんおカンチュヌハむ二本で蚀っおしたっおいいの
 「この味がいいね」ず君が蚀ったから䞃月六日はサラダ蚘念日

 愛された蚘憶はどこか透明でい぀でも䞀人い぀だっお䞀人
 はなび花火そこに光を芋る人ず闇を芋る人いお䞊びおり
 四囜路の旅の終りの束山の倜の「梅錊」ひやでください
 蛇行する川には蛇行の理由あり急げばいいっおもんじゃないよず
 シャンプヌを遞ぶ暪顔芋おおればさしこむように「奜き」ず思えり
◆玀野 恵
 そは晩倏新叀今集の開かれおゐおさかしたに恋ひ初めにけり
 カフカ読みながらずほくぞ行くやうな惚れあ぀おゐるやうな冬汜車
 倜の蟬䜕しお倜を過ぐすらむさういふこずを考ぞおゐる
 裏切぀おしかも生くるが愉しみよあなたもき぀ずさうだずおもふ
 あなたずふ存圚を愛で秋の陜の黄金くがねをも賞で陞くが柄み枡る
◆蟰巳泰子
 いずしさもざんぶず捚おる冬の川数珠぀ながりの怒りも捚おる
 ずりの内蔵も぀煮おゐおながき倕たぐれ淡き恋ゆゑ倚く愉しむ
◆吉川宏志
 あさがおが朝を遞んで咲くほどの出䌚いず思う肩䞊べ぀぀
 颚を济びきりきり舞いの曌珠沙華 抱きたさはずきに逢いたさを越ゆ
 野沢菜の青みが飯に沁みるころ汜車の廊䞋はゆらゆらず坂
 いわし雲みな前を向きながれおり赀子を坂で抱き盎すかな
◆梅内矎華子
 階段を二段跳びしお䞊がりゆく埅ち合わせのなき北倧路駅
 空をゆく鳥の䞊には䜕がある 暪断歩道れブラ・ゟヌンに立ち止たる倏
 倧いなる空振りありおこれならばただ奜いおいよう五月の男
 倏の颚キリンの銖を降りおきお誰からも遠くいたい昌なり
 抱きながら背骚を指に抌すひずの赀蜻蛉あかあき぀かもしれないわれは

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ようこそ

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Welcome to my photo diary


むメヌゞ 1
庭のナツツバキが咲きたした。尟厎巊氞子の歌にこんなのがありたした。「たそがれに蕊䌏せお散る倏怿散りおなほ浄し倏至の土の䞊」6月19日

日々の仕事ず生掻に忙殺され、時間があっずいう間に過ぎおいきたす。い぀も先のこずばかり考えお「いた」を倧切にしおいないような気がしたす。日垞の出来事を出䌚った人やモノの写真で蚘録し、䞀日䞀日に異なった意味をもたせおいきたいず思いたす。2006幎5月22日‥‥‥ず蚀っお始めたブログですが、最近は奜きな音楜や小説、日々の感想などが䞭心になっおいたす。

巊のか、䞋の「最新の画像」から䞭にお入りください。
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『続 尟厎巊氞子歌集』を読みたした。

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むメヌゞ 1

今日、『続 尟厎巊氞子歌集』06が自宅に届きたした。先日、小高賢線著『珟代短歌の鑑賞101』99で圌女の䜜品に觊れ、圌女の歌をもっず知りたいず思い、すぐに泚文したした。
この歌集のコンテンツは以䞋の通りです。
 ◆「春雪ふたたび」党篇
 ◆「倕霧峠」抄
 ◆「星座空間」党篇
 ◆歌論・゚ッセむ
 ◆解説
 ◆尟厎巊氞子略幎譜

以䞋、䞀読しお気になった歌を匕甚したす。

 ◆第五歌集「春雪ふたたび」党篇より
 生きるずはすなはち愁ひ倕光ゆふかげの鬱金うこん桜をわれは芋お䜇぀
 たたきはる内の光を明かすごずひらく怿の花のしろたぞ
 雚のなきこの幟日ゆゑ土也く路䞊に散りしさくら吹かるる
 倱楜の経緯はわれにたよりなき枊のごずきを残しお終る
 嘲笑ふものの気配を怖れたる母の蚘憶を継ぐなかれ子よ

 やうやくに晎れお八月の颚吹けば憂ひずいぞどたちたち浄し
 眉あげおかの虹をみよ぀かのたの浄気折ふし蚘憶に顕たたん
 悲しみの䜙韻のごずく぀ばひろき垜子が癜く遠ざかりゆく
 日の果おの荒浜に来おわれは聎く䞍揃ひに枚打぀波の音
 魚の背に裂かるる池面かすかなる枊をのこしおしづたりゆけり

 短かかる月䞋矎人の華麗芋守もるわれにも時分の花ありや危あやふ
 湧きあがるばかり地䞊に若葉充ちお颚の鎌倉耳もさわだ぀
 䌜矅すこし焚きお銙りを立぀るずき若葉䟵しお雚のふりいづ
 倜のふけの無音は秋の気にみちお掗ひたる髪いくばく寒し
 守護神の智の力など虔しく思ふ日石蕗の黄の花寂しづか

 ラピスラズリの玺の指茪をはづすずきずけゆくは緊匵の塊ならん
 曳くごずき眠りに入らんに遠く芋し四照花の浄き癜を忘れず
 暪浜の枯湟遠く烟りたり冬の雚今日はあたたかくしお
 文孊通前の煉瓊路人ゐねばきさらぎの雚光り぀぀降る
 空よりも海が明かれる倕ぐれの埠頭に立おば冬の髪冷ゆ

 月光に冬枝ふゆえ圱おずすいしだたみ螏みゆきしのち遠く蚣れき
 立春の日を济みゐたり目に芋えぬ花を心に蕟ふるごず
 泥濘をみるこずい぀かなくなりお雚靎さぞも色の華やぐ
 捚お難き想ひ出などずいふさぞや若さの蚘憶ゆゑの粉食
 わが奜む陶噚の薔薇の文様もんやうにやや倊みしころ冬は終らん

 倕光の鋪道動きゆくわが圱が壁に圓りおいた立ちあがる
 いたたさに開き切りたる牡䞹癜く心なじたぬたでに明るし
 涙なき葬りの果おお午埌の日に矀れ぀぀われも寂しきひずり
 音立おず雪積む倜は識らざりし心の隙間芋え来たるらし
 氎もはやぬるみお魚のひるがぞるさた䌝ぞ぀぀萍うきくさうごく

 人の心量りおものをいはんずしその屈折に気づきお黙す
 赫灌かくやくたる牡䞹の玅も来ん老いもなべおもろずもに今生のもの
 地䞋街の暪浜倶楜郚に珈琲の濃きを味はひお倏の日終る
 かの痛恚思ぞど過去ははるかはるか倜来銙闇に匂ひ鋭く
 平なる貌ず思ぞり心理的拒絶を瀺す沈黙のたぞ

 別離の埌確かなる明日吟にありず傷たしきたで信じゐたりき
 屈蟱ははるかずいぞどわが蚘憶思ひのほかに執念ぶかし
 髪長くずき攟ちたるかの時ぞ短きわれの花季なりしかな
 蚀ひ難きこず告げしあず冬凪の海の反照に郚屋があかるむ
 栗の毬いが割れたるを足に螏みしかば光る実は出づよろこびの劂

 凍りゆく街垰り来お倜の郚屋にわが衚情をゆるめかねゐ぀
 倏炉冬扇ずいぞどやさしき音ねに立぀は蔵ひ忘れし冬の颚鈎
 未来ずは垌望なるべしトルストむ最晩幎の家出ずいぞど
 卑怯なる圌奎きゃ぀ぬくぬくず生き残る䞖の枅濁をいぞどそれのみ
 ふりかぞりたる䞀瞬の県差の昏きをみたり心衝かるる

 傷぀けば盞手も傷を負ひたらん同志のごずく時に芪しむ
 招かれざる客ずなりたる経過など苊き思ひは若かりしゆゑ
 足早に駈け抜けしわが䞉十代聖橋ひじりばし散る枯葉ボブ・ディランなど
 曌珠沙華唐突に咲くず思ひしが唐突にしおその花終る
 終戊の日の虚脱などもろもろの過去きれぎれに颚鈎響く

 砂灌くる匂ひをはこぶ颚のなか海鳥は倏の鋭き声攟぀
 䞀日のみの花浄く咲け倏怿避けがたく来んわが死ののちも
 たそがれに蕊䌏せお散る倏怿散りおなほ浄し倏至の土の䞊
 遭遇ずいふ感じにお亀叉路の短き䌚話倕かぜのなか
 倜の雑螏にたぎれゆく背か無頌なる眠りずいぞど寂しからんを

 頒ち持぀過去ありおいた沈黙の間にみちきたるものをやさしむ
 異教埒ずいぞど祈りを知らずしお来しにはあらずここの聖堂みだうに
 遊雲の圢厩れゆくたひるたのなぎさ晩倏は孀独が䌌合ふ
 実行の勇気なけれど思ひきりもの蚀ひしのちは爜快ならん
 おのづからもの也きゆく季ずきずなり茅原ちはらの颚に光は遊ぶ

 この蒌き倩の光に吞はれ行きいづれどこかぞ消えねばならぬ
 犁慟を矎埳ずするは慟匷きゆゑならん男の短歌史を読む
 気玛れのやうに過ぎゆく時雚にお䞈高き玫苑の花が揺れ合ふ
 わが過去は苊しかりしかされど街にサルビア咲けばあはれ恋ほしむ
 鎌倉は倕ぐれはやし柳小路しぐれお遠き黄の灯あかるむ

 倕街に河明りあり死ぬたでは生きねばならぬ珟し身う぀しみあゆむ
 無思想ず人蚀はば蚀ぞわが生はかぎろひの䞭に透きお果぀べき
 倕ぐれはただ藍いろずなる刻ずきのありぬ晩倏の海に向く窓
 空を背に臘梅咲けり目に芋えぬ暙しめあるごずき花の空間
 涌やかに生くるは難しマスカット・オブ・アレキサンドリアの皮子を掌おい吐く

 虞矎人草ずいふ名思ぞどなよやかに勁぀よきその朱の花を奜たず
 シヌスルヌ゚レベヌタヌが灯し぀぀降りくる倜よの街雪ずなる
 父が逝き母が逝きやがおわれも逝く地䞊に今幎のさくら耀ふ
 誰もゐぬ無音のたひるのびのびず居しがいくばく心が寂し
 济槜にみたす深倜の湯に溶けお圢倱ふごずくゐたりき

 華やぎおものいふ時も玛れざる孀独は぀ねに内なるものか
 閉ざされし地䞋珈琲店の空間に孀りしをればかくもく぀ろぐ
 流れ去る時のたにたに今幎逢ふ雚倜のさくら月倜のさくら

 ◆第六歌集「倕霧峠」抄より
 無造䜜に髪束ねゐるしぐささぞ若さのゆゑの傲りにも芋ゆ
 濡るるずいふ皋もなき雚の街角に薔薇の暡様の傘を買ひたり
 生きおあるこずの䞍思議を思ふたで散りやたぬ萜花の䞋に䜇ちゐき
 春雷のずどろに耐ぞゐ぀瀆けがされし誇りは人間存圚の悲哀
 鎌倉に秋立ちぬらし癜芙蓉越えくる颚は海の銙持たず

 暑き倜の果おの薄明に花閉づる月芋草は淡き光を垯び぀
 熟れ重きメロンの銙りずどこほる雚の昌銀座千疋屋前
 海よかく生き来しわれに萌し来る涙のごずきもの䜕ならん
 氷るこずなき湘南の冬の海いた萜日の朱を畳みをり
 目芚むれば倜の倚摩川を枡りゆく電車にをりお倜の灯が浄し

 薪を焚く匂ひのゆゑに立ち返る蚘憶あり深く疌くごずきもの
 蚣れたるかの日は驟雚寒かりきその街角の倕もや曲る
 昌靄のたた雚ずなる街䞊に買ひしばかりの春の傘ひく
 うそ鳥は桜の぀がみ喰むずいふわれは菜の花の色若き喰む
 光差すずいふにもあらぬ道の果明るき靄にさくら咲き満぀

 雚けむる高局ビルの空間を黒き鳥過ぐ凶兆のごず
 ただ䞀倜星倜の山にいねしのみ蚘憶はい぀か浄化ずもなふ
 来ん幎の莟をすでに垂れお立぀銬酔朚が昌の日を济びゐたり
 春光はいはれなく心和たしむ黄のクロッカス咲きたるこずも
 終぀ひの日の平安はあれ今われはぬきさしならぬ日々枉わたりをり

 坂の街来おふりむけば海があり海は春昌の光る靄のなか
 玅薔薇の远憶に䌌お老い母が折々蚀ひしチャリネ曲銬団
 怠惰なる習慣ひず぀倜曎けおトランプの札ひたひたず切る
 切り抜けお来し歳月を぀ばらかに劎いたはりお思ふ倕昏れのあり
 春の朮退きゆく浜に若垃干す人動く午埌の逆光のなか

 黙々ず倜の電車に運ばるるこの単玔の時間を愛す
 幞ひはかく過ぎ易しいた芋えし束虫草は霧にたぎれ぀
 秋草の花みな濡れお霧になびく倕霧峠ずいふ道をこゆ
 穏やかにもの蚀ふすべを埗しこずも経隓ゆゑず思もぞば傷いたたし

 ◆第䞃歌集「星座空間」党篇より
 諞手にお顔芆ぞれば指぀めたし心賭くべき機ずき到りたり
 単調に過ぎたる倕べ䞉日月は圢するどくわれを぀らぬく
 わさび田の凍るあか぀き東よりのがりくる星たちたちに消ゆ
 やはらかくいたはる劂く心集めゐたり茹卵の殻むくのみに
 ビルの壁吹きおろしくる枯かぜ吹きさらされお冬の耳いたし

 炎のごずきこずば愁ひをも぀こずばこもごも湧きお颚の街ゆく
 籐怅子の䌌合はぬ冬のロビヌにお恋の経緯を聞かされおゐる
 よみさしの本䌏せおしばし窓倖の海の春靄に心がたゆし
 集䞭ののちの怠惰を肯うべなはん䜕もせぬ午埌雚のふりいづ
 沈䞁花の銙のずどこほる曇り日の坂䞋おりお街に䜕を芋に来し

 単調に過ぎゆく時をよろこびおゐたりしがひず日䜕か物足らぬ
 ずどろきお颚過ぎしかば䞀呌吞おきおさくらのゆるやかに散る
 花ふぶくなか歩みをりおろそかにこの䞖に圚りずわれは思ふな
 い぀せいに蚕豆そらための花がわれを芖る感じに山畑の䞊の倕颚
 熟れおゆく野麊の銙など六月の山原に来お心はひらく

 叀き代の星座空間思ふなど颚に仰げば倜の闇濃し
 みづからの髪に觞れ぀぀思ふこず髪の量かさ枛り歳月積もる
 わが未来寡すくなかれども幻想のやうなる願望ねがひいだくを蚱せ
 倕映ののこる空気をうごかしお沙矅萜花する䞀瞬の音
 菊姫の倧吟醞を酌くむしばし銙にこそ匂ぞ遠きわが過去

 倕月はいた萜ちんずし高局の窓に酔䜙の孀りの時間
 獚りのむ五勺の酒にありありず花ある過去に還りなんいた
 秋ふけお炎のごずき花カンナ咲きたれば䞀日炎のこころ
 県を病みお過ぎしひず倏埒劎ずも䜙裕ずもなく宙吊りの日々
 也きゆく赀唐蟛子吊されお蟛蟣の過去日に照るごずし

 目を閉ぢおわが思ひ継ぐかの蚣わかれ明るき雚の街䞊たりし
 珈琲の苊さすなはちその肩に寂寥のせおものいふ䞉鬌
 旅に死するこずたたよけれ雪柳癜くあふるる坂の道行く
 心ひしぐたで抌し迫る感じにお老朚おいきのさくら花溢れゐる
 睡蓮の黄花終りお忘らるる沌の面暗く倕雚さわぐ

 也きゆく倏草に颚枡るずき耐ぞ難きたで戊時の蚘憶
 八月の死者の蚘憶のひしめくを語らず蚀はず耐ぞし歳月
 倕焌の矎しさなど䜕の足しになるかず蚀ひし人も逝きたり
 激たぎ぀心恋ふにもあらず八月のかの日の涙咜喉のみどに熱し
 心鋭ずくなりゆく梅雚の明けにしお鋪道の反射棘あるごずし

 比䌁が谷ひきがや぀ここより路地ずなるずころ韮の花咲く傍ら通る
 隒音をうずみお街を脱け来しが人語なき颚はさらに寂しゑ
 ずどこほる想ひ捚おながら時すぎお枇杷の花淡く銙る霜月
 おのづから冬の光を集めゐし石蕗の黄も終らん季か
 いくたびも所かぞ぀぀鳎きゐたる鵯ひよ去りお冬芝にふる昌の雚

 砥石にお刃やいば研ぎをりい぀よりかわが鬱屈を研ぐごずく研ぐ
 窮極のわれの垌求ねがひは䜕ならん冬梢尜きお倩空ひらく
 空気うごく気配のこりおしろたぞの怿音なく揺れゐたりけり
 心よりわれは信じお幟たびも語る修叞の眠にはたりき
 口重く生きたる祖霊近付かん花芯濃厚に肥埌怿咲く

 ゆるみゆく午埌の空気に癜怿咲ききはたりぬ光たたぞお
 予定たたふえゆく二月人生は誰にも未完のたた終るらし
 䟘助ずふ名の怿ゆゑ花片を延ぶるこずなく散りゆかんずす
 雪に沈む小間こたに怿の玅くれなゐあり利䌑ゆかりのこの小宇宙
 袖かくしずいふ怿ありお葉がくれにほのがのず玅淡く咲きたり

 冬の倜の浜の焚火に集ふ人みな顔火照り心火照りおゐたり



【参考】Wikipediaより、䞀郚改線
尟厎巊氞子おざきさえこ、1927幎11月5日-
 歌人、随筆家。歌誌「星座」䞻筆。本名は尟厎磋瑛子読みは同じ。
 東京府巣鎚生たれ。東京女子倧孊囜語科卒業。17歳で歌誌『歩道』に入䌚し、䜐藀䜐倪郎に垫事する。1955幎、「倕雲」で第1回角川短歌賞最終候補ずなる。1957幎、30歳のずき、束田さえこの名で第䞀歌集『さるびあ街』を䞊梓、第4回日本歌人クラブ掚薊歌集珟圚の日本歌人クラブ賞を受賞する。1999幎、「倕霧峠」で第33回迢空賞を受賞する。2001幎、歌ずこずばの雑誌『星座』かたくら春秋瀟を創刊する。たた2010幎には短歌雑誌『星座α』を創刊し、「䜐藀䜐倪郎の心を継ぐ」のを掲げおいる。2015幎、『䜐倪郎秀歌私芋』で第6回日本歌人クラブ倧賞受賞。2016幎、『薔薇断章』で第31回詩歌文孊通賞短歌郚門受賞。
 䞀時、短歌を離れお攟送䜜家をメむンに掻動しおいたこずもある。短歌雑誌線集者であった䞭井英倫ずは長幎の亀友があり、『虚無ぞの䟛物』に登堎する女探偵・奈々村久生のモデルである。歌集倚数のほか、『源氏物語』に関する゚ッセむなどでも知られ、1985幎、『源氏の恋文』で日本゚ッセむスト・クラブ賞を受賞した。珟圚、゚ッセむスト・クラブ垞務理事。
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《208アリュヌル》専甚のサングラスを買いたした。

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むメヌゞ 1

今日、《208アリュヌル》専甚のサングラスを買いたした。哀川翔がプロデュヌスしおいる「SAMURAI SHO」ずいうブランドで、パット錻にあたる郚分にカブトムシが描かれおいたす。
珟圚、《208アリュヌル》ず《308CC》に亀互に乗っおおり、サングラスが1぀だず面倒なので、それぞれ専甚のサングラスを揃えるこずにしたした。《303》に乗るずきはこれたで通りレむバンを䜿いたす。
【参考】http://blogs.yahoo.co.jp/kazukazu560506i/29842236.html
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尟厎巊氞子歌集『颚の鎌倉』を読みたした。

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むメヌゞ 1

今日、尟厎巊氞子歌集『颚の鎌倉』2010を読みたした。先日、『尟厎巊氞子歌集』06ず『続 尟厎巊氞子歌集』06を読み、もう少し圌女の䜜品に觊れたいず思ったからです。

以䞋、䞀読しお気になった歌を匕甚したす。

 冬の倜の浜の焚火に集ふ人みな顔火照ほおり心火照りおゐたり
 早春の独掻うどしろじろず氎に攟ちゆらぐ光のごずき明日あり
 あふれくるものを抑ぞお闇に䜇た぀このすがしさを花冷えずいふ
 咲き充おる蟛倷こぶしひず朚の癜劙がなかば倕日に溺れ぀぀聳た぀ 
 ほどけゆく矊歯しだの葉矀は曇り日の光あ぀めおここに明るむ

 頑ずしお譲らざるもの持おるゆゑわがこずばむしろやさしくなりぬ
 誰圌の死の報らせさぞ日垞の淡き圱ずよ䞀日を惜しめ
 楠の朚の勢きほふ若葉にたぎれ咲く小花が青く匂ふ曇り日
 薄明にひぐらし鳎けり避けがたき䞀日の炎暑悌いたむごずくに
 喫茶店の鏡のなかを逆したに遠去かりゆく倏の自転車

 鳥呌ぶにあらねど秋日あたたかき枚にひずり手をあげおをり
 乱れゆく心の過皋痛きたで芋果おんずせし若き日ありき
 ただ生きおなさねばならぬこずいく぀頭蓋に二月の颚吹き響ずよむ
 早春の倜の幻は浄くしお阿修矅の像の眉根たよねのかげり
 内なる火ゆらぐを埅ちお倜半をれば星凍る音きこゆるごずし

 あら颚に乱れ぀぀われに向ひくる花びら無限山の䞀日ひずひは
 時超えおなほ生かさるるふしぎさに芋入れば浄し雚の沙矅の花
 ワルハラの炎䞊は䜕のしるしなりし湘南の倕焌の䞭にわが立぀
 翅音をもたざる蝶の寄り来たる梔子くちなしは雚埌うごの光を攟぀
 梢より萜぀る朚の実が倜の山の葉矀をぬけお地に届く音

 メ゜ッドロヌズの曲くり返す幻聎は倜の楠くすのきに響く颚音
 山茶花の癜き光に歩をずめし寡黙の人の背を思ひ出づ
 韻々ず倕焌ながき盞暡の海われにいはれなきかなしみ及ぶ
 欠萜の念おもひは䜕ぞ列島に生享けお冬のすばるを仰ぐ
 淡あは々ずけぶる日に癜き花薺なづな冬の終りは唐突に来る

 睡蓮の睡りに䌌たる氎明り倕べ池面いけもにい぀たでも雚
 終぀ひの棲家すみかずなるべき小家倏至ちかくう぀むきがちに沙矅の花萜぀
 塩壺の内なる湿り枛り行きお氞かりし梅雚のこころ終らん
 自芚せぬ蚘憶の誀謬避けがたく目にみえずしお海銬おずろふ
 山䞊の湧氎はいたしたたかにあふれおわれの掌おのひら冷ゆる

 氎鳥の声颚に散る枚におわれも短き髪を吹かるる
 敵意あるひは奜奇心互かたみに量り぀぀砂浜にゐるわれず鎉ず
 かげりゆく䞘よりみれば新郜垂のビル矀しろく秋の日に照る
 わが内の暗枠過ぎゆく流氷の音ずも聎こゆ秋の時雚は
 わが脈拍パルス星ず同調するごずきひずずきありお脳髄すずし

 信ずるずいふは孀りの思ひゆゑ芋し流星を人には蚀はず
 物語ならば脚色の展開もたやすかるべし䞀生ひずよの行方
 颚に震ふるぞゐたる雫が臘梅の花より飛べる䞀瞬を芋぀
 柚ゆの花はさかりおなほも寂しきか埮雚の芝生に銙りが沈む
 遠䞘に朎の花癜き倕たぐれ或いはかの人もすでに䞖に無き

 うしろ向きに運ばれおゆく電車にお倕日に揺るる茅花぀ばな遠去ずほのく
 びなんかづらさるずりいばら蔓の名に母の口調を思ひ出で぀も
 土赭あかき岩倉遺跡倕づきお萩の花矀に颚立぀らしも
 泣かぬ吟をおずしめおいふ人のありいふもよけれどよけいなお䞖話
 喪うしなぞる時の量かささらに思ぞども怿咲き怿散りたた䞀日過ぐ

 倜の海は遠き沖たで靄ありお闇になほ淡し春の星座は
 沙矅に降る雚やみしかば土の䞊倕べずなりお倏至の花俯ふす
 薄明に醒めおふくらむ悔悟あり悔悟奜たねばたた県を閉ざす
 苊闘の日々ぬけいでお秋 朚犀の花の銙沈む駅前を過ぐ
 桜倜を歩みおのちに蚣わかれたる回想は遠きゆゑに和たし

 緋桃咲く䞘に頬吹く颚のありあるいは遠き前䞖の蚘憶
 倏はやく黄のカンナ咲く海岞の小駅にわれは颚に吹かるる
 痛切の蚘憶すら幟癟の断片ずなりお生きたる蚌あかしのひず぀
 ビルの間に癜き月ある倕たぐれ人矀の圱のなかを遡行す
 沈黙は蚀にたさるずいふ真理冷え぀぀思ふ暁闇にしお

 鳥の県に芋䞋ろされゐる感じしお歩み速くなる颚の冬浜
 暮れぐれの海の光を芋おゐたり生死しやうじどうでもよくなる時間
 過ぎおゆく花の終りを芋さだめん思ひずもなく倕街に出づ
 倜半暑く醒むればきこゆ氎道の蛇口を萜぀る雫の䜙韻
 䞀床きりの今のこのずき惜しめずぞ倩の雲こずごずく倕焌ずなる

 身仕舞のう぀くしかりし母にしお捚぀べきもの䜕も遺さず逝きき
 魂を心に぀なぎずめおゐる感じに酷暑の昌のうたた寝
 五月はい぀も孀独の季節焌きたおのパンの銙の立぀店の前過ぐ
 のみこめばのみどに熱き涙さぞ生の蚌あかしず思ふいくたび
 予期したるよりも孀独は自由にお物蚀はぬこずに安らぎがある

 涙みせず死を享うけ入れしその日より心閉ざしお幟月経たる
 打おば響きさうに空冎ゆ䜙裕も぀人は流すらし涙も歌も
 生きおゐる意味問ふこずに倊みしかど玫陜花の葉にふる昌の雚
 ふたたびは心をひらくこずなしず決めたればわが衚情緩む

↧

初めおのG-SHOCK

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むメヌゞ 1

先日、初めおカシオのG-SHOCKを買いたした。初期型に近い、シンプルなものをず思い、この《GW-M5610R-1JF》にしたした。軜いし、䞈倫だし、正確だし、電池はいらないし、庭の草刈りや暹朚の剪定等の䜜業甚にはもっおこいです。買ったばかりなので普段も䜿っおいたら、愛着が湧いおきたみたいで、あず2、3個欲しくなりたした。

【参考】《GW-M5610R-1JF》の抂芁カシオのより
1983幎に誕生したDW-5000Cのデザむンを継承しおいるスク゚アフェむスの5600シリヌズが埅望のマルチバンド6を搭茉しお登堎。

◆GW-M5610Rはベれルや文字板の差し色にオレンゞを採甚。カラヌ液晶を䜿甚し人気のデザむンずしたした。
◆タフネスをコンセプトに進化を続けるG-SHOCKの䞭で、ファヌストモデルのDNAを受け継ぎ、曎に進化したNew5600シリヌズの誕生です。
・䞖界6局日本2局、䞭囜、アメリカ、むギリス、ドむツの暙準電波を受信し、時刻を自動修正するマルチバンド6
・タフ゜ヌラヌ
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ようこそ

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Welcome to my photo diary


むメヌゞ 1
仕事の垰り、倧きな虹を芋たした。しかも、ダブルで7月4日

日々の仕事ず生掻に忙殺され、時間があっずいう間に過ぎおいきたす。い぀も先のこずばかり考えお「いた」を倧切にしおいないような気がしたす。日垞の出来事を出䌚った人やモノの写真で蚘録し、䞀日䞀日に異なった意味をもたせおいきたいず思いたす。2006幎5月22日‥‥‥ず蚀っお始めたブログですが、最近は奜きな小説や短歌、俳句のこずが䞭心になっおいたす。

巊のか、䞋の「最新の画像」から䞭にお入りください。
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新しいヘルメットが届きたした。

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むメヌゞ 1

今日、泚文しおおいたのヘルメット《VFX-W TAKA》が届きたした。
実は先月、ダマハ《セロヌ250》を売华し、ホンダ《CRF250L》を賌入したした。ただし、《CRF250L》は珟圚欠品䞭で、玍車は8月になる芋蟌みです。

玍車たでに装備を敎えようず思い、たずは新しいヘルメットを探したした。バむクが赀・黒・癜なので、同系色にしようず考えたしたが、《VFX-W TAKA》の鮮やかな緑色を芋お、この方が目立぀安党ず思い賌入したした。なお、このヘルメットはフリヌスタむルモトクロスの東野貎行遞手のレプリカモデルで、5月末たでの受泚限定です。
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尟厎巊氞子歌集『怿くれなゐ』を読みたした。 

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むメヌゞ 1

今日、尟厎巊氞子の第十二歌集『怿くれなゐ』2010を読み終えたした。
以䞋、䞀読しお気になった歌を匕甚したす。


「曇倩の春」
 花には花の颚には颚のこずばありお私は攟぀私のこずば
 玄束の死は圌我にみな等しくお遅るるものの悲しみの量
 意識もどる時を捉ぞお無情にも事埌凊理のこずいはねばならぬ
 離れ来おやや安んずる心さぞ眪のごずしも埮雚の䞭行く
 光垯をなしお倕日のすべりくる䞃里ヶ浜に氞く氞く䜇぀

 日に干せる病衣の肩のひろければ登山家たりし若き背の芋ゆ
 先立぀者埌るるものの思ひ知る倩のはからひ曇倩の春

「残花譜」
 葉ざくらをくぐりお残花の䞀片が地に平ひらぶたでをわれは芋おゐき
 終の棲家ず決めお生き来し鎌倉山沙矅山房の残花が癜し
 柿若葉かがよぞばいた去り行かん花の盛りは短しい぀も
 われの悲哀刻むごずしもブラヌムスの楜はアレグロ・ノン・トロッポ
 脱力の䞀瞬があり生きおいた䜕倱ふずいふになけれど

 桜過ぎ若葉過ぎ幎なかばにお石に躓぀たづくごずき脱力
 行きずりに芋しセヌタヌに心魅かれ匕き返し賌かふその土耳叀青タヌキツシナ・ブルヌ

「湘南挜歌」
 たのあたり日の沈みゆく盞暡灘倏の極みの光量重し
 うちよする波の぀づきず思ふたで青葉の山に颚吹きのがる

「遊心譜」
 今生きおかく緩やかに息を吞ふ倏の終りの倕凪のたぞ
 倕顔の花の枅浄に芋入りゐおふいに心の厩るる時刻
 実䜓のなき存圚をかくあたたかく思ひお秋倜の灯りをずもす
 垰り来ぬ応ぞを埅぀にあらざれど颚吹く倜の闇に県をあく
 ぬき出でお癟光蓮びや぀くわうれん高くひらく朝意志もお生きよずいふ声のする

 のびやかにこころに届く篳篥ひちりきの月光に䌌る音色が浄し
     東儀秀暹「・」
 脈拍に䌌たる打楜のリズムゆゑ無心のわが四肢しきりに動く
 ほどけゆくものあり透る笛の音に氷れる涙溶けゆけよいた

「朱ず闇」
 時雚去り十字街いた倕映えお心瘠せ぀぀たた冬が来る
 倏遠くなりしかどふいによみがぞるほほづきの実の極たれる朱あけ
 誇り高く激しかりにし気性さぞ和みゆくかな生の必然

「星の時間」
 倩狌星シリりスの冬の光芒い぀よりか心に棲むず蚀ひさしお止む

「『也いたお菓子ガトヌ・セツク』」
 死はい぀も戯れのやうに隣り合ひ冬倜の北斗逆したに立぀


「花冷えの沌」
 かなしみは背にぞ芋ゆるず人いぞど自らの背をみるこずありや
 心攟ち野望を攟ち空遠く垰鳥を送るたなざしをせり

「薔薇ず銬」
 逆したに玅薔薇さうび壁に吊り干しお吊応もなき冬のはじたり
 昌たけお汗ばむ銬の銙か藁の銙のあたたかき厩舎前の日だたり
 銬䞊より芋ればみな人われよりも小さし䞀瞬の傲おごりの甘味
 扉どあの前掃くしばし今朝は黄鶲きびたきの啌かざりき遠く海枡りしや

「阿蘇倕照譜」
 う぀そみも炎ずならん党倩の倕焌の䞋に䜇ちお぀぀たし
 心鹹からき思ひひらひら去りゆきお昏れのこる江接湖氎明りせり
 おだやかに犱りのかたち保぀もの忍冬にんどうの蔓たた野老ずころの黄葉
 午后の空にみのらぬこずば吐くごずく尟花ゆるやかに光を散らす

「雚のバラヌド」
 ずり返し぀かぬこずなどこの䞖にはありや応こたぞなき時ずの察話
 死ぬたでは生きねばならぬ理こずわりの䞀日みたしお雚ふりしぶく
 芋䞋ろしの梢に花をふやしゆく四照花しろし山霧のなか
 雚垯びし若葉の䞘は音なくお蚘憶喪ふごずき䞍安立぀
 さかしらにものいふ人を疎めどもさかしらずいふ生気は矚し

 反䞖界に咲く花あらばかくあらん韍舌蘭は倕雚に反そる

「䞉月兎」
 ずどたらぬ時に远ひ぀くすべなくお䜕跳びいそぐ䞉月兎

「聖倜以前」
 倕映を収めお暗き存圚ずなりゆく雲を氞く芋おゐ぀
 憂ひなくこずばなく倕べ亀叉路の雑螏抜けおいづこぞ行かん

「颚の日」
 冬日粗く石蕗に照る颚の日はちぎれちぎれお思惟さだたらず

「駅にお」
 駅の階昇りきお冬の烈颚に軋む仮屋根ここは海の駅
 雪のなき冬に銎れ぀぀鎌倉の小路どこにもパンゞヌ食る

「怿くれなゐ」
 たしかなる明日ひらかれん冬陜さす磐座いはくらに眮く怿くれなゐ


「晩冬の芖野」
 颚が止みたた颚起る寒倜にお倩頂に光るオリオンの剣
 いたわれは怿の癜に憩ひをり燃え尜きさうな炎保ちお
 きさらぎの光溜めゐる癜怿深々ずしお花蘂ひらく
 怒り易き垫に芪しみし少女期の私は党く「怖いもの知らず」

「春のうた」
 沖遠く春の気立ちお光り぀぀䞘ぞ䞘ぞず海颚迫る

「花のあず」
 花鎮めは心の鎮め颚絶えおのち幟ひらの花の散りくる
 前さきの䞖に芋し花ならんささ癟合のうすくれなゐは朝霧のなか
 畏みおささゆりの花手にぞ把るこの蚀ひ難きいのちの銙り
 銀の匙の曲線優雅に重くみゆ晩春の颚やみし灯の䞋
 䞉茪の䞊の空にかがやく星出でおわが逡巡をたちたちに断぀

「神森」
 こずばには魂ありず思ふずき聎こゆ神森に立぀颚の音

「䞃の字遊び」
 䞃支ななさやの倪刀を月光にかざしたる埡子のみづらは耀ひにけん

「孀独擬もどき」
 鉄線の玫の花日に開きたずぞばわれは倩䞋の孀客
 熟るるずは終焉ちかき蚌におかごに銙れり倜のバナナは
 海近く棲みお久しく海を芋ず虚仮こけの時間を悔ゆるずもなく
 わが孀独は倩邪鬌にお他人よそ目にはも぀ずも華やぐ時に寄りくる

「瑠璃光」
 日が掩れお咲きのこりたるりんだうを照らしたりこの瑠璃光䞀顆
 埌悔はしないずかの日決めしより歳月は無蚀の愁ひを垯び぀

「冬物語」
 憑きものの萜ちたるやうに颚やみお遠䞘の䞊冬の月出づ
 神仏は人の心に過ぎずずぞ実朝は若うしお虚無芗のぞきたる

「無音界」
 ふいに死は隣りず思ふオリヌノの油を滎らしゐたる぀かのた
 玄束ずいふさぞひず぀たやかしず思ぞり春暁のこの無音界

「倕星」
 枇杷の花淡く銙れりみたさるるもの䜕もなき秋は過ぎんか

「こころ」
 孀りずいふ簡䟿のなかあるずきは䜙剰に䌌たる倕映を济ぶ
 冬倩の明けゆくずきに萌しくる仄くれなゐのごずきこころか


「䜙響」
 癜怿぀がみ解くずき昌光のみ぀るに䌌぀぀音立぀ごずし

「倕明りの譜」
 思ふたた生き来しや吊珟し身のわれが行き行く雑螏のなか
 䜕読みおも心に響き来ぬひず日過ぎお梅雚空倕明りせり
 六月の空気あかるき倕枚慟哭は内に萌し぀぀止む
 枇杷の実の皮吐くずきに掌おのひらに冷たくのこる悔恚ひず぀

「颚」
 海の銙を倱ひし颚に吹かれをり沖たで蒌き鎌倉の秋
 みひらけば沖に倕映ゆる雲があり吹く颚の䞭にただ生きおゐる

「秋光の譜」
 倜ずなるたでの倕ぐれ短くお吟亊玅の花たちたち沈む
 信号に止たれる尟灯が街䞊を連なりゆけり雚埌の宵闇
 月に照る地䞊はなべお浄くしお内なる涙しづかに也く
 月光に草の葉いく぀ひるがぞる山を想ぞば恋ほしかの倏

「冬草そよぐ」
 海の色のこす秋刀魚に光あり県たなこは遠き雲芋るに䌌お
 ひたひたずくるしき蚘憶呌ぶものか冬の運河に朮満ちくれば

「冬の挣」
 銀の匙卓䞊にあり倜の灯を反かぞしお遠き蚘憶よぶらし
 颚を聎け光を芋よずいふ蚀葉神意のごずく心に享け぀
 愁ひみな深く閉ざしおあるずきはこころ冬沌の挣さざなみに䌌る
 ぀づたりはひずり凊すべきいのちにお灯火ずもしびに終぀ひのかがやきあれよ

「冬の呌吞」
 時は癟代の過客ずいぞりされどわれは時の孀客ずいひお黙し぀
 きれ目なく倜到りたた明けおゆく垞に薄明に生くる錯芚
 流星矀矎しず聎けどこの倜も济槜に䞀日の傷掗ふのみ

「圩々䞍圩」
 草靡く䞭に枯れゆく野薊の粗きその棘わが内に圚る
 阿修矅像の眉の愁ひを思ひしが若き愁ひは傲りにか䌌る

「光烟る」
 鶯いろの぀ぶおが芖野をよぎりしが怿の玅に目癜来おをり
 ただ無心無瀙に生きよずいふ声の届きくるたで沖の倕焌
 人の死を聎きおも心動かざる日々なり花は散る時に散る
 襲ひくる睡魔ず闘ひ曞き継げど生きる意味をいた芋倱ひさう
 鶏䞲が烟をあげお焌かれゆく酒店の窓に朚星が芋ゆ

↧

高校野球茚城倧䌚の開幕戊を芋に行っお来たした。

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今日、氎戞垂民球堎に高校野球茚城倧䌚の開幕戊を芋に行っお来たした。
開䌚匏盎埌の開幕戊は、土浊湖北高校以䞋、湖北ず茚城キリスト教孊園高校以䞋、茚キリの察戊でした。湖北は甲子園出堎経隓04春のある匷豪校で、茚キリも県倧䌚の垞連校ですから、開幕戊にふさわしい奜カヌドだったず思いたす。
詊合は湖北が7察3で勝ち、2回戊に進みたした。湖北は奜機にタむムリヌが出たしたが、茚キリは奜機を䜵殺で朰しおしたいたした。
さお、湖北の次の察戊盞手は第1シヌドの垞総孊院です。湖北には1回詊合をしたずいうアドバンテヌゞがあるわけですから、盞手の名前に怖じけず、正々堂々ず戊っお欲しいず思いたす。

むメヌゞ 1
小野寺教育長による始球匏。びっくりするくらい速いボヌルを投げおいたした。

むメヌゞ 2
土浊湖北高校の応揎垭からグラりンドを望む。
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LIPの「ヒマラダ」を買いたした。

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むメヌゞ 1

今日、泚文しおおいたLIPのクォヌツ時蚈が届きたした。これは195473幎に䜜られた「ヒマラダ」の埩刻モデルで、アンティヌクなたたずたいが気に入っおいたす。
䞀昚幎2月、仙台ロフトでこの時蚈を芋぀け、買うかどうか迷いたしたが、結局買いたせんでした。サむズが35mmず小さかったのず、2、3䞇円皋床で買えるので、安物っぜく感じたからです。
その埌、ネットで調べたら、LIPがフランスのちゃんずしたブランドだず分かり、買わなかったこずを埌悔しおいたした。
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高校野球茚城倧䌚2回戊を芋に行っお来たした。

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むメヌゞ 1
マりンドのサりスポヌは、垞総孊院の゚ヌス鈎朚投手

今日、氎戞垂民球堎に高校野球茚城倧䌚2回戊、垞総孊院察土浊湖北の詊合を芋に行っお来たした。
垞総孊院が4回に先制し、そのたた倧量埗点に結び぀けるかず思いたしたが、土浊湖北は堅守で螏みずどたり、9回たで緊迫した詊合ずなりたした。
結局、垞総孊院が2察0で勝利したしたが、土浊湖北に1本タむムリヌヒットが出おいれば、違った展開になっおいたかもしれたせん。でも、土浊湖北にそれをさせなかった垞総孊院は、点差以䞊に力で䞊たわっおいたのかもしれたせん。
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ハミルトン・カヌキ・フィヌルド・オヌトシルバヌを買いたした。

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むメヌゞ 1

今日、ハミルトンのオヌトマチック時蚈〈カヌキ・フィヌルド・オヌト〉文字盀シルバヌを買いたした。
既に持っおいる黒い文字盀の〈カヌキ・フィヌルド・オヌト〉ずは同サむズ盎埄玄38mm・同デザむンで、数字やロゎが黒癜逆になっおいたす。
正芏代理店で買った黒い文字盀の方より、䞊行茞入のシルバヌの方が15,000円くらい安く買えたした。
どちらも倜光付き針・文字盀ですが、シルバヌの方は数字が光りたせん。「やはり䞊行茞入品は・・・」などず考えたしたが、シルバヌの方は数字が黒なので倜光付きに出来ないのだず思いたす。
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『珟代の歌人140』を読みたした。〈〉

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むメヌゞ 1

今日、小高賢線著『珟代の歌人140』09が届きたした。
本曞の抂芁に぀いお、線著者による「はしがき」の䞀郚を匕甚したす。
 倉動の激しいこの20数幎、歌壇の第䞀線で掻躍した歌人140人の自遞30銖を収録したのが本曞である。1999幎に刊行した『珟代短歌の鑑賞101』新曞通の姉効線であり、同曞に収録した歌人のそれ以降の䜜品ず、スペヌスの郜合で収録できなかった倚くの歌人の䜜品を収めおある。
 明治、倧正生たれの小暮政次、霋藀史、近藀芳矎から、1972昭和47幎生たれの斉藀斎藀、1975昭和50幎生たれの氞田玅たで、䞖代を超えた140人の蚈4200銖は、珟代の短歌がどのようなずころに䜍眮しおいるか、その䜜品が䜕を蚎えおいるかをあざやかに瀺しおいる。

以䞋、䞀読しお気になった歌を匕甚したす。党4200銖を䞀気に読むのは困難なので、少しず぀曎新し、党おを読み終えたら公開しようず思いたす。
【倧正以前】
◆小暮政次
 海氎着売堎に矀がる人を芋぀華やかに生きおゆくずいふこずを思ふ
 歌集よみくれし䞀人が恋愛をせざりし人の歌ず蚀ひしずぞ
 右手よりさしくる春の月ひくく幞犏の前の吟のためらひ
 所詮わが仕事は枠の䞭にしお良心ずいぞど其の枠のなか
 極めお䞍愉快に思ひ圓るこずありお考ぞは又そこに停滞す

 さらさらず癜髪撫でお考ぞは差圓たり歀の二䞉日の事

◆岡郚桂䞀郎
 沈む日に芋入りおおればもの蚀わぬ牛 銬 矊かたわらに来る
 逝く春を森氞ミルクチョコレヌト箱が萜ちおる 泣いおいるのだ
 森の䞊だいだい色の月が出る もうおやすみずいう声がする
 森ぬらし二月の雚のふるずきに幌な子泣くなみかん きんかん

◆加藀克巳
 関東平野の たっただなかに぀っ立っお 倧青空の雲を芋おいる
 さおもさおもこの䞖浮き䞖の倕たぐれひずりこ぀こ぀裏町をゆく
 なすべきをなしあるべきをあらしめ悠揚ず明日俟た぀しばし驟雚はいたる

◆枅氎房雄
 戊䞭掟などず呌ばれおながらぞぬ勝おぬいくさを戊぀お負けお
 聖者説き絊ふ詊煉こそよけれ劂䜕にか芳ぜむ詊煉され぀攟しの生涯
 葬匏仏教の僧䟶来りお経を読むあれが小生も぀ずもきらひ
 もしもあの時ずいふ事それすらに六十䜕幎か過去ずなりたる

◆森岡貞銙
 埅ちお居りしず人に蚀ひたるわがこゑをわれみづからも聞きおありたり
 ぞやに入りお雚粒぀けおゐるたたのがうたんの花震ふるぞの止たる

◆宮 英子
 鯖雲をくれなゐに染め倕぀日はゆるやかに萜぀東シナ海ぞ
 雪囜に雪二倜䞉倜降り぀げば今倜は垰るなず蚀はるるに䌌る
 雁朚みちに行きあぞるひず癜烏賊のやはら生干し玠手に提げたり
 アバりトに川沿ひ来れば鎚の居お矜はづくろふ芋ゆわたしも䌑たう

◆田谷 鋭
 亡き人の桜の歌のあざやけきくれなゐ思ひ冬朚みち行く

◆浜田蝶二郎
 わたしずは䞀䜓䜕かわたしずは䞖界ぞ投げられし䞀぀の問ひぞ
 いちばん分かりにくいのは自分 いちばん重くお軜いのも自分
 かうする぀もりだ぀たが結局かうな぀た 長き䞀生ひずよを芁玄すれば
 埌あずより来お゚スカレヌタヌにかけあがる若さずは぀ね急ぐものらし
 自分ずは癟幎足らず持続するある圢 ぀ねに〈いた〉であり぀぀

◆歊川忠䞀
 倩あめの花曌珠沙華咲く日ぐれ道峠越えきぬ若かりしかな
 戊ひの日も咲きおゐし曌珠沙華かの峠道ゆく日なからむ
 耳順じじゅんもう遙かの日なり聞くこずに順したがひをれど聞えぬ蚀葉
 もう䞀床歩いおみたし山の花五月小梚の癜きその山
 喜怒哀楜かくさず珟す性さが持おば八十八歳我執ただあり

◆安氞蕗子
 堀防の草のほずりや隣囜が芋ゆる高さに咲く吟亊玅
 からす麊䜇ちお路傍に実をむすぶ熟るるも孀り枯るるもひずり
 掌䞭にうすくれなゐを握りたる明けの目ざめに咲くさるすべり

◆竹山 広
 欲のごずく祈りのごずく来お去りしかずかぎりなきあしたずゆふべ
 ああこれが䞀生なのか茪ゎムにお狙ふ盞手もい぀よりかゐず

◆塚本邊雄
 サッカヌの制吒迊せいたか童子火のにほひ矜矯矅こんがら童子雪のかをりよ

◆安立スハル
 い぀もい぀も善き人なればむらむらず厭ふ心湧けりああすべもなし
 努力さぞしおをればよしずいふものにもあらずパセリを刻み぀぀思ふ
 黒豆を煮る䞀日は物曞かず電話を聞かず人を怒らず
 埀きに芋お垰りにも芋぀癜梅の花の隙間の青空が奜き
 さらにたた生きおゆくべしただ知らぬ自分に䌚ぞるたのしみがある

 螏たれながら花咲かせたり倧葉子もやるこずをや぀おゐるではないか

◆北沢郁子
 黒釉の壺に釣り合ふ䞀茪の怿は颚の山岚そだち
 石窟寺の蓮華手菩薩にあくがれお生き来ぬずいはむ孀りごころに

◆岡野匘圊
 身ひず぀を 頌み生くべき呜ぞず 旅ゆくこころ ややに定たる
 ながらぞお 八十やその呜の花あかり。老い朚の桜 颚にさからふ
 雪ふれば 豆腐喰ひたくなるふしぎ。黒川胜のた぀り 近づく

◆山䞭智恵子
 わだ぀みの心の沖に幌幎の知倚の村ありおかねたたき鳎く
 狂はざる脳なづきのありお蚀葉あり 狂ふずぞわれは朱あかき烏瓜
 鳳凰の歎ききこえお寒時雚昏れなむずしお暮れずありけり
 蚘憶こそ倢の傷口わが倏は合歓のくれなゐもお癒されむ
 千幎の歌のちぎりの嬉うるはしくはた虚しきを誰か知らなむ

◆春日真朚子
 劻なりし過去も぀肢䜓に新しき济衣を存分に絡たせお歩む
 おずなしく闇にはなるな倜を繊くほそく砎りおさくら散り぀ぐ
 〈己おのれ〉ずふ象圢文字のほぐれ぀぀蛇ずなりたりわれはいづくぞ
 虹消えおふたたびひろき空のもずありありずわれのうしなひしもの
 朝の日に傟き䌞ぶる若竹の皮を脱ぎたりためらひを脱ぐ

◆富小路犎子
 スクランブル亀叉点の真䞭今ならばわが生よ䜕方いづかたぞもゆけるず思ふ
 酢のものに䞉粒散らせる柘抎の皮腹に収めお意地の糧ずす

【昭和戊前】
◆䞊野久雄
 玺の背広オヌダヌなしおこの秋は埅぀こずをこそたのしたんずす
 シクラメン遞りいる劻をデパヌトに芋お幎の瀬の街にたぎるる
 この庭は倧雚、甲斐駒岳かいこただけは雪、われはぐっすり眠りし昚倜
 二぀ず぀幟皮いくいろのパン賌いお乗りこみきたり桜はなに行こうか
 燃えさかる炎ひを掎むためみずからを火ずなす霢よわいすぎたりしかな

◆尟厎巊氞子
 うそ鳥は桜の぀がみ喰むずいふわれは菜の花の色若き喰む
 あぶら菜に䌌る黄の花を螏みしだきわれは倩空の䞋の䞀点
 生日に負ひたる性さがのありおわれは火性ひしやう氎性みづしやう氎晶の性しやう
 葛切の舌ざはり鍵善に劂しくはなし倕べ雚ふる四条橋わたる
 独りよりふたりはよしず春玉葱のスヌプ盛り぀぀蚀にはいはず

 隠しごず持たざればむしろ薄匱の身なり街䞊のこの晩倏光
 め぀むればたたあふれくる倕光のさくらさながら光の浄土

◆銬堎あき子
 愛された蚘憶より愛したる蚘憶倚しさびしくもあるか冬に入る日よ
 靡くもの女は愛すうたかたの思ひのはおにひれ振りしより
 雀の頭に埋たる聎芚ひ぀そりず怿の枝にゐお雚を聎く

◆橋本喜兞
 吊 吊ずいくたびわれは呟きお流れに乗らず歩みきにけり
 吊橋を枡り了りお芋返るはなお揺れやたぬこころ芖むため
 匟のかんばせ蔜ふ癜垃しろぬのを萜葉の匂ふ颚が通れり
 たた来よず鶯鳎けり蟛倷咲く湖北の寺に鎖さされゐし錠
 たさやかに冬はきたりぬ春めくず空をみる日のたためぐり来む

◆高瀬䞀誌
 ガンず蚀えば人は黙りぬだたらせるために蚀いしにあらず
 飯をくう顔がさみしい男でも笑う䜍はたのしく出来る
 頑䞈な぀くりであっおも䞀぀二぀はもろきずころは怅子にもありぬ

◆蒔田さくら子
 束ねゐる髪の根ふ぀ず緩びたり叀鏡こきやうのやうな月せり䞊がり
 生死しやうじのこずたやすく蚀ふな確実に畢はり近づくひぐらしのこゑ
 二人よりは䞀人芋る海䞀人より亡きものず芋る海こそよけれ
 江戞川区鹿骚ししがねよりぞ運ばれお藍すずしかる垂いちの朝顔
 赀き花䞀暹を回めぐり火だるたの怿ずなりおしんず立ちをり

 瀬戞内のひずの裔すゑなりしづかなる海の没陜をふずころに抱く
 川氎に觊れ぀぀葊の聞くならむ流るる音は時の去る音
 眅入りし鶎銖氎瓶぀るくびすいびやうむらむらず割りたくなりお现銖぀かむ
 時しばし借らば心のしづたらむしづたりおのち怒りは立おむ
 カンナ赀しほずほず赀しずなげかふも倢のこの䞖のひずずきの赀

 いかなれば巊目のみに湧く涙おそらく右目は死を忿いかりゐむ
 雛芥子の盎立支ふる茎现く现きながらに颚をあしらふ

◆川口矎根子
 朝の階のがるずっさに抱かれき桃の猶詰かかえたるたた
 子が欲しず蚀わぬも垞ずなる宵に眐切りが波うおる切り口
 くらがりに觊れたる八重のくちなしの応えお䞍意に肉厚き花
 同じ方かた芋お生きゆくを愛ずいうべしこの静かさはさびしけれども
 癜氎仙に降る春の雪人は字を知りしはじめに憂い識しり初む

◆雚宮雅子
 䞀瞬の倏は氞久ずはなる倏ならむ野の駅のうぞ雲のきらめく
 う぀そみの人なるわれや倫の骚還さむずさがみの海に出で来぀
 わた぀みに花束の圩巎ずもゑなし散骚の船は孀を描きたり
 この幎にわが芋しものをなだむるか石蕗぀はの花淡きひかりをたずふ
 この䞖よりはぐるるわれかひ぀そりず倜の車窓に顔映されお

◆山埜井喜矎枝
 少女期の茪郭倱せし顔ひず぀こうこうず濃く玅をひきゆく
 簡朔に愛の蚀葉は告ぐるべし朱の垯固く締めお出でゆく
 咲く花は五分こそよけれ身のうちに残れる五分の力ににほふ
 うべなうべな男のごずくかろがろず口割るたいぞ 熟るる郁子の実
  

◆氎野昌雄
 茝ける冬の星座よ愛すべきリアリズムずは倢を糧ずす
 リストラずいうよりか぀おの日本語は端的率盎銘銖ず蚘す

◆石田比呂志
 諊芳ずいう語しきりに浮かぶ日は無性に過去が矎しく芋ゆ
 小生は枅く正しく矎しく生きお来たずは蚀うおいたせん
 電柱に䞡手ひろげお抱き぀いお泣きたいような月倜の道だ
 儂じゃずおさほどの矎乳ちちなら拝みたい䞃十䞉歳そりゃあ春じゃもの
 たっ癜いご飯に卵ぶっかけおたぶせばこずり心が点る

 友がみな我より偉く芋えぬ日に花を買い来お芋する劻無し
 人、花に咲けずし蚀えば花、人にお前こそ咲いお芋せろず蚀えり

◆皲葉京子
 シュヌベルトを聞きをりだれずおもだれずおも未完のたたに死におゆくらむ
 決断はかかるかたちになせよずぞ蜟きわたる春のいかづち
 長き長き手玙を曞かむず思ひしにありがたうず曞けば蚀ひ尜くしたり
 耐えかねお鳎り出づる琎があるずいふあああれは去幎こぞの秋のわたくし

◆宮原望子
 五月六日今日より空を泳ぎくる鯚を埅おず波立぀若葉
 南囜の暹の花の色それよりも暹の䞋圱の濃さを芋に来よ
 さびしいず蚀ぞざる者は倕焌けの䞋に呟く おなかがすいた

◆志垣柄幞
 ひたはしる䞀生にはあらず炎なす寒の怿のけさの花色
 けふわれはかなしき遊子はるかきお倩平仏の指に觊れたり

◆杜柀光䞀郎
 苛々いらいらず人をののしる父の性さが憎々しき性をわれもたた持぀

◆青朚昭子
 青萱のいきれに蒞れる野の小道〈悲芳は感情、楜芳は意志〉
 口開く朚通あけびず口を割らぬ野朚瓜むべをみなにありぬ姉ず効
 手に提げるサンマに秋が埓いおくる六十代は倢の間だ぀たよ
  

◆䜐䜐朚幞綱
 りむスキヌは割らずに呷あおれ人は抱け月光は八月の裞身のために
 去りゆくは季節、朝雲、倢、女、雄ごころは死たで旅のこころよ

◆蟺芋じゅん
 文殊さたにう぀くしき智恵借りたきやひもじき心連れお歩めば
 胞あかき毘廬遮那䜛びるしやなぶ぀の恋しかりはらからずほく病みお生きるも

◆倧河原惇行
 喜びをいた咲く花にわれは芋る高きに黄なるらふばいの花

◆玉井枅匘
 黒月の光あ぀むる怿の葉倩降あもりくるものひっそりず埅぀
 よっ匕いおひょうど攟おる誰の矢か怿は赀き花ふるいたり
 垞楜䌚過ぎたる四囜連翹の黄色点々ず倧垫ぞの道

◆藀井垞䞖
 雪折れの朚は立ち぀くし颚折れの心をさらしわが立ち぀くす
 冬晎れのこころ研ぐべし歌びずは矀れざるべし野の倧欅
 ひずすぢの颚あればわれずずもにそよぐ母が遺しし垯の秋草
 倜の空の星が隒いでゐるこよひラピスラズリを投げあげしゆゑ

◆田村広志千葉県銚子垂生れ
 沖瞄は初倏の匷さの陜のひかり平和の瀎の田村芁祐
 陜の匂うトマトを食めばじんわりず初倏のトマトのなかの亡き母

◆高野公圊
 「䞌」ずいふ字を倜曎けお芋おゐしが楜しくなりお酒取りに立぀
 わだ぀みをほういず飛んでたた䞀぀ほういず飛魚あごの飛ぶよ倩草

◆成瀬 有
 日本ずいふ抜象を問ひ疲れほ぀ねんずゐる春のあけがの
 思ひみる人のはるけさおもかげはしづけき秋のひかりをたずふ

◆黒朚䞉千代
 日本語の源ずしお「あ」ず挏るる声はありけむ逅぀おしたぞり
 睡るのは逃避するこず別々に生きお死ぬ日が別々に来る
 酔ひずいふは぀たづくやうに来るらしい石蕗のはな闇ふかくする
 䟡倀のない䞀生ひずよだ぀たず死ぬずきに思ふずももういい桃が咲くなら

◆犏島泰暹
 吹き荒れる螺旋の颚よ階段よ真っ盎ぐ生きおゆかんず思う

◆前川䜐重郎
 䞭空なかぞらに黒蝶ふた぀ずどたりおわれにも盛倏きたりずおもふ

◆䌊藀䞀圊
 ふゆぞらの消玫けしむらさきも消えにけり消人間ずしおわれ立぀か
 朝の日に照る吟亊玅さいはひはどこよりも来ずどこにも行かず

◆草田照子
 病院の埅ち合ひ宀は人生の駅のひず぀か人あふれたり
 八重桜ちりおもちりおもただちりお倧䞈倫だよずいふこゑがする

◆小高 賢
 「たもなく」のアナりンスあり「たもなく」は電車にあらず背向そがいより来る
 倚分おそらく老いのはおには完熟の恋のあるらん降りないぞただ
 「男ずはおおいなる虚ほら」「人生はかなしみの舟」なんおいい぀぀
 励たしおすすめる手術黙し聞く子よりも励たされたきはわれ

◆倧島史掋
 衚珟に類型はあり人生に類型はなし ず蚀えるかどうか
 既芖感デゞダビナずはおのれ叀りたるあかしずぞ泰山朚が教えおくれぬ

◆叀谷智子
 離れ䜏む君ある方の倕あかね芋しよりさびしくれなゐはみな
 亀差点に塞き止められし人の矀むれの䞭にお矀を芋おをり

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