今日、西加奈子の『サラバ!』(2014)を読み終えました。
ストーリーについては、以下の通り。(小学館HPより)
ストーリーについては、以下の通り。(小学館HPより)
1977年5月、圷歩は、イランで生まれた。
父の海外赴任先だ。チャーミングな母、変わり者の姉も一緒だった。
イラン革命のあと、しばらく大阪に住んだ彼は小学生になり、今度はエジプトへ向かう。
後の人生に大きな影響を与える、ある出来事が待ち受けている事も知らずに――。(上巻)
一家離散。親友の意外な行動。恋人の裏切り。自我の完全崩壊。
ひとりの男の人生は、やがて誰も見たことのない急カーブを描いて、地に堕ちていく。
絶望のただ中で、宙吊りにされた男は、衝き動かされるように彼の地へ飛んだ。(下巻)
父の海外赴任先だ。チャーミングな母、変わり者の姉も一緒だった。
イラン革命のあと、しばらく大阪に住んだ彼は小学生になり、今度はエジプトへ向かう。
後の人生に大きな影響を与える、ある出来事が待ち受けている事も知らずに――。(上巻)
一家離散。親友の意外な行動。恋人の裏切り。自我の完全崩壊。
ひとりの男の人生は、やがて誰も見たことのない急カーブを描いて、地に堕ちていく。
絶望のただ中で、宙吊りにされた男は、衝き動かされるように彼の地へ飛んだ。(下巻)
◆この作品は「僕」(圷歩)の視点で描かれており、最終的に「僕」が書いた自伝的小説だということを知らされます。そして、「僕」は読者へのメッセージとして、最後の部分で次のように書いています。
ここに書かれている出来事のいくつかは嘘だし、もしかしたらすべてが嘘かもしれない。登場する人物の幾人かは創作だし、すべての人が存在しないのかもしれない。僕には姉などいなくって、僕の両親は離婚しておらず、そもそも僕は、男でもないかもしれない。 あなたは、あなたの信じるものを見つけてほしい。 そしてこの物語に、信じるものを見つけることが出来なかったのであれば、他の物語を読んでほしい。この世界には、数え切れないほどの素晴らしい物語が存在している。何を信じるのかは、いつだって、あなたに委ねられているのだ。 恥ずかしいが、姉の言葉をここで引用したい。 「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」(下巻P356-357)小学生時代のヤコブと高校時代の須玖は「僕」の成長に少なからぬ影響を与えましたが、「僕」の生き方に最も影響を及ぼしたのは家族、とりわけ姉の存在でした。姉は個性が強烈すぎたため、「僕」は彼女と関わらないことで世間に対する体裁や心のバランスを保ってきました。でも、やがて30代になっても自身のアイデンティティが確立されていないことに気づいた「僕」は、姉の「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ」という言葉に行き当たります。そして、小説を書くことを決意します。
◆この作品のタイトル『サラバ!』は、「僕」とヤコブの友情から生まれた言葉でした。その部分を以下に引用します。
そして僕らの「サラバ」は果たして、「さようなら」だけではなく、様々な意味を孕む言葉になった。「明日も会おう」「元気でな」「約束だぞ」「グッドラック」「ゴッドブレスユー」、そして「俺たちはひとつだ」。「サラバ」は、僕たちを繋ぐ、魔術的な言葉だった。 僕はいつしか、ヤコブがいないときでも「サラバ」と言うようになった。ピンチのときや、何かいいことがあったとき、つまり思いついたときにはいつでもだ。その3文字を呟くと、僕はそばにヤコブがいてくれるのだと思えた。ヤコブのにおいを、ヤコブの気配を感じることが出来た。そしてそれは、僕を安らかにしてくれた。だから僕は家の中で一番、「サラバ」を口にした。「サラバ」は、僕らだけの言葉だった。(上巻P208-209)
◆「僕」に影響を与えた小説として、ジョン・アーヴィングの『ホテル・ニューハンプシャー』が登場しました。僕はかつてアーヴィングの『ガープの世界』と『サイダーハウス・ルール』を途中で投げ出してしまいましたが、この作品を読んだのを機にアーヴィングの作品を読んでみようと思います。
◆「僕」がエジプトで小学生時代を過ごしたのはナイル川の中洲「ゲジラ島」でした。
![イメージ 2]()