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西加奈子『しずく』を読みました。

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昨夜、西加奈子の短編集『しずく』(07)を読み終えました。僕としては、太宰治の「女性の一人称告白体」的な作品「灰皿」に親しみを覚えました。
この短編集については以下の通りです。
 恋人の娘を一日預かることになった私は、実は子供が嫌いだ。作り笑顔とご機嫌取りに汗だくになっても、ぎくしゃくするばかり……。ふたりのやり取りを、可笑しく、そして切なさをこめて描く「木蓮」。恋人同士が一緒に暮らしたことから出会った二匹の雌猫。彼女たちの喧嘩だらけの日々、そして別れを綴る表題作。ほか、日だまりのように温かい「女ふたり」の六つの物語。(ブックカバー裏表紙より)

【収録作品】( )内は初出
ランドセル(『小説宝石』2006年4月号)
 小学校の入学式で仲良くなった私とくみちゃんは34歳になって偶然再会し、二人でロサンゼルスへ旅行に行くことに。ロスで見かけたピンクのランドセルは二人の友情の始まりを思い出させます。

灰皿(『小説宝石』2006年6月号)
 太宰治が得意とした「女性の一人称告白体」の手法を用いています。太宰作品との違いは、語り手が若い女性ではなく70歳を過ぎたおばあさんということでしょうか。このおばあさんと若い小説家の女性との交流が描かれています。

木蓮(『小説宝石』2006年8月号)
 34歳の私は子供が嫌い。でも、恋人を逃したくない一心で、恋人の子供を一日預かることにします。私の本音を語る語り口がおもしろい。

(『小説宝石』2006年10月号)
 恋人と別れても会社の同僚には笑って報告するくらいだったので、私はサバサバした強い女性だと思われていました。でも本当は、会社のデスクで胸をかきむしって泣き出したいくらい悲しかったのです。そんな時、私はふとしたことからそれまで全く興味すらなかった男性と付き合い始めます。しかし、その男性には社内恋愛中の恋人がおり、やがて二人の関係はその恋人や会社の女性達に知られることになりました。
 私は会社を辞め、南の島へ旅に出ます。そして、そこで出会った少女との交流を通じ、本当の自分と向き合うことを始めます。

しずく(単行本刊行時に書下ろし)
 二匹の雌猫の視点を通じて、一組の男女の同棲と別れが描かれます。

シャワーキャップ(『小説宝石』2006年12月号)
 主人公の母親があまりにも無邪気で奔放で。こんな49歳、いるかな?

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