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筒井康隆『最後の喫煙者』を読みました。

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昨夜、筒井康隆の短編集『自選ドタバタ傑作集1 最後の喫煙者』を読み終えました。彼の作品を読んだのは初めてでしたが、彼の度を超したユーモア(?)にはついて行けませんでした。
この短編集の内容については、ブックカバー裏表紙の解説を引用します。
 ドタバタとは手足がケイレンし、血液が逆流し、脳が耳からこぼれるほど笑ってしまう芸術表現のことである。健康ファシズムが暴走し、喫煙者が国家的弾圧を受けるようになっても、おれは喫い続ける。地上最後のスモーカーとなった小説家の闘い「最後の喫煙者」。究極のエロ・グロ・ナンセンスが炸裂するスプラッター・コメディ「問題外科」。ツツイ中毒必至の自選爆笑傑作集第一弾。

【収録作品】( )内は初出
急流(「SFアドベンチャー」昭和54年5月号)
 時間の経過が加速度的に速くなると、……。

問題外科(「問題小説」昭和51年6月号)
 グロテスク。決して笑えません。

最後の喫煙者(「小説新潮」昭和62年10月号)
 嫌煙権運動がエスカレートすると、……。

老境のターザン(「PLAY BOY」昭和50年9月号)
 その後のターザンとジェーン。ヒーローを貶めており、全然おもしろくない。 

こぶ天才(「カッパまがじん」昭和52年1月号)
 ある惑星の植民地都市での話。「ランプティ・バンプティ」という約20~30センチの虫を背負うと、その虫は背中の組織と有機的に癒着し、触手の一本は脊椎骨に食いこんで脊髄の一部となります。そして、それは脳の延髄にまでつながっているのでもはや切り離すことはできなくなります。
 虫と一体化した人間は天才となり、背中の瘤は「天才瘤」と呼ばれ、尊敬の対象となりますが、……。

ヤマザキ(「別冊小説新潮」昭和47年4月)
 1582年6月2日、織田信長は明智光秀の謀反により本能寺で討ち死にします。備中高松城を攻略中だった羽柴秀吉は、知らせを受けると直ちに毛利氏と講和を結び、光秀追討に向かいます。ここまでは普通の歴史小説でしたが、その後がいけません。全然おもしろくない。

喪失の日(「小説新潮」昭和49年12月号)
 エリート社員の藁井は、秘書課の美人社員圭子とのデートを約束すると、仕事中からそのシミュレーションにいそしみます。やがて、それがエスカレートすると、彼女とのセックスの妄想に耽り始めてしまいます。そんな様子がおもしろくて読み進めましたが、この作家の度を超したユーモア(?)にはついて行けず、途中からは笑えなくなってしまいました。

平行世界(「別冊宝石」昭和50年10月)
 おれは、約250から260ぐらい上の方から来た「おれ」の訪問を受けます。

万延元年のラグビー(「小説サンデー毎日」昭和46年12月号)
 安政7年3月3日(この年3月18日、万延に改元)、江戸城桜田門外で、大老井伊直弼が水戸の浪士等によって暗殺されます。直弼の首は若年寄遠藤但馬守邸に置かれますが、その井伊家への引き渡しを巡るトラブルがこの話の中心です。
 井伊家側はお庭番(忍者)を使い、遠藤邸から直弼の首を奪い返そうとします。遠藤側のお庭番も登場し、両者によるラグビーさながらの首争奪戦が展開します。直弼の首をラグビーボールに見立てるあたり、この作家の面目躍如ってところだと思いますが、ブラック過ぎて笑えません。
 この作品のタイトルは大江健三郎の長編小説「万延元年のフットボール」のパロディです。大江健三郎の作品はまだ読んだことがないので、これをきっかけに読んでみようと思いました。


【参考】先日書店に行った時、新潮文庫のフェア「ピース又吉が愛してやまない20冊」の帯が目にとまりました。又吉直樹さんが薦める20冊には、これまで全く知らなかったり、知っていても読む気がしなかったり、昔読んだけどすっかり忘れてしまった、などの作品が多くありました。僕自身の読書の範囲を広げるのに大いに役立つと思い、何冊かまとめ買いしました。
 以下、又吉さんが薦める20冊を引用しておきます。(※既読)
  ◇稲垣 足穂『一千一秒物語』
  ◇筒井 康隆『最後の喫煙者』※
  ◇中村 文則『遮光』※
  ◇梨木 香歩『家守綺譚』
  ◇西 加奈子『窓の魚』

  ◇古井 由吉『杳子・妻隠』
  ◇サキ   『サキ短編集』
  ◇サン=テグジュペリ『夜間飛行』
  ◇芥川龍之介『戯作三昧・一塊の土』
  ◇安部 公房『R62号の発明・鉛の卵』

  ◇井伏 鱒二『山椒魚』※
  ◇坂口 安吾『白痴』
  ◇太宰  治『ヴィヨンの妻』※
  ◇太宰  治『お伽草紙』
  ◇谷崎潤一郎『痴人の愛』

  ◇中島  敦『李陵・山月記』
  ◇夏目 漱石『文鳥・夢十夜』
  ◇向田 邦子『思い出トランプ』
  ◇村上 春樹『ねじまき鳥クロニクル』※
  ◇オースター『幽霊たち』※

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