今日、川端康成の『古都』(1962)を読み終えました。
この作品について、文庫本裏表紙の解説を引用します。
この作品について、文庫本裏表紙の解説を引用します。
捨子ではあったが京の商家の一人娘として美しく成長した千重子は、祇園祭の夜、自分に瓜二つの村娘苗子に出逢い、胸が騒いだ。二人はふたごだった。互いにひかれあい、懐かしみあいながらも永すぎた環境の違いから一緒には暮すことができない……。古都の深い面影、移ろう四季の景物の中に由緒ある史蹟のかずかずを織り込み、流麗な筆致で描く美しい長編小説。
◆「そうだ 京都、行こう。」
これはJR東海のキャンペーンのフレーズですが、この作品を読んでいるとこのフレーズが浮かんできました。この作品は物語よりも京都の四季や風物を描いた部分が印象に残りました。
以下、山本健吉(評論家)による巻末の「解説」の一部を引用しますが、彼の考えも似ていると思います。
これはJR東海のキャンペーンのフレーズですが、この作品を読んでいるとこのフレーズが浮かんできました。この作品は物語よりも京都の四季や風物を描いた部分が印象に残りました。
以下、山本健吉(評論家)による巻末の「解説」の一部を引用しますが、彼の考えも似ていると思います。
この小説は京都を舞台にして、一方では京都の年中行事絵巻が繰り拡げられ、他方では京都各地の名所案内記をも兼ねている。全九章のうち、「春の花」「尼寺と格子」「きものの町」は春、「北山杉」「祇園祭」は夏、「秋の色」「松のみどり」「秋深い姉妹」は秋、「秋深い姉妹」の終わりごろから「冬の花」は冬である。そして、年中行事としては、花見、葵祭、鞍馬の竹伐り会、祇園会、大文字、時代祭、北野踊、事始めなどが書かれ、名所や土地の風物としては平安神宮、嵯峨、錦の市場、西陣、御室仁和寺、植物園、加茂川堤、三尾、北山杉、鞍馬、湯波半、チンチン電車、北野神社、上七軒、青蓮院、南禅寺、下河原町の竜村、北山しぐれ、円山公園の左阿弥その他が描かれている。 (中略) この美しい一卵性双生児の姉妹の交わりがたい運命を描くのに、京都の風土が必要だったのか。あるいは逆に、京都の風土、風物の引立て役としてこの二人の姉妹はあるのか。私の考えは、どちらかというと、後者の方に傾いている。