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村上春樹「独立器官」を読みました。

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今日、『文藝春秋』三月特別号を買い、村上春樹の短編小説「女のいない男たち4 独立器官」を読みました。

◆ストーリー
 52歳の美容整形外科医・渡会(とかい)は未だ独身で、つきあうのは人妻か、他に「本命」の恋人を持つ女性ばかり。彼は自らを「ナンバー2の恋人」「雨天用ボーイフレンド」「浮気の相手」と割り切ってきました。
 そんな彼が激しい恋に落ちます。相手は16歳年下の人妻です。彼は彼女を好きになりすぎまいと決心し、そのための努力をしますが、彼女への思いを打ち消すことは出来ませんでした。権中納言敦忠の「逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり」(小倉百人一首43番)という歌に心を強く動かされたり、自らの存在について自問したりします。
 つまり彼は、恋をすれば誰もが経験するであろう葛藤を52歳にして初めて経験することになったのです。彼にしてみれば、自分の人生を自分で巧くコントロールしてきたはずなのに、突然それが理不尽な力によって制御不能にされてしまった。これはいったいどうしてなんだ? となったわけです。
 この物語の語り手は谷村という、渡会よりも少し年上の職業的文章家です。谷村が渡会と会わなくなって2か月が経ったころ、彼のもとに渡会の秘書から電話があり、渡会の死を告げられます。

◆渡会なぜ死んだのか? また、どのように死んだのか?
 なぜ死んだのかは、この小説のタイトル「独立器官」と関連づけられます。しかし、死に方については「うーん⁉︎」って思います。

◆渡会の秘書はハンサムで有能なゲイですが、著者はこういうキャラクターをしばしば作品に登場させます。ゲイだと物語に対して中立的で、ある程度客観的に振る舞わせることが出来るからでしょうか? この課題は、著者の他の作品も再読した上で考察すべきでしょう。

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