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池波正太郎『剣客商売三 陽炎の男』を読みました。

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 今日、池波正太郎の剣客商売シリーズ第3作『剣客商売三 陽炎の男』(1973)を読み終えました。ちょっとした空き時間に読む程度の作品と思いつつ、ついつい先の話へと読み進んでしまいました。
 この作品について、ブックカバー裏表紙の解説を引用します。
 若衆髷をときほぐし、裸身を湯槽に沈めた佐々木三冬に、突然襲いかかる無頼の浪人たち。しかし、全裸の若い女は悲鳴もあげず、迎え撃つかたちで飛びかかっていった。隠された300両をめぐる事件のさなか、男装の武芸者・三冬に芽ばえた秋山大治郎へのほのかな思いを描く表題作。香具師の元締のひとり娘と旗本の跡取りとの仲を小兵衛がとりもつ「嘘の皮」など全7編。シリーズ第3作。

【感想等】
 この作品は、秋山小兵衛・大治郎親子がその剣の力を使って、さまざまな事件を解決していくというものです。小兵衛と大治郎のうち、多くの事件では小兵衛の働きが目立っていますが、中心となった方に★を付します。

東海道・見付宿
 ある日、かつて剣術修行中に懇意になった浜松の道場主・浅田忠蔵から、秋山大治郎のもとへ助けを乞う手紙が届きます。

◆主な登場人物(登場順)
・秋山大治郎★
・秋山小兵衛
・おさき
・松永金之助
・源八
・太作
・浅田忠蔵
・玉屋伊兵衛

赤い富士
 秋山小兵衛の剣が悪人を情け容赦なく斬る。門人の無い道場主と貧乏御家人の悲哀が心に引っかかります。

◆主な登場人物(登場順)
・秋山小兵衛★
・与兵衛
・大井半十郎
・弥七
・村上源平

陽炎の男
 秋山親子は剣客というより、もはや探偵のような役どころになっています。佐々木三冬は秋山大治郎への思慕をはっきり自覚します。

◆主な登場人物(登場順)
・佐々木三冬
・秋山小兵衛
・秋山大治郎★
・井村松軒
・大場平七郎

嘘の皮
 これこそ痛快娯楽時代劇! 立ち回りあり、人情話あり。秋山小兵衛の「真偽は紙一重。嘘の皮をかぶって真(まこと)をつらぬけば、それでよいことよ」という言葉が心に残ります。

◆主な登場人物(登場順)
・秋山小兵衛★
・村松伊織
・滝野の利助
・秋山大治郎
・村松左馬之助
・松江
・佐々木三冬
・鎌屋辰蔵

兎と熊
 知人の町医者の娘が誘拐されたことから、秋山小兵衛はその解決を依頼されます。やがて、その事件は大身旗本のお家騒動へと繋がっていきます。作品の冒頭、秋山小兵衛と小川宗哲は、「小口茄子に切胡麻の味噌吸物や、鰹の刺身など」で酒を酌みかわします。これだけで初夏の季節感が伝わってきます。他の作品でも、さまざまな形で季節感が表現されています。

◆主な登場人物(登場順)
・秋山小兵衛★
・小川宗哲
・村岡道歩
・弥七
・秋山大治郎
・内田久太郎
・傘屋の徳次郎
・曾我権左衛門
・大月弥惣次
・房野

婚礼の夜
 秋山大治郎が旅の浪人になりすまし、友人の命を狙う浪人達の中へ入っていきます。いわゆる潜入捜査ってやつです。大治郎の撃剣シーンは迫力があります。

◆主な登場人物(登場順)
・傘屋の徳次郎
・弥七
・秋山小兵衛
・秋山大治郎★
・佐々木三冬
・平山市蔵
・浅岡鉄之助
・西山団右衛門

深川十万坪
 おせきは、通りすがりの町娘の尻や胸を触るなど、乱暴狼藉をはたらく侍3人を懲らしめます。その様子を見ていた秋山小兵衛はおせきに危険が及ぶと考え、偽名を使っておさき宅に泊まり込み、侍たちの襲撃に備えます。これも潜入捜査の一種でしょう。小兵衛が単身、10数名の侍を目にもとまらぬ速さで制圧する様は、その場所の風景も相まって、ワクワクドキドキさせられます。おせきが小兵衛に供する夕食の「胡瓜もみに、串刺しの手長蝦を味醂醤油の付焼きにしたもの」。季節感が感じられルシ、食欲をそそられます。

◆主な登場人物(登場順)
・秋山小兵衛★
・おはる
・又六
・おせき
・仙台堀の政吉
・傘屋の徳次郎
・佐々木三冬
・弥七
・高橋録太郎
・秋山大治郎

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