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枡野浩一『かんたん短歌の作り方』を読みました。

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昨夜、枡野浩一の『かんたん短歌の作り方』を読み終えました。以下、この本の内容を簡単にまとめてみました。

【作り方】(引用歌がそれぞれの作り方を例示しているわけではない。)
1 何かを言いたいとき五七五七七のリズムを活用すると、強引な意見でもモットモらしく見えます。
 ◆好きな人いない時にはドリカムの歌はただただうっとうしいだけ(投稿歌)
   →好きな人できたとたんにカラオケでドリカムばっか歌うなバーカ
2 一度読んだだけで意味がすぐわかり、くり返し読んでも面白い、そんな短歌をめざしてください。
 ◆SHAZNAからイザム取ったら何残る? 残る2人も迷惑顔だが(投稿歌)
   →君なしで過ごす季節は寒すぎてイザムのいないSHAZNA以上に
3 「笑える出来事をそのまんま書けば笑える短歌になる」というのは、よくある誤解です。
 ◆遠くから手を振ったんだ笑ったんだ 涙に色がなくてよかった(投稿歌)
4 これしかない! という決定的な表現にたどりつくまで、迷うのをやめないでください。
 ◆きのうの夜の君があまりにかっこよすぎて私は嫁に行きたくてたまらん(投稿歌)
5 「しらふで口にできる言葉」だけをつかいましょう。
 ◆ユーミンがもう歌ってる 特別な恋をしてると思ってたけど(投稿歌)
6 「真似っこになってしまうのが怖いから、ほかの人の作品は読まない」なんて、まちがってます。
 ◆「また」っていつ?! 直接聞くのはこわいので心の中でつっこんでみる(投稿歌)
7 歳をとることへの恐怖を歌った作品が多いけど、そんなに歳をとることってブルー?
 ◆もっとわかりあおうとしたり顔をしてこれ以上何を奪われるのだろ(投稿歌)
8 短歌以外の形式で表現したほうが面白くなる内容のものは、短歌にしては駄目です。
 ◆幸せな誕生日だった。だってあさってフラれるなんて、知らなかったから。(投稿歌)
9 自分と同じ経験をしていない人にこの表現は通じるか? と、常に自問してください。
 ◆マシュマロのやさしさのまま手を離す私を許してほしい(天野慶)
 ◆幸せな気分があれば幸せはいらない そんな恋をしていた(投稿歌)
 ◆好きな人いたんだ そっか 気づかずに回送のバスに手を上げていた(投稿歌)
10 現代人が古文で短歌をつくることは、日本人が不正確な英語で歌を歌うことと同じです。
 ◆突き刺さるこっこのうたに経験ないのに共感してる(投稿歌)
   →突き刺さるCoccoのうたに似たような経験ないのに共感してる
11 自分の書いた言葉を他人の目になって読み返す力、それが文章を書く力です。
 ◆無理すれば週末デートできるのにもう無理しない自分に気づく(投稿歌、以下同じ作者)
 ◆「仕事だろ?」わたしのことを疑いもしないあなたを疑っている
 ◆もう会えないワケじゃないけどまた会える保証もないよ 人生だもの
 ◆ツケヅメを自分の爪だと思ってていきなり剥がれたような失恋
12 特殊効果をつかうと意味ありげに見えてしまうけど、それは危険なワナです。
13 共感を呼ぶ題材を見つけただけで終わってしまっている、というのが、世間によくある駄目短歌なんです。
 ◆飛び降りるわけではなくてかなしさを見下ろすために屋上へゆく(フーコー短歌賞優秀賞)
 ◆「シタいだけ? それだけなのね」と吐(ぬ)かしてる まったくもっておっしゃる通りで(投稿歌)
   →したいだけ? それだけなのねと怒るなよ 「ハイそうです」と言いそうだから(枡野浩一)
    したいだけ? それだけなのとナジるのは「ちがう」と言ってほしいんだろう
    好きなのはからだだけかと訊く君にそのとおりだと伝えるべきか
    「セックスが目当て」だったらまだマシで今じゃそっちのほうも勘弁
14 短歌も大切だけど、この世にはもっと大切なものもあるんですね!
 ◆信号は暴走直前の私を目の前にしてしばらく赤い(投稿歌)
15 マスノ短歌教の常連信者二人が、フーコー短歌賞の大賞と特別賞を受賞しました!!
16 同じ内容の歌を五通りの言いまわしで考えて、その中で一番しっくりくる歌を選ぶようにしてください。
17 だんだん上達してくると、ベテラン歌手がタメて歌うみたいにリズムをハズしたくなるが、ださいのでやめましょう。
 ◆背中いたいと言ってみる ほんとうにいたいのは胸(投稿歌)
   →背中いたいと言ったらさすってくれるかな でもほんとうにいたいのは胸(枡野浩一)
 ◆「いつでも呼んで」と言うけれど塩酸の雨でも君は迎えにくるかい?(投稿歌)
   →かっこいいこと言うけれど塩酸の雨でも君は迎えにくるかい?(枡野浩一)
18 なるべく助詞を省かず、短歌に見えないように、普通の文章みたいに仕上げるのがポイント。
 ◆気持の夏がまだ来ない 夢の球宴も三戦目だというのに(投稿歌)
   →甲子園球場はもう三戦目 気持の夏がまだ来ていない(枡野浩一)
 ◆ブラウスのジュースこぼしたしみまでは見られずに夏すれちがうだけ(投稿歌)
   →ブラウスのメロンソーダのしみまでは見られずに夏すれちがうだけ(枡野浩一)
   →ブラウスのトマトジュースのしみまでは見られずに夏すれちがうだけ
19 ひとりよがりのセックスもあるし、まわりの人を楽しませるオナニーもあります。
20 自分の顔に似合わない短歌は、つくらないようにしましょう。
21 「面白いことを書く」から面白いのではない、「面白く書く」から面白いのです。
22 こんな短歌なら私にもつくれる・・・・と思ったら、思うだけでなく実際つくってみてください。
 ◆飛べ! 愛と勇気だけしか友達がいないアンパンマンの孤独よ(枡野浩一)
 ◆ワレワレとあなたが言ったそのワレに私のことは含めないでね(枡野浩一)
 ◆ほめているあなたのほうがほめられている私よりえらいのかしら(枡野浩一)


【作品集2000(短歌じゃないかもしれない症候群)】より抄出
◆西尾綾「ペットボトル」
   傷ついて見えないらしい ならいいよ 血も出てないし涙も出ない
   あすこそは あすが必ずくることを慣れ切っているぼくには無理だ
   永遠にここにいるのも悪くない 雨宿りするTOWER RECORDS
   突如鳴る出庫のベルに立ち止まる やさしくないよ弱いだけだよ
   傷はどう癒えるかなんて傷ついた後の知識が最近はじゃま

   夕立ちか濡れて参ろう 傘は時に視野を狭めるものかもしれず
   二ヵ月間はいたジーンズ洗おうかそんなみそぎで生きながらえる
   薄青のペットボトルがタクシーに轢かれる時は目をつむります

◆天野慶「手紙に咲く花」
   約束はやぶっていいよ ゆびきりがただしたかっただけなんだから
   精神が近視 未来はぼやけてて過去はやたらとはっきり見える
   夢だってわかってたならあいそ笑いなんかしないで言えばよかった
   カーテンを閉めても朝は来るように目をそらしてもおんなじだった
   ついさっきあなたがついた収拾のつかない嘘で楽しんでいる

   マシュマロのやさしさのまま手を離す弱い私を許してほしい
   せつなさを聞かせつづけたサボテンに見たことのない花が咲いたよ
   君とした雪合戦のあの雪の白さを超えるものはまだない
   逃げることばかり上手くて気がつけばドッジボールの最後のひとり

 ◆杉山理紀「銀紙」
   悲しいといえば悲しみへらないし悲しくないといえば淋しい
   夕立ちにかくまわれてる二人には話すことなどなくてもよくて
   銀紙に秘密を書いて手の中で小さく丸めて作る銃弾

 ◆加藤千恵「今日は何の日?」
   もう2度と会えないなんて不思議だね 誰かの悪い冗談みたい
   磯野家の棚にはおやつ わたしには悲しみ いつも完備されてる
   自転車をこぐスピードで少しずつ孤独に向かうあたしの心
   ありふれた歌詞が時々痛いほど胸を刺すのはなんでだろうね
   簡単に変われたらいい 欲しいのはアンパンマンの顔的気軽さ

   生きててもできないことはあるけれど死んだらなにもできないからさ
   正論は正論としてそれよりも君の意見を聞かせて欲しい
   ポケットもタイムマシンも興味ない ドラえもんよりあなたが欲しい
   キライでも好きでもどうせ泣いちゃうし やっぱ恋ってくだらないかも
   赤信号ずっと続けと叶わないお願い事を繰り返してた

   さびしいとつぶやく内に本当にさびしくなっている部屋の中
   好きだけど時々すごいむかつくの 殴って蹴ってやりたくなるわ
   気づかれる方じゃなくて気づいちゃう方が悪いの? 知りたくないこと
   この恋が終わるってことわたしたちとっくのとうに知っていたよね
   言葉しか残っていないけれどまだ言葉だけなら残ってはいる

   文学で癒されるような痛みならもともとたいした痛みではない
   あたしたち何にもできないだからこそ何でもできる そんな気がする

 ◆梅本直志「水」
   どこに行くってことはわかんないけど、生きていくってことはわかってる
   ラブ・ソングなんて歌っていられないもっと歌いたいことはあるんだ

 ◆佐藤真由美「脚を切る」
   東口バスターミナルでキスをして別れるために出会ったふたり
   鎌倉で猫と誰かと暮らしたい 誰かでいいしあなたでもいい
   誕生日前だけどこれプレゼント いつまで好きかわからないから
   今すぐにキャラメルコーン買ってきて そうじゃなければ妻と別れて
   この煙草あくまであなたが吸ったのね そのとき口紅つけていたのね

   あの人が困ると満足 怒ったらもっと満足 いつからだろう
   「風邪ひいた」と言っても「なんで」と言うくせに別れる理由は訊かない男
   いいことがあってもいいな なんとなく好きだった人が花くれるとか
   泣くようなことがそろそろ欲しくなる 混んだ電車で立ち上がるとき
   走ってく方向まちがえないコツは目的地なんか作らないこと

   強い意志とかそんなんじゃないでしょう コンクリのひびに咲くタンポポは
   「還りたくない」は帰れる場所のある女のセリフだから言わない

 ◆脇川飛鳥「気がする私」
   みんなが人とちがう人間になりたがっててみんなが人と同じ人間
   毎日毎日地味な生活送っているとコマーシャルでもなぜか泣けてきた
   みんなの話聞いてないわけじゃないけれど変なところでうなずいてスマン
   きのうの夜の君があまりにかっこよすぎて私は嫁に行きたくてたまらん
   飛び箱の試験でぶっつけ本番で飛べたのをなぜか忘れていない

   愛と時間とりそろえてます現品でどうか返品はご遠慮ください
   いったいなんに反応してるか知らないが あーなんだか意味ねー涙

 ◆柳澤真実「君と小指でフォークダンスを」
   タンポポの綿毛けとばせ 来年もっきっとここに来る自分のために
   太陽の光が作る水底はマスクメロンの模様が揺れる
   何もかも終ったあとで一人行く 花火の残影あるわけもなく
   遠くから手を振ったんだ笑ったんだ 涙に色がなくてよかった
   ケータイの普及のおかげで突然に女便所で振られた私
   治りかけの傷のかゆみでまた君に懲りずに逢いに行きそうになる

   うっすらとわかりかけてもなにひとつかわらないからわからなくなる
   いつか見た野良犬と昔盗まれた自転車を探すついでに生きよう
   好きな人いたんだ そっか 気づかずに回送のバスに手を上げていた
   口内炎みたいな感じで君のこと忘れたいけどまた出来ている
   ユーミンがもう歌ってる 特別な恋をしてると思ってたけど

   胃の中にチョコレートだけ詰め込めば涙が甘ったるくなる程に
   止んでいることにも気づかず傘さしたまま君のことを考えている
   触れられた部分が全部心臓になって代わりに返事をしちゃう
   「あきらめた」まだあきらめてはいないからだから何度も口に出して言う
   空腹を通り越したら食欲がなくなるようにいつか笑える

   してもないピアス確かめてばかりいる 今日で君には逢えない気がする
   好きすぎて割れてしまった風船のしぼんだ残骸ひろげて見ている
   友達と大笑いした後とかにあなたのことを思い出します
   大切なものは壊れやすくないと大切なものに相応しくない
   笑っても心はいつもノーパンでスースーするからめくらないでね

   犬みたいなシッポが欲しい あのひとにうれしって伝えられなかった
   たくさんの色を混ぜたら灰色になった絵の具のような終章
   あのひとに嫌われたのも君のせいにしてたごめんね私の脂肪
   かわいけりゃ許されるなんて思ってはいないがブスよりマシだと思う
   あきらめた夢のひとつもある方が誰かに優しくなれる気がする

   言ったからにはやらなくちゃホームラン予告のポーズを笑われたって
   公園で遊んではいられないけれど私達にはセックスがある
   辿り着くべき場所に自分が待ってる 早く未来に追いつかなくちゃ

【作品集2014】より抄出
 ◆天野慶「つぎの物語がはじまるまで」
   馬だった頃のあなたにあこがれてヒトとしてまた逢えてうれしい
   やさしいが頼りにならないあのひとはタオルケットのこころぼそさだ

 ◆加藤千恵「10年以上後」
   傷ついたほうが偉いと思ってる人はあっちへ行ってください

 ◆佐藤真由美「自選十七首」
   三回も食事したからバレてるよ 生春巻とわたしが好きね
   やれそうと思われたのは悔しいが事実やったんだからまあいい
   女の子らしいと思い高2までイチゴが好きなふりをしました
   どん底にタッチしてからまた浮かぶつもりだったのに深い深い
   口にしたとたんにそれじゃ足りなくて嘘になるから好きと言えない

   前もってするとわかっていたときも後悔という名前でしょうか
   世の中に悪意と無関心があり黄色い線の内側に立つ
   雪は降る 人は忘れる 生きていて生きていく 明日も来年も

【枡野浩一の短歌の代表作】より抄出
   こんなにもふざけたきょうがある以上どんなあすでもありうるだろう
   ハッピーじゃないエンドでも面白い映画みたいに よい人生を
   君はそのとても苦しい言いわけで自分自身をだませるのかい?
   色恋の成就しなさにくらべれば 仕事は終わる やりさえすれば
   だれからも愛されないということの自由気ままを誇りつつ咲け

   気づくとは傷つくことだ 刺青のごとく言葉を胸に刻んで
   私には才能がある気がします それは勇気のようなものです

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